より利用しやすくなったキャリアアップ助成金の「正社員化コース」

こんにちは。FLOWの会田です。

今回は社員採用で利用される方も多いキャリアアップ助成金の「正社員化コース」のご紹介です。

 

◆そもそも正社員化コースって?

「正社員化コース」とは、就業規則などの規定に基づき、有期雇用労働者等を正社員に転換等をした場合に助成金が支給される助成金です。

有期雇用労働者“等”となりますので、無期雇用労働者も対象になります。

 

「正社員化コース」とあるものの、正社員への転換だけでなく、短時間正社員といった多様な正社員への転換等も対象となります。

 

 なお、事前にキャリアアップ計画書を所轄の労働局へ提出する事が必要なため、利用をお考えの際は提出漏れにご注意ください。

 

◆助成額は?

1.有期雇用労働者→正社員:80万円(通算雇用期間が5年超の場合は40万円)

2.無期雇用労働者→正社員:40万円

  ※1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は20名

 

◆拡充された要件は?

今回拡充された内容は、以下のとおりです。

 

①支給対象期間の見直し

支給対象期間が「6ヶ月」から「12ヶ月」に拡充されました。

 

②有期雇用労働者の要件緩和

有期雇用労働者から正社員に転換する場合、有期雇用の期間が6ヶ月以上であれば対象社となれるよう緩和がされました。

 

 以前は通算3年以内であることが必須でしたが、今回は広く対象者とすることができるようになりました。

 

◆初めての場合は加算がある!

これからキャリアップ助成金を受けようとする場合、就業規則等の追記が必要になることが考えられます。

 

新しく規定する制度が正社員転換制度であれば20万円が、多様な正社員制度では40万円の加算を受けることができます。

当然、規定した制度に沿う雇用区分に転換等をすることが必要なため、規定作成だけで終わらないようにご注意ください。

なお、この加算措置は1事業所1回のみの支給となります。

 

いかがでしたでしょうか?

ちなみに私は前職が東京だったのですが、今回紹介する「正社員化コース」を受けて入社しました。

 

 多くの場合、会社の成長には人の採用もセットになりますので、キャリアアップ助成金が受給できるか検討してみてはいかがでしょうか?

倒産防止共済について!

税理士法人FLOW会計事務所です。

今回は、資金繰りについてのお話です。

みなさん、中小倒産防止共済(経営セーフティ共済)はご存知でしょうか?

一言でお伝えすると「国(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)が、倒産リスクからあなたを守る共済」です。

 

今回は、中小企業倒産防止共済(以下「倒産防」)について、シンプルに解説いたします。

 

まず、この制度は、倒産防止「共済」という制度名称なのですが、「共済金の貸付」「一時金の貸付」という2つの側面から資金繰りをサポートしてくれます。

なお、いずれの貸付を受ける場合でも、1年以上事業をやっていて、かつ、一定期間以上にわたって掛金を納めていることが必要になります。

 

月の掛金は5,000円~200,000円までの範囲(5,000円単位)で自由に選べて、支払った掛金は経費で落とすことができます。また、累積の掛金総額は800万円まで掛けられます。

 

◇共済金の貸付

①貸付を受けられる条件

取引先事業者が倒産し、売掛金債権や前渡金返還請求権が回収できなかった場合

*ただし、取引先が「夜逃げした場合」「倒産防を利用してから6か月未満で取引先が倒産した場合」「倒産までに倒産防の掛金を6か月以上払っていない場合」などの場合には貸付は受けられません。

*「倒産」とは破産や再生手続開始等の申し立てがなされた場合や手形交換所に参加する金融機関で取引停止処分を受けた場合を意味します。

 

②貸付限度額

「回収困難となった売掛金債権等の額」と「掛金総額(前納掛金は除く)の10倍に相当する額のいずれか少ない額」となります。

 

③貸付利子

無利子のため、利子自体はありません。

ただし、貸付を受けた金額の10分の1の金額が、これまでの掛金総額から差し引かれますので、実質有利子とも言えます。

 

④返済期間

貸付額が5000万円未満の場合⇒5年

貸付額が5000万円以上6500万円未満の場合⇒6年

貸付額が6500万円以上8000万円未満の場合⇒7年

上記の各返済期間には6か月の据置期間が含まれています。

 

以上が共済金の貸付の概要になっています。

いかがでしょうか?

