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つくば市の会社設立費用|株式会社と合同会社の全内訳を実額で比較

つくば市の税理士法人FLOW会計事務所、代表税理士の佐藤です。

会社設立のご相談で最初に聞かれるのは、ほぼ例外なくこの質問です。

「結局、全部でいくらかかりますか?」

ネットで調べると「株式会社は約25万円」といった数字が出てきます。間違いではありませんが、条件によって実額は2,000円から30万円超まで振れます。 何にいくらかかるのかを分解しないと、自分のケースがどこに当たるのか判断できません。

この記事では、つくば市で会社を設立するときの費用を1円単位で全部並べます。 そのうえで「削れる費用」と「削れない費用」を分け、最後につくば市民が必ずつまずく落とし穴をお伝えします。

この記事の結論

  • 会社設立の費用は①法定費用 ②こまごました実費 ③専門家報酬の3層に分かれる
  • 株式会社の法定費用は、条件を満たせば定款認証が15,000円になる(2024年12月から)
  • 電子定款にすれば収入印紙4万円が不要。紙の定款を選ぶ理由はほぼない
  • 記事01で解説した特定創業支援等事業+補助金を使うと、法定費用が実質2,000円程度まで落ちる
  • 合同会社なら、同じ制度で実質0円も可能
  • つくば市で設立する会社の登記申請は、つくば出張所ではできない。 水戸の本局が申請先

費用は3層に分かれる

会社設立費用の話がややこしくなるのは、性質の違う3つが混ざっているからです。分けて考えます。

内容削れるか
① 法定費用定款認証、登録免許税など、国に払うお金条件次第で大幅に削れる
② こまごました実費印鑑作成、証明書取得、交通費少し削れる
③ 専門家報酬司法書士・税理士など選択次第

順に見ていきます。


① 法定費用:株式会社の場合

定款認証手数料は「15,000円」になる可能性が高い

株式会社は定款を公証役場で認証してもらう必要があります。この手数料が、2024年12月1日から大きく下がりました。

資本金手数料
4条件を満たす場合15,000円
100万円未満30,000円
100万円以上300万円未満40,000円
300万円以上50,000円

15,000円になる4条件はこれです。

  1. 資本金が100万円未満であること
  2. 発起人が全員個人で、3人以下であること
  3. 発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨が定款に記載されていること
  4. 定款に取締役会を置く旨の記載がないこと

創業期の会社は、この4条件をほぼ満たします。 一人で立ち上げて、取締役会も置かず、資本金を小さく始めるなら全部当てはまります。財務基盤の弱いスタートアップの負担を減らすための改正なので、そういう設計になっています。

ここで一つ、実務上の判断があります。資本金100万円という線をどう見るか。 15,000円のために資本金を100万円未満に抑えるのは、本末転倒になることがあります。資本金は融資審査で見られますし、許認可の要件になっている業種もあります。差額は最大35,000円ですから、事業上の必要性を優先してください。

収入印紙4万円は「電子定款」なら不要

紙で定款を作ると収入印紙が4万円必要です。電子定款なら0円です。

実態として、電子定款が圧倒的多数です。マネーフォワード クラウド会社設立の利用者アンケートでは、電子定款の利用者が98%を超えたというデータもあります。

ただし、自分で電子定款を作るのは現実的ではありません。 マイナンバーカード、ICカードリーダー、電子署名対応のPDFソフトが必要で、初期投資が4万円を超えることもあります。専門家に依頼するか、クラウドサービス(数千円)を使うのが合理的です。

定款の謄本代

認証時に定款の謄本(写し)を受け取ります。2,000円程度です。銀行口座開設などで使うので、通常2通取得します。

登録免許税

登記申請時に納める税金です。

通常特定創業支援等事業の証明書あり
税率資本金の0.7%資本金の0.35%
最低額150,000円75,000円

創業期は最低額が適用されるケースがほとんどです。計算上、資本金が約2,143万円を超えるまでは15万円のままです。

株式会社の法定費用まとめ

ケースA:資本金90万円・発起人1名・取締役会なし・電子定款

項目金額
定款認証手数料15,000円
収入印紙0円
定款謄本代約2,000円
登録免許税150,000円
合計約167,000円

ケースB:資本金300万円・電子定款

項目金額
定款認証手数料50,000円
収入印紙0円
定款謄本代約2,000円
登録免許税150,000円
合計約202,000円

① 法定費用:合同会社の場合

合同会社は定款認証が不要です。ここが大きな差になります。

項目金額
定款認証手数料0円(不要)
収入印紙0円(電子定款の場合)
登録免許税資本金の0.7%(最低60,000円
合計約60,000円

株式会社との差は10万円以上です。合同会社の登録免許税は、資本金が約857万円を超えるまで最低額の6万円です。

ただし、費用だけで合同会社を選ぶのはおすすめしません。 資金調達の選択肢、取引先からの信用、将来の事業承継など、10万円では測れない違いがあります。この比較は別記事で詳しく扱います。


