相続での障害者控除

こんにちは、FLOW会計事務所の小針です!

今日は相続が発生した際に、相続人が障害者であった場合に適用できる「障害者控除」についてお話ししたいと思います。これは相続人の生活保障等を配慮してできたもので、一定の条件を満たすと摘要されます。

 

〈条件〉

  • 居住無制限納税義務者であること
  • 被相続人の法定相続人であること
  • 85歳未満のものであり、かつ、相続開始時において障害者であること

 

また、障害の中でも精神または身体に重度の障害がある者、例えば身体障碍者手帳で1級又は2級は特別障害者、3級~6級と記載されている者は一般障害者に該当します。

(特別障害者の場合)

障害者控除額=200千円×(85歳-その者の相続開始時の年齢)

(一般障害者の場合)

障害者控除額=100千円×(85歳-その者の相続開始時の年齢)

→年齢は1年未満切り捨てになりますので45歳7ヵ月の場合は45歳で計算します

 

この控除は自分の算出された相続税額から控除しきれない場合には、その者の扶養義務者(配偶者、兄弟姉妹、父母、子、三親等内の親族で生計を一にする者など)の税額まで控除できるため、今回は相続税が発生しなかった、ということもあります!

1つ注意していただきたいのは過去に控除を受けたことのある者はその範囲に満たなかった金額の範囲内でのみ控除を受けられる、ということです。当時の控除残額と今回発生した相続における控除金額、どちらか低い方での摘要となるので適用を受ける際はお気を付けください!以上、障害者控除についてでした!

相続の手続き…誰が何をやってくれるの?

こんにちは。FLOW会計事務所、野澤です。

今回は、「相続の手続き」についてです。

 

相続のご相談に来られたお客様から、相続の手続きについて質問を受けることがあります。「税理士・弁護士・司法書士、誰が何をしてくれるの?」といった質問が先日ありました。

 

実際に相続が発生してから初めて気づくこともいろいろありますし、相続人だけで対応が難しい場合には、専門家の力を借りることになります。

ただ、どの専門家に何を任せられるのか?と疑問に思われている方も多いと思います。

専門家により対応範囲が異なりますので簡単にまとめてみました。

 

①税理士

相続財産の評価と相続税の申告

税務の専門家であり、税務申告は税理士しかできない独占業務になります。

 

②弁護士

相続人同士での話し合いが不可能な場合や法的な手続きが必要になる場合、相続人の代理人として、相手(自分以外の他の相続人など)と交渉をしたり、裁判所に調停などの申し立てを行なうことは、弁護士の独占業務です。

法律の専門家です。

 

③司法書士

不動産の相続登記、名義変更

登記に関する手続きは、司法書士の独占業務となります。

 

一方、生前の「遺言書の作成」や相続発生後の「遺産分割協議書の作成」は①税理士②弁護士③司法書士、や行政書士、いずれも対応することができます。

ただ、いざ相続が発生してしまってから、自分に最適な専門家を見つけて依頼するのはなかなか難しいものです。

 

弊社、FLOW会計事務所は①の税務申告がメインとなりますが、お客様のご相談の内容に応じて各専門家へもお繋ぎさせていただいております。

会計や経理についてもご希望に合わせたサポートを行っておりますので、お困りの場合にはお気軽にご相談ください。

負担付贈与のメリットとデメリット

こんにちは!FLOW会計事務所の小針です!

今回は贈与についてお話しようと思います。相続対策の贈与のひとつに「負担付贈与」というものがあります。負担付贈与とは、贈与を受ける者に一定の債務を負担させることを条件にした財産の贈与をいいます。ただ“あげる”だけではなく、“何かしてもらう代わりにあげる”、そういった贈与です。

しかし場合によっては贈与する側、贈与される側の双方に税金が発生してしまう可能性があります。今回はそのメリットとデメリットをお伝えしたいと思います!

