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つくば市の会社設立は実質0円にできる|特定創業支援等事業の使い方

こんにちは。つくば市の税理士法人FLOW会計事務所、代表税理士の佐藤です。

会社設立のご相談で、いちばん多い「もったいない」がこれです。

「もう定款を作ってもらっていて、来週登記の予定です」

このタイミングでご相談をいただくと、私たちは制度の説明を諦めることになります。つくば市には、株式会社なら最大20万円ほどの設立費用が実質ゼロになる制度があるのですが、登記前に一定の手順を踏んでいないと一切使えないからです。

しかも、その手順は最短でも2か月かかります。

この記事では、つくば市の「特定創業支援等事業」と「新規創業促進補助金」を、実務の順番と逆算スケジュールという切り口で整理します。制度の紹介記事はいくつもありますが、「いつ動き出せば間に合うのか」まで書いてあるものは少ないので、そこを厚めに解説します。

この記事の結論(先にまとめます)

  • つくば市の支援機関で1か月以上・計4回以上の創業支援を受けると、市が「特定創業支援等事業の証明書」を出してくれる
  • この証明書があると、会社設立の登録免許税が0.7%→0.35%に半減する(株式会社の最低額は15万円→7.5万円)
  • さらにつくば市の新規創業促進補助金で、その登録免許税(最大7.5万円)と定款認証手数料(最大5万円)が全額補助される
  • 結果、株式会社なら約20万円、合同会社なら6万円が実質ゼロになる
  • ただし証明書は登記申請前、補助金申請は着手前が絶対条件。事後申請は一切できない
  • 支援受講から設立可能日まで最短でも約2か月。設立日が決まっているなら、3か月前から動くのが安全

特定創業支援等事業とは何か

産業競争力強化法に基づいて、つくば市が国から認定を受けている創業支援の枠組みです。

かみ砕くと、「市が認定した機関で、創業に必要な知識をひととおり学んだ人には、市がお墨付きを出す」という制度です。学ぶ内容は4分野に決まっています。

  • 経営
  • 財務
  • 人材育成
  • 販路開拓

つくば市の要件は、1か月以上にわたって、1回1時間以上のセミナーや個別相談を計4回以上受講することです。ここを「1か月以上」と読み飛ばす方が多いのですが、これが後述するスケジュールのボトルネックになります。

対象になる人

次のいずれかであれば対象です。

  1. まだ事業を営んでいない個人(これから創業する方)
  2. 事業を開始した日から5年を経過していない個人または法人

つまり、「これから会社を作る人」だけでなく、「すでに個人事業をやっていて法人化する人」も対象です。個人事業主の方の法人化相談でこの制度をご案内すると、かなり驚かれます。

つくば市の実施機関(2026年度)

つくば市では、次の機関が特定創業支援等事業を行っています。自分の創業タイプに合う窓口を選びます。

実施機関想定される創業形態
つくばスタートアップパーク(つくば市)スタートアップ創業
つくば研究支援センター(TCI)技術系ベンチャー創業
つくば市商工会一般創業
日本政策金融公庫 土浦支店一般創業
AIST Solutions(産総研グループ)所内関係者の創業
筑波大学学内関係者の創業
常陽銀行一般創業
筑波銀行一般創業
水戸信用金庫一般創業

支援メニューは機関ごとに違うので、直接お問い合わせが必要です。

税理士としての実務的なおすすめは、創業融資を受ける予定があるかどうかで分けることです。

融資を考えているなら、日本政策金融公庫 土浦支店や地元金融機関(常陽・筑波・水戸信金)で受講すると、支援を受ける過程がそのまま融資相談の入口になります。事業計画を一緒に磨いてもらいながら、証明書も取れて、担当者と関係もできる。三重取りです。

一方で、事業モデルを固める段階から相談したいならつくばスタートアップパーク、技術シーズが軸ならつくば研究支援センター(TCI)が向いています。


メリットは4つある(が、本命は補助金との合わせ技)

メリット1:登録免許税が半分になる

会社設立の登記には登録免許税がかかります。証明書があると、この税率が下がります。

会社形態通常証明書あり
株式会社資本金の0.7%(最低15万円)資本金の0.35%(最低7.5万円)
合同会社資本金の0.7%(最低6万円)資本金の0.35%(最低3万円)

創業期は資本金を数百万円に設定する方が多いので、実際にはほぼ最低額が適用されます。株式会社なら15万円→7.5万円、合同会社なら6万円→3万円というイメージです。