不測の事態に備えられることが最大のメリットですが、貸付の条件が厳しいことと返済期間が難点ではあります。

5000万円借りても据置除くと4.5年で元本を返済しないといけません。この場合、1か月に90万円近く返済しなければなりませんからね…

 

◇一時期金の貸付

①貸付を受けられる条件

とくにありません。

取引先が倒産していなくても、必要に応じて貸付を受けることができます

 

②貸付限度額

掛金納付月数1か月~11か月⇒0円

掛金納付月数12か月~23か月⇒掛金総額×75%×95%

掛金納付月数24か月~29か月⇒掛金総額×80%×95%

掛金納付月数30か月~35か月⇒掛金総額×85%×95%

掛金納付月数36か月~39か月⇒掛金総額×90%×95%

掛金納付月数40か月以上⇒掛金総額×95%×95%

掛金総額が掛金上限(800万円)の場合⇒800万円×100%×95%(760万円)

 

③貸付利子

金融情勢によって変動がありますが、0.9%程度が想定されます。

 

④返済期間

1年間

 

こちらも、満額760万円借りて、1年返済となると月63万円程度の返済となります。

返済期間が短いので、運転資金として貸し付けを受けるというよりかは、共済同様に緊急時の臨時借入としての位置づけで利用するケースがほとんどかなと考えています。

もしくは、「支払いサイトが先行し過ぎて入金までの期間が長い場合」のつなぎ的な用途が想定されます。

 

◇解約について

倒産防を解約する場合には、解約手当金というかたちで掛金の全部から一部が戻ってきます。

解約手当金=掛金総額×支給率(~100%)

 

ただし、掛金の支払っている期間が12か月未満の場合には、解約手当金はゼロ円です。

 

◇税務上の取り扱い

掛金:個人法人ともに経費に算入できます。

解約手当金:個人法人ともに収入として計上する必要があります。

 

以上、簡単ではございますが、制度概要になります。

 

税金の観点からお伝えすると、倒産防を節税スキームとして利用するのは難易度が高いと考えています。

理由としては、単なる課税の繰り延べになってしまう可能性が高いためです。

 

例で考えてみましょう。

~法人の場合(法人税率33%と仮定した場合)~

①複数年掛けて掛金総額800万円をかけたとき

通算264万円(800万円×33%)税金が減ります。

②解約手当金800万円を受け取ったとき

受け取った解約手当金800万円に対して264万円の税金が課されます。

 

掛金を支払っていたときには税金が減って、受け取ったときには税金が増えます。結果として課税を受けるタイミングを後ろに引き延ばしただけになっています。

 

「解約手当金を受ける事業年度が赤字であれば264万円の税金はかからないのでは?」

という意見もあると思います。

 

これについても例で考えてみましょう。

①複数年掛けて掛金総額800万円をかけたとき

通算264万円(800万円×33%)税金が減ります。

②赤字900万円の年に解約手当金800万円を受け取ったとき

赤字900万円>800万円⇒赤字900万円が解約手当金800万円を上回るため、その年は納税がありません。

 

掛金支払い時に264万円税金が減って、解約手当金800万円は赤字と相殺で無税になるのであれば、最高の節税じゃないか!と一見思います。

 

しかし、どうでしょうか。

法人でも個人でも青色申告であれば、赤字を翌年以降に繰り越して、その赤字を翌年以降の黒字と相殺することができます。

この場合、解約手当金があった場合に翌年以降に引き継げる赤字は100万円。解約手当金が無かった場合に翌年以降に引き継げる赤字は900万円。

引き継いだ赤字は、翌年以降の黒字と相殺できることを考えると、解約手当金は赤字のタイミングで解約をしても黒字のタイミングで解約をしても、通年で見ると結論は同じということにお気づきでしょうか。