 

◆メリット

・ローンや介護、ペットの世話などの負担をしてもらえる

・一定の場合に契約を解除できる

・口頭でも成立することができる

 

◆デメリット

・約束通りに負担してくれない可能性がある

・予想外の税金がかかる可能性がある

・贈与物に不備、欠陥があるとトラブルになる可能性がある

 

 

※ただし不動産の贈与があった場合、評価は相続税評価額ではなく売買時価で評価されるため、相続するよりも高い税額になってしまうこともあります。

先も申し上げた通り、場合によっては双方に税金がかかってしまうこともあるので、検討するには注意が必要です。

 

負担付贈与のメリット・デメリットや、使った方がよいケース・使わない方がよいケースを比較して、税金で損をしないようにしましょう。

以上、簡単ではありますがご参考になれば幸いです!

成年後見制度について

こんにちは。FLOW会計事務所、野澤です。

今回は、成年後見制度(せいねんこうけんせいど)についてです。

成年後見(せいねんこうけん)という言葉、皆さんも聞いたことがあるかと思います。

 

これは、認知症や知的障害で判断能力が不十分な人の生活を支援する国の制度です。

判断能力が不十分である本人に代わり、お金の管理や契約等の手続きを行う第三者が「成年後見人」となる仕組みであり、本人がだまされたり不利益を被ったりするのを防ぐ目的があります。相続があった場合などに利用を開始される方もいらっしゃいます。

 

後見人によって保護される人を「被後見人」といいます。

認知症や障害のある家族を持つ側としては、ありがたく、頼りにしたい制度です。

但し、この制度を利用する場合には注意すべき点もいくつかあります。

 

①利用し始めたら、途中で後見人を替えることは困難である

②必要がなくなっても原則、利用をやめられない

③後見人には報酬を支払い続けなければならない

④報酬額の明確な基準がない

⑤本人や家族の意思を尊重しない後見人もいる(※あまりいないとは思いますが・・)

 

この制度の利用を開始する場合には、まず家庭裁判所へ申し立てを行い、家庭裁判所が後見人を選出します。

 

「自分や他の家族を後見人にしてほしい」と思っていても、実際には弁護士や司法書士、社会福祉士などの専門家が選ばれることが多いようです。

その場合、会ったこともない人が財産を管理したり生活を支援したりするようになるため、対応に不満がある、相性が合わないなどの問題が出てくる可能性もあります。

しかし、よほどの不正行為がなければ、後見人を途中交代させることはほぼ不可能であり、途中でやめることも現実的には難しいようです。

 

その理由は、本人の判断能力が回復しない限り、後見人の家族が問題を訴えても後見人のほうが法的に立場が強いことが多いためです。

 

これは、制度を利用する場合の一般的な注意点ではありますが、将来の相続などにも影響を与える可能性もありますので、ひとつの情報として今後のご参考になればと思います。

生命保険を活用した相続対策について

こんにちは!FLOW会計事務所の森です。

今回は“広い意味”での相続対策についてお伝えいたします。相続対策と言えば、相続税の節税(=納税額を減らすこと)をイメージされる方が多いかと思いますが、その他にもポイントはあります。また、その優先順位は以下の通りであると思っています。あくまで個人的見解ですm(__)m

争族対策 > 納税資金対策 > 相続税対策

以下、順に解説していきます。

①【争族対策】

読んで字のごとく、家族で争わないため(もしくはそのリスクに備えるため)の対策のことです。「うちの家族に限ってそんなことはないよ!」とお話しされていたご家族でも、お金が絡むともめてしまうことがあります。相続がきっかけで家族がバラバラになってしまうのは最も悲しいことです。

②【納税資金対策】

相続税の納付に困らないための対策のことです。相続税の納付期限は相続発生日から10ヶ月で、現金で一括納付することが原則です。相続人や財産額を確定させ、分割協議の後に預金の解約手続きを完了させるまでには、かなりの時間を要します。また、不動産等を売却して現金化する場合には、それ以上の時間がかかります。引き継いだ相続財産から納税することを検討している場合には、ご注意が必要です!