なお、これは新規設立だけでなく、創業5年未満の個人事業主が法人化する場合も対象です。

メリット2:創業関連保証を早く使える

茨城県信用保証協会の創業関連保証(無担保・第三者保証人なし)を、事業開始の6か月前から使えるようになります。

「まだ売上が立っていない段階で借りられるか」は創業期の最大の関心事ですから、この前倒しは実利があります。

メリット3:日本政策金融公庫の貸付利率が下がる

新規開業・スタート支援資金の利率引き下げ対象になります。金額が大きくなるほど効いてきます。

メリット4:小規模事業者持続化補助金〈創業型〉の申請対象になる

支援を受けた日と開業日(設立年月日)が公募締切から過去1年以内であれば申請対象です。詳細はつくば市商工会にご確認ください。


本命:新規創業促進補助金で「実質ゼロ」になる

ここがつくば市の強いところです。多くの自治体は登録免許税の軽減までで終わりますが、つくば市はその軽減後の税額まで補助金で埋めてくれます。

補助の内容

項目上限
会社設立に係る登録免許税最大7万5千円
定款認証費用に係る手数料最大5万円
合計(補助限度額)12万5千円(補助率10/10、1千円未満切捨て)

補助率が10分の10、つまり全額です。ただし前提として、租税特別措置法第80条による登録免許税の軽減を受けていることが条件です。順番としては「証明書で半額にする → 半額になった分を補助金で埋める」という二段構えになります。

資本金300万円の株式会社で試算すると

実際にいくら変わるのか、具体的な数字で見てみましょう。

費目制度を使わない場合制度をフル活用した場合
登録免許税150,000円75,000円 → 補助で0円
定款認証手数料50,000円50,000円 → 補助で0円
小計200,000円0円

差額は20万円です。 創業期の20万円は、広告費1か月分だったり、初期在庫だったりします。使わない理由がありません。

合同会社の場合は定款認証が不要なので、登録免許税6万円が実質ゼロになるイメージです(軽減後3万円を補助で全額カバー)。

補足:資本金が大きい場合の注意 登録免許税の補助上限は7万5千円です。軽減後の税額(資本金×0.35%)が7万5千円を超える場合、超過分は自己負担になります。逆算すると、資本金がおよそ2,140万円を超えたあたりからは上限に当たります。創業期でここに当たるケースは稀ですが、増資込みで設立する場合は事前にご相談ください。

あわせて使えるもう一つの節約 定款を紙で作ると収入印紙4万円が必要ですが、電子定款にすればこの4万円は不要です。補助金とは別枠の話なので、合わせて4万円浮きます。提携司法書士に依頼する場合は電子定款が標準です。


順番を間違えると全部使えない(ここが最重要)

制度の内容よりも、順番のほうが実務では大事です。私たちが「間に合いませんでした」というご報告をせざるを得なかったケースは、すべて順番の問題でした。

絶対に守るべき2つの締切

① 証明書は「登記申請前」に取得する

登録免許税の軽減を受けるには、会社設立登記の申請時に証明書を法務局へ提出する必要があります。登記が終わってから証明書を持って行っても、遡って還付されません。

② 補助金は「着手前」に申請する

つくば市は明確に「事後申請はできません。必ず、着手前に申請してください」としています。定款認証や登記に着手した後では受け付けてもらえません。審査期間は申請から1週間が目安です。

正しい流れ

  1. 実施機関を選び、支援を受け始める
  2. 1か月以上かけて、計4回以上の支援を受ける
  3. 支援機関から証明の申請書類を受け取る
  4. 申請書類と事業計画書をつくば市に提出(電子申請も可)
  5. つくば市が支援状況を確認して証明書を発行(※即日不可。2週間程度の余裕を見ること)
  6. 証明書を添えて新規創業促進補助金の交付申請(審査目安1週間・着手前に)
  7. 交付決定を受けてから、定款認証・設立登記へ着手
  8. 登記申請時に法務局へ証明書を提出(登録免許税が軽減される)
  9. 設立完了日から20日以内に実績報告
  10. 確定通知を受けて交付請求(こちらは原本提出。メール不可

逆算スケジュール:最短でも約2か月

工程所要期間
支援受講(4回以上・1か月以上)1か月〜
証明書の申請〜発行2週間程度
補助金の申請〜交付決定1週間程度
設立登記に着手できるまで合計 約2か月

つまり、「来月中に設立したい」という段階でご相談いただくと、この制度は使えません。

私たちがお客様にお伝えしているのは、設立希望日の3か月前です。1か月分をバッファとして持っておくと、支援機関のセミナー日程が合わなかったり、書類の不備で差し戻されたりしても対応できます。


よくある失敗パターン

失敗1:設立を急いでしまう

いちばん多いのがこれです。取引先との契約や許認可の都合で「◯月◯日までに法人が必要」となると、2か月は待てません。

対策:法人が必要になる日が見えた瞬間に、設立日から逆算してください。許認可が絡む業種は、許認可のリードタイムも重なるので、さらに前倒しが必要です。

失敗2:証明書の記載内容と設立する会社がズレる

証明書には商号・本店所在地・資本金といった会社情報が記載されます。補助金の要件も「証明に記載の会社を設立し、その代表取締役または代表社員となること」です。

証明書を取ってから「商号を変えたい」「資本金を増やしたい」となると、証明書としての効力に影響する可能性があります。

対策支援を受ける段階で会社の基本設計を固めておくこと。 商号・本店・資本金・役員構成・事業年度は、証明書申請より前に決めきります。ここは税務の判断が絡む(特に資本金と事業年度)ので、支援受講と並行して税理士に相談しておくのが効率的です。