 

法人は課税所得が800万円超えると税率が上がります。

個人は累進課税で課税所得の多寡によって税率が変わります。

 

掛金を支払っている期間は税率が高めになるように、解約手当金を受け取る年は税率が低めになるように課税所得を調整すれば幾分の節税効果は見込めますが、狙ったとおりに売上や経費の計画を進めることは至難の業なので、「倒産防を節税スキームとして利用するのは難易度が高い」とお伝えさせていただきました。

 

難しい話になってしまいましたが、少しでもイメージが伝われば嬉しいです。

 

以上からも倒産防の使い方としては、節税がメインではなく、緊急時に備えて加入していただくのが良いかと思います。

 

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

 

補助金の基礎知識~注意点~

あけましておめでとうございます!

FLOW会計事務所の正木です!

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

さて、今回は前回に引き続き「補助金の基礎知識」ということで申請にあたっての注意点をまとめました。

前回の記事とあわせて、申請時のご参考にしていていただけたらと思います!

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▼注意点

1、補助金は「後払い」である

補助金は原則後払いとなっており、自己資金で事業をスタートさせて、「申告通りに事業を行っていることを確認できたら、もらえるもの」になります。

そのため自己資金で足りない場合には、融資等他の方法で資金調達をする必要があるので、あらかじめ金融機関に相談をしておくと良いでしょう。

 

2、対象経費が決まっている

補助金によって対象となる経費や、上限の金額が決まっています。

開始する事業にかかる、すべての経費が対象にはならないので注意が必要です。

また、補助金は実際に使った分しか支給されません。多めに見積もって経費の申請したが、実際の経費はもっと少なかったとなると、補助金の枠を100%活用することができなくなってしまうことがあります。そのため、経費の申請時には適正金額で申告をすることがポイントとなります。

 

3、事業は決定通知到着後にスタートする

事業開始のタイミングによっては補助対象外となってしまうことがあります。

「採択決定→補助金交付決定通知の到着→事業スタート」の流れになるようにしましょう。

また、事業スタートとはどこからかというと、実際に契約をしたり、発注・受注をしてしまうと事業がスタートしているとみなされ、補助金がおりなくなってしまう可能性があるので、注意が必要です。

 

4、補助金は課税対象になる

補助金は原則、法人税の計算上収入とみなされる「課税対象」になります。

そのため補助金がおりた年は納税金額が高くならないよう、「圧縮記帳」という会計処理が適用できますので、税理士にご相談ください!

5、事業期間終了後の確認がある

事業期間終了後、数年間「補助事業の成果」や「経営状況」について報告書を提出しなければならない補助金もあります。

この報告書に不備があったり、申告していた目的以外の経費に補助金を使ったりしていると採択の取り消しや、減額等のペナルティが課せられることもあります。

必ず申請時の手引を確認し、事業期間終了後の義務まで把握するようにしましょう。

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補助金によってそれぞれ概要や申告の仕方、事業期間後の報告の有無など違いがあります。

次回からは実際に有名な補助金をピックアップして紹介していきますので、ぜひご覧ください!

 

補助金の基礎知識

【補助金の基礎知識】

こんにちは!FLOW会計事務所の正木です!

私は今補助金関係のサポートもさせていただいており、今後補助金についてもブログで触れていけたらと思います!

今回は補助金の基礎知識についてざっくり3点まとめた基礎知識編です。

 


 

▼補助金とは?