③【相続税対策】

相続税を減らすための対策のことです。相続税の計算方法は複雑ですが、遺産総額が大きいほど、相続税率が上がり、納税額も増えるということは間違いありません。遺産総額の圧縮(=正の財産を減らす、負の財産を増やす、またはその両方)ができれば、相続税を節税できるという仕組みになっています。

1つでも対策が不十分ですと、実際に相続が起きた時に困ってしまいます。上記3つの対策ができるものの代表例として「生命保険」の活用があります。生命保険を活用することで、以下のようなメリットが挙げられます。

1.受取人を指定できる(①)

2.保険金の支払いがスムーズに行われ、手元に素早く現金が入る(②)

3.保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を活用できる(③)

4.相続放棄をした場合でも受け取れる

メリットが多くある一方、長期間の保険料支払いにより資金繰りが大変になったり、親族間で不公平感が出てしまった場合に争いの火種になってしまうというデメリットも考えられので、そちらもご留意いただく必要があります。

生命保険の活用がすべてではありませんが、親族関係を整理し、財産を棚卸してみることで、他にはない相続対策になる可能性があります!弊社では、相続に関する無料相談も実施しております。何かお困りごとがありましたら、ぜひご相談ください!

最後までお読みいただきありがとうございます!

住宅資金贈与の非課税措置延長について

【住宅資金贈与の非課税措置延長について】

税理士法人FLOW会計事務所です。

先日、令和6年度税制改正大綱が発表されましたが、住宅資金贈与の非課税措置についても延長が決定しました!

 

今回は、令和6年度以降の住宅資金贈与の非課税措置について解説させていただいます。

 

◇期間

令和6年1月1日~令和8年12月31日

◇贈与税非課税限度額

質の高い住宅:1000万円

一般住宅:500万円

◇床面積要件

50㎡以上

合計所得金額が1000万円以下の受贈者に限り、40㎡以上50㎡未満の住宅についても適用

◇質の高い住宅の要件

以下のいずれかに該当すること

[新築住宅]

断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上

*令和5年末までに建築確認を受けた住宅又は令和6年6月30日までに建築された住宅は断熱等性能等級4又は一次エネルギー消費量等級4以上

②耐震等級2以上又は免震建築物

③高齢者等配慮対策等級3以上

[既存住宅・増改築]

①断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上

②耐震等級2以上又は免震建築物

③高齢者等配慮対策等級3以上

親の年齢が60歳未満であっても相続時精算課税制度を選択できる特例措置についても3年間延長する。

 

主な改正点は赤字の部分です。延長前(令和5年12月31日まで)よりも1000万円非課税を受けるために必要な等級の要件が上がりました。

(延長前は「断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上」で充足できました)

 

以上、個人の方からよくいただく質問の1つでもある、住宅資金贈与の非課税措置延長について解説させていただきました。

少しでも参考になれば幸いです!

今年の生前贈与はお済みですか?

暦年贈与が変わります!

【今年の生前贈与はお済みですか?】

こんにちは!FLOW会計事務所の森です。

今年の冬はスーパーエルニーニョが発生し、暖冬になるようですね。11月に入りましたが、いまだに半袖シャツにも出番があり衣替えが進まない今日この頃です。

さて、今日は施行日(令和6年1月1日)が直前に迫った相続税法(相続税・贈与税)の改正のうち、「相続時精算課税」についてご案内いたします。なお、「暦年課税(贈与)」の見直しについては、別のブログで紹介しておりますので、ご興味のある方はそちらもあわせてご覧ください!

暦年贈与が変わります! – 税理士法人FLOW会計事務所 (flow-kaikei.com)

まず、2種類の贈与について概要をまとめます。

「暦年課税」には受贈者(=贈与を受ける人)ごとに毎年110万円の基礎控除がある一方、最高税率は55%にもなる累進税率が採用されております。贈与額が大きくなるほど贈与税負担が重くのしかかり、どうしても少額の贈与を実行するケースが多くなります。

一方、「相続時精算課税」は、直系の親族間(親→子、祖父母→孫)でまとまった金額の贈与を行う際に贈与税負担を軽減させる効果があります。選択を行った時から贈与額を累積していきますが、2,500万円に達するまでは贈与税がかかりません。また、2,500万円を超えた場合でも、一律20%の贈与税負担です(相続時精算課税で3,000万円を贈与した場合、100万円の贈与税負担で済みます)。ただし、仮に累積額が2,500万円に届かなかった場合や、贈与から数十年経過後に相続が発生した場合でも、相続税を計算する際には必ず持ち戻しを行う(=加算する)必要があります。

そんな相続時精算課税ですが、今回改正されたのは次の2点です。(いずれも令和6年1月1日以降の贈与に適用されます)

①相続時精算課税に係る基礎控除(110万円)の創設

②相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例の創設

①により、毎年110万円までの部分は累積額に含めなくてもいいことになりました。贈与税も相続税もかからない部分が出現するという大きな改正です!