② こまごました実費

見落とされがちですが、積み上がると数万円になります。

項目金額の目安備考
法人印鑑(実印・銀行印・角印の3本セット)5,000〜30,000円素材で大きく変わる
個人の印鑑登録証明書(つくば市)1通200円発起人・役員の人数分
登記事項証明書(登記簿謄本)1通600円銀行・税務署等で数通必要
法人の印鑑証明書1通500円
交通費(後述)数千円ここが要注意

つくば市の印鑑登録証明書は1通200円です。マイナンバーカードがあればコンビニでも取得できます。また、2026年1月5日から、本人が顔写真付きの身分証(運転免許証・マイナンバーカード)を持参すれば、印鑑登録証がなくても窓口で発行できるようになりました。

登記事項証明書と法人の印鑑証明書は、オンライン請求すると安くなります。

証明書窓口請求オンライン請求・郵送オンライン請求・窓口交付
登記事項証明書600円520円490円
法人の印鑑証明書500円450円420円

1通あたり数十円の差ですが、設立直後は各所に提出するため10通以上必要になることも珍しくありません。


つくば市の落とし穴:登記申請は「つくば出張所」ではできない

ここがこの記事で一番お伝えしたいことです。

つくば市には水戸地方法務局つくば出張所(つくば市吾妻1-12-1 筑波地方合同庁舎)があります。つくば駅から徒歩7分、便利な場所です。

しかし、ここでは会社設立の登記申請ができません。

法務局の管轄表を見ると、商業・法人登記の申請を扱っているのは水戸の本局のみで、茨城県全域を管轄しています。 つくば出張所を含む県内すべての支局・出張所は、次の2つしか扱っていません。

  1. 各種証明書の交付事務
  2. 印鑑提出等に関する事務、印鑑カードに関する事務、電子認証に関する事務

つまり、つくば出張所でできるのは「できあがった会社の証明書をもらうこと」だけです。設立登記の申請書を持って行っても受け付けてもらえません。

申請先はここです

水戸地方法務局 本局 〒310-0061 水戸市北見町1番1号 水戸法務総合庁舎 電話:029-227-9911(代表)

つくば市から車でおよそ1時間、往復で半日仕事です。書類に不備があれば、もう一度行くことになります。

対処法は3つ

1. 郵送で申請する

登記申請は郵送でも可能です。ただし、不備があった場合の補正でやり取りが発生し、結果的に時間がかかることがあります。

2. オンライン申請を使う

登記・供託オンライン申請システムから申請できます。ただし電子署名の準備が必要で、初めての方にはハードルがあります。

3. 司法書士に依頼する

現実的にはこれが最も確実です。この「往復2時間+不備リスク」を専門家報酬と比較すべきというのが、次の話につながります。

なお、証明書の取得はつくば出張所でできます。 設立後に登記事項証明書や印鑑証明書が必要になったときは、水戸まで行く必要はありません。証明書発行請求機も設置されています(平日8:30〜17:15)。


③ 専門家報酬

相場

依頼先内容報酬の目安
司法書士定款作成〜登記申請の一括代行50,000〜100,000円
行政書士定款作成・電子定款のみ30,000〜50,000円
クラウドサービス書類作成支援(登記は自分で)0〜5,000円

「自分でやる」は本当に安いのか

登記申請を自分でやれば、報酬はゼロです。ただし、実際にかかるものを並べると印象が変わります。

  • 電子定款の準備(ICカードリーダー、対応ソフト)… 数千円〜
  • 公証役場とのやり取り(事前審査あり)… 半日〜1日
  • 水戸の法務局への往復… 半日
  • 書類不備による再訪リスク … 半日
  • 設立後の各種届出(税務署・県税事務所・市役所・年金事務所)… 1〜2日

創業直後の経営者にとって、この3〜4日は営業活動に使えたはずの時間です。 5万円の報酬と、事業を3日止めることのどちらが高いか。ここは事業内容によって答えが変わるので、ご自身で判断してください。

私たちがお伝えしているのは、「設立手続きは一度きり、経営は何年も続く」ということです。手続きに労力を使い切ってしまい、肝心の事業開始が遅れるケースを何度も見てきました。


削れる費用は4つある

ここまでを整理すると、削減余地はこの4つです。

削減策効果難易度
電子定款にする40,000円低(専門家に依頼すれば自動)
定款認証の15,000円特例を使う最大35,000円低(4条件を満たす設計にする)
特定創業支援等事業の証明書を取る登録免許税が半額中(2か月かかる)
つくば市の新規創業促進補助金最大125,000円中(着手前申請が必須)