失敗3:予算切れ

補助金には予算枠があり、つくば市は「申請期間中であっても、予算がなくなり次第、募集を終了」と明記しています。

対策:年度後半(特に年明け以降)に設立予定の方は、早めに枠の状況を産業振興課に確認しておくことをおすすめします。

失敗4:期限(令和9年3月31日)を意識していない

現行の補助金は、令和9年(2027年)3月31日までに設立して代表者となることが要件です。制度自体の期限でもありますから、2027年3月以降の設立を考えている方は、延長の有無を確認する必要があります。


よくあるご質問

Q. すでに会社を設立してしまいました。今から証明書を取れば軽減されますか?

A. できません。登録免許税の軽減は登記申請時に証明書を提出することが条件で、設立後の遡及適用はありません。ただし、創業関連保証の特例や公庫の利率引き下げなど、融資関連のメリットは設立後5年未満であれば使えます。融資を検討中なら取得する価値は十分にあります。

Q. 個人事業主が法人化する場合も対象になりますか?

A. 対象です。事業開始から5年を経過していなければ、証明書の発行対象になります。法人化のタイミングで登録免許税が半額+補助金で実質ゼロになるので、法人化を検討中の個人事業主の方には特にお伝えしたい制度です。

Q. つくば市以外で証明書を取って、つくば市で設立できますか?

A. できません。証明書を発行した自治体の区域内での創業・設立が前提です。つくば市で設立するなら、つくば市の実施機関で支援を受ける必要があります。

Q. 4回の支援は、1つの機関でまとめて受ける必要がありますか?

A. 機関ごとに支援メニューの組み方が異なるため、直接ご確認ください。一般的には、同一機関で継続的に支援を受ける形が証明手続き上スムーズです。

Q. 合同会社でも使えますか?

A. 使えます。登録免許税は0.7%→0.35%(最低6万円→3万円)に軽減され、補助金の対象にもなります。合同会社は定款認証が不要なので、補助されるのは登録免許税部分のみです。

Q. 会社設立と創業融資、どちらを先に進めるべきですか?

A. 並行が理想です。融資は法人設立後に申し込むケースが多いのですが、事業計画の作り込みは設立前から始めておくべきです。特定創業支援等事業の支援を金融機関で受けると、計画作りと証明書取得と融資相談が同時に進みます。


制度の話の先にある「設立の設計」

ここまで制度の話をしてきましたが、正直に言うと、この20万円よりも大きな金額が動く判断が、同じタイミングで発生しています。

  • 資本金をいくらにするか … 1,000万円以上だと消費税の免税が使えません。許認可の要件、融資審査での見え方、登録免許税額にも直結します
  • 事業年度をいつにするか … 設立初年度の月数、繁忙期との重なり、消費税の免税期間の長さが変わります
  • 役員報酬をいくらにするか … 原則として事業年度の途中で変更できません。この1回の判断が1年間の手取りと資金繰りを決めます

登録免許税の20万円は取り返しがつきますが、役員報酬の決め方を間違えた1年は取り返せません。 特定創業支援等事業の受講期間である「1か月以上」は、こうした設計をじっくり詰めるのにちょうどいい時間です。

FLOW会計事務所では、新規でご契約いただくお客様の約9割が創業1年未満の方です。つくば市・茨城で会社を立ち上げる方が最初につまずくポイントは、ほぼ共通しています。制度の使い方だけでなく、その先の設計まで含めてご相談いただけます。

FLOWのサポート

  • 会社設立サポート … 法人化の損得シミュレーションから、提携司法書士との連携による設立手続きの代行、設立後の各種届出まで
  • 創業融資サポート … 創業計画書の作成サポート、金融機関との連携・紹介
  • スタートアップ会計顧問 … マネーフォワード/freeeを活用した経理体制の設計から、月次決算・決算申告まで

「まだ具体的に決まっていない」という段階でのご相談を歓迎しています。むしろ、設立日が決まってしまう前にお話しできるほうが、選べる選択肢が多いというのが正直なところです。

無料相談のあとに契約いただく必要はありません。ご予約制で土日祝日も対応しています。


参考リンク(一次情報)

本記事は2026年8月時点の公表情報に基づいています。制度内容・予算枠・申請期限は変更される可能性がありますので、最新の情報はつくば市経済部産業振興課(029-883-1111)または当事務所までご確認ください。