贈与財産は、贈与した時の課税価格をもって(=固定の金額で)相続財産に加算されていましたが、②の改正により、土地・建物が災害で一定以上の被害を受けた場合は、相続時に再計算する見直しを行うこととされました。

相続時精算課税を推進するために、使い勝手をよくした(=受贈者にメリットを作った)改正になりますね!ただし、以下のようなケースではデメリットになります。

Ⓐ相続までの期間に、不動産や有価証券の価値が大きく下落した場合(上記②以外の理由)

→贈与時の課税価格(現在価値よりもはるかに高い金額)に相続税が課税される

Ⓑ数年後に暦年課税の方が有利だと気が付いた場合

→本制度を一度選択してしまうと、その贈与者からの贈与に暦年課税が適用できない

Ⓒ受贈者が贈与者より先に死亡してしまった場合

→同じ贈与財産に対して、二度の相続税がかかる可能性がある

上げればまだまだありますが、代表的な例をご紹介しました。基本的には課税されるタイミングを将来(=相続時)に先送りしているため、実際の相続が発生するまでは本制度を適用してよかったかどうかの結論は出ないということになります。

1つ確実な点としては、今年いっぱい(令和5年12月31日まで)の贈与は従来のルールが運用されているということです。今年行った暦年贈与までは3年以上経過すれば将来の相続財産には加算されないことになります!改正後の相続時精算課税の適用をお考えの方、暦年贈与の加算期間が相続発生前7年に延長されることで悩んでおられる方もいらっしゃるかもしれませんが、まだ2か月弱期間が残っておりますので、年内の贈与の実行を前向きにご検討いただくこともよろしいかと思います。

今回の税制改正を受けて贈与の仕組みが複雑化し、暦年課税と相続時精算課税のどちらが有利かについても即答できなくなりました。将来「必ず」発生する相続のことをよく考えた上で、ご家族構成・財産状況等を総合的に判断し、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で実行に移していただくことが必要かと思います。贈与を実行する上で不安のある方は、ぜひ弊社までご相談ください!

最後までお読みいただきありがとうございます!

相続セミナー告知

【相続セミナー告知】

税理士法人FLOW会計事務所です。

10月に相続に関するセミナーに登壇させていただくことになりました。

詳細は下記となります。

日時:10月4日(水)14時~15時30分

場所:つくば市広岡交流センター(つくば市下広岡410-167)

定員:20名

地域の方向けに相続税に関するお話をさせていただく予定です。

終了後には無料個別相談も開催予定なので、気になる方はお気軽にお問い合わせください!

*9月14日追記

大変ありがたいことに9月14日時点で既に30名以上のご応募をいただいており、ご応募者様全ての方へご案内が難しい状況となっております。申し訳ございません。

来年も開催予定ですので、詳細が決まりましたら改めて告知させていただきます。

また、相続税については直接個別にご相談(初回無料)を承ることも可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

令和5年分の路線価が国税庁より公表されました

【令和5年分の路線価が国税庁より公表されました】

こんにちは。FLOW会計事務所、野澤です。

今回は、相続税や贈与税評価額の算定基準となる「路線価」についてです。

「路線価」とは、国税庁が毎年7月に公表する、その年の1月1日時点における道路に面した1㎡あたりの評価額のことです。

相続税や贈与税において土地等の価格は、時価により評価することとされていますが、申告の便宜や課税の公平を図る観点から、評価額の算定基準となる「路線価及び評価倍率」を国税庁が公開しています。