フル活用したらいくらになるか

記事01で解説した制度を組み合わせると、こうなります。

株式会社・資本金90万円・電子定款・特定創業支援等事業+補助金

項目通常フル活用
定款認証手数料15,000円補助金で 0円
収入印紙0円(電子定款)0円
定款謄本代約2,000円約2,000円
登録免許税150,000円軽減75,000円 → 補助金で 0円
合計約167,000円約2,000円

合同会社・資本金100万円・電子定款・特定創業支援等事業+補助金

項目通常フル活用
登録免許税60,000円軽減30,000円 → 補助金で 0円
合計60,000円0円

法定費用がほぼ消えます。ただし特定創業支援等事業は支援受講から証明書発行まで最短2か月かかるため、設立を急ぐと使えません。詳しい手順と逆算スケジュールは記事01をご覧ください。


設立費用より大きい「設立後の固定費」

費用の話をするなら、こちらも一緒に見ておくべきです。設立費用は一度きりですが、以下は毎年かかります。

項目金額の目安
法人住民税の均等割最低でも年70,000円程度(赤字でもかかる)
社会保険料(会社負担分)役員報酬の約15%
税理士顧問料事務所により幅がある
決算申告同上

特に注意していただきたいのが均等割です。資本金等の額と従業員数で決まり、利益が出ていなくても納付義務があります。 都道府県・市町村によって上乗せがある場合もあります。

そして社会保険です。一人社長の会社でも、役員報酬を出すなら加入義務があります。役員報酬を月30万円にすると、会社負担分だけで年間約54万円。設立費用の3倍以上が毎年出ていきます。

だからこそ、役員報酬をいくらに設定するかが、設立時の最重要判断になります。しかも原則として事業年度の途中で変更できません。


よくあるご質問

Q. 資本金はいくらにすべきですか?

A. 一概には言えませんが、判断材料は4つあります。①1,000万円以上だと設立初年度から消費税の課税事業者になります ②許認可に最低資本金の要件がある業種があります ③融資審査で自己資金として見られます ④登録免許税は資本金の0.7%です。②③を優先し、①を超えないように設計するのが基本形です。

Q. 設立日は自由に決められますか?

A. 登記申請をした日が設立日になります。従来は法務局の閉庁日を設立日にできませんでしたが、2026年2月2日以降、土日祝日や年末年始も設立日として選べるようになりました。 記念日を設立日にしたい方には朗報です。

Q. 定款認証の15,000円特例を使うために、資本金を99万円にすべきですか?

A. おすすめしません。差額は最大35,000円です。それより資本金が融資審査や取引先の信用に与える影響のほうが大きいことがほとんどです。事業上の必要額を先に決めて、結果的に100万円未満に収まるならこの特例を使う、という順番で考えてください。

Q. 会社設立と創業融資、費用面ではどちらを先に考えるべきですか?

A. 同時に考えてください。設立費用は数十万円ですが、創業融資は数百万円〜数千万円の話です。資本金の額や事業計画は融資審査に直結するため、設立の設計段階から融資を見据えておくと、後戻りがありません。

Q. つくば出張所で会社設立の相談はできますか?

A. 登記申請を扱っていないため、設立登記そのものの受付はできません。証明書の取得と印鑑関係の手続きは可能です。設立の相談は司法書士または当事務所にご相談ください。


費用は「削るもの」ではなく「配分するもの」

ここまで削減策をお伝えしましたが、最後に一つだけ。

設立費用を削ることそのものが目的になると、判断を誤ります。

資本金を無理に下げて融資が通らなかった、自分で登記をやろうとして2か月遅れた、事業年度を深く考えず決めて初年度の決算が繁忙期と重なった。実際に見てきたケースです。

削れる費用は削る。ただし、削ることで事業の選択肢が狭まるなら払う。 その線引きをするのが、私たちの仕事だと思っています。

つくば市で会社を立ち上げる方の多くは、設立を「手続き」だと考えて相談に来られます。でも実際には、資本金・事業年度・役員報酬・機関設計といった、その後何年も効いてくる意思決定が同時に発生しています。

FLOW会計事務所では、新規でご契約いただくお客様の約9割が創業1年未満の方です。設立費用の話から、その先の設計まで含めてご相談いただけます。

FLOWのサポート

「まだ具体的に決まっていない」段階でのご相談を歓迎しています。むしろ、設立日や資本金が決まってしまう前のほうが、選べる選択肢が多いのが正直なところです。

無料相談のあとに契約いただく必要はありません。ご予約制で土日祝日も対応しています。


参考リンク(一次情報)

本記事は2026年8月時点の公表情報に基づいています。制度内容・手数料・申請期限は変更される可能性がありますので、最新の情報は各機関または当事務所までご確認ください。