一般的に公示地価の8割が目安と言われ、売買例や不動産鑑定士の意見を参考に国税庁が算出したものです。令和5年分も先月3日に公表されました。

令和5年は、コロナ渦からの回復もあり全国平均で前年より1.5%上昇したようです。

25都道府県で上昇し、上昇率が最も高かった1位は北海道とのこと。再開発などによる札幌市及びその周辺地域での地価上昇が影響しているようです。プロ野球ニッポンハムファイターズの新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」の開業も話題になりましたね。

上昇率は北海道が1位ですが、価格でみると、全国で最も路線価が高いのは、やっぱり東京都。中央区銀座5丁目、銀座中央通りです。1㎡あたり4,272万円で、38年連続1位。不動ですね。

わが茨城県はというと、上昇率は前年比0.4%増で県内の上昇率1位は守谷市中央1丁目。県内最高路線価1位は、つくば市吾妻1丁目、つくば駅前広場線で1㎡あたり31万円。県庁所在地の水戸市(水戸駅北口22万円)を大きく超えています。

都心へのアクセスが良い、つくばエクスプレスTXやJR常磐線の駅周辺の地価上昇が影響しているようです。

「路線価」は国税庁のホームページから誰でもみることができますので、気になる方はぜひ検索してみてください。

暦年贈与が変わります!

暦年贈与が変わります!

【暦年贈与が変わります!】

税理士法人FLOW会計事務所です!

令和5年度の税制改正によって、贈与税について2つの大きなトピックがありました!

◇暦年課税制度の見直し

◇相続時精算課税の見直し

今回は暦年課税制度の改正案についてご案内させていただきます。

結果としては、とてもややこしくなってしまいました…

まずは、これまでの暦年課税制度について確認してみましょう!

【これまで】

①非課税の限度額

年110万円までの贈与なら贈与税がかかりませんでした。

②相続時の持ち戻し

贈与をした人が亡くなった場合、亡くなる前3年以内の贈与については金額問わず相続財産に加算が必要でした。

【令和5年改正案】

①非課税の限度額

「これまで」と変わらず、年110万円までの贈与であれば贈与税はかかりません。

②相続時の持ち戻し

「これまで」の亡くなる前3年以内の贈与の持ち戻しに加えて、さらにその4年前までの贈与についても相続財産に加算しなければならなくなりました。ただし、この4年間については贈与した財産額がまるっと相続財産に加算されるわけでなく、100万円を控除した残額が加算されることになります。

*持ち戻しとは

持ち戻し対象の金額については、相続が発生した際の相続財産に含めて相続税を計算することとなります。仮に持ち戻しが必要な財産が100万円あった場合には、100万円を相続財産に加算して相続税を計算する必要があるので、贈与した時の贈与税はかかっていなくても、後々、相続税がかかってしまう場合があります。

②相続時の持ち戻しについて理解いただくのはけっこう難しいと思います。

例で考えてみましょう。

例えば、亡くなる前の7年間で毎年100万円ずつ贈与していたとします。

【これまで】

相続財産に加算されるのは3年以内の贈与に限るので、相続財産に加算しなければならないのは300万円(=100万円×3年分)になります。それより前の400万円(=100万円×7年分)については持ち戻しは必要ありません。

300万円部分は相続財産に加算して相続税を計算する必要があり、相続税が発生する可能性がありますが、400万円部分は持ち戻しが不要だったので、相続財産に加算する必要もありませんし、この400万円部分について相続税が発生する心配もありませんでした。

【令和5年改正案】

これまで同様、3年内に贈与した300万円については相続財産に加算します。

そして、それより前の4年間の贈与400万円部分についても300万円(400万円△100万円)をさらに相続財産に加算する必要があります。

結果として600万円を相続財産に加算する必要があります。

これまではそれより前の400万円部分については相続税はスルーされていましたが、ココの部分についても贈与時に贈与税がかからなくても、あとあと相続税が発生する可能性が出てきたわけです…

以上が暦年贈与の改正案なのですが、おそらくなかなかご理解いただくのは難しいかもしれません。

ただ、計画的に生前対策を考えられている方にとっては、影響が大きくなるものとなりますので、もし、ご不安やご質問がございましたら、ご遠慮なくご相談いただければと思います。

以上、簡単ではございますが、暦年課税の令和5年度改正案についてご案内させていただきました。

最後まで読んでいただきありがとうございました!