そもそも補助金とは、国や県などの自治体がやりたい政策にあった事業や活動をしている事業者にむけ、支援をする制度です。

そのため返済の必要はありませんが、申請をしても必ず通るものではありません。

また、いつでも申請できるものではなく、それぞれの補助金に対して公募期間が設けられており、その期間も約1ヶ月と短いものがほとんどです。

そのため、補助金を申請したい方は今何の補助金があるのか、常に情報収集をしておく必要があります。

 

▼補助金と助成金の違い

この2つの違いはお客様と話していてもよく出る話題です。

管轄省等様々な違いはあるのですが、申請にあたって大きな違いは応募期間と審査についてです。

・補助金:応募期間中に申請し、審査がある

・助成金:通年申請ができ、審査はない

助成金は受け取るための条件があり、それを満たしていれば審査はなしで受け取ることができます。

それに比べて補助金は期間中に申請をして、審査を受け採択された事業者のみが受け取ることができます。

そのため、補助金の方が受け取れる金額は大きいですが、審査資料の準備等手間もかかってしまうのが補助金です。

 

▼メリット

資料準備等少し大変なイメージの補助金ですが、もちろんその分メリットがあります。

①返済不要のお金がもらえる

補助金とは、でも触れましたが融資と異なり返済不要で資金をもらうことができます。

②事業価値がアップする

厳密な「補助金の審査に通った」ことで信用度が上がり、企業の信用度のアップに繋がります。

③事業計画を見直すことができる

資料準備で事業計画を作成するため、事業計画を客観的に見ることができます。

 


 

次回は注意点などにふれていきます。

そもそも補助金がよくわからない、という方はぜひご覧ください!

中退共で退職金の準備をしよう!

中退共で退職金の準備をしよう!

税理士法人FLOW会計事務所です。

弊社はスタートアップのクライアントさんが多いのですが、ある程度、軌道に乗ってくると必ず出るお話が従業員の退職金についてです。

そんなときにおすすめをするのが「中退共(中小企業退職金共済)」です。

今回はその中退共についてシンプルにお伝えします。


◇中退共の概要

自社で従業員の退職金を積み立てていき、その従業員が退職をしたときに、中退共がその従業員へ退職金を支払う制度になっています。

なお、運営母体は厚生労働省管轄の「独立行政法人勤労者退職金共済機構中小企業退職金共済事業本部」のため民間ではございません。

https://chutaikyo.taisyokukin.go.jp/


◇中退共の加入条件

中退共を利用できる中小企業の条件は下記となります。

小売業:常用従業員数50人以下or資本金出資金が5,000万円以下

サービス業:常用従業員数100人以下or資本金出資金が5,000万円以下

卸売業:常用従業員数100人以下or資本金出資金が1億円以下

一般業種(製造業等):常用従業員数300人以下or資本金出資金が3億円以下

条件はあるものの、ほとんどの中小企業は該当するかと思います。


◇加入できる従業員

原則として全従業員を加入させる必要があります。

しかし、下記の従業員は除かれます。

・経営者や役員

・有期契約の従業員

・試用期間中の従業員

・短時間労働者

・定年などで相当の期間内に雇用関係が終了することが明らかな従業員

・小規模企業共済に加入している従業員

・他の特定業種退職金制度に加入している従業員 等


◇中退共の掛け金について

自社では退職金の積み立てとして、中退共へ掛金を支払う必要があります。

この掛金、1人当たり月額5,000円~30,000円で設定することができ、従業員ごとに任意で選択することができます。

なお、週30時間未満の短時間労働者の場合は、月2,000円、3,000円、4,000円の中から選択することも可能です。

また、掛金はいつでも変更することは可能なのですが、減額の際には「従業員の同意」を得なければなりません。そのため、中退共を利用する際には、いきなり高額な掛け金でスタートしないほうが良いでしょう。


◇加入までの手続き

①加入する従業員の同意を取ります。

②掛け金月額を決めます。

③必要書類の記入及び申請


◇企業側のメリット

①掛金が全額損金

払った掛金を全て経費にすることができます。

②一部、助成アリ

中退共に加入すると、一定期間、掛け金の半分が国によって助成されます(ただし従業員ごとに5,000円まで)。また、掛け金を増額する場合にも一部助成金を受けることができます。

③従業員へ掛金以上の退職金を支払うことが可

加入後3年7か月以上経過すると、退職金に運用利息がプラスされます。掛金以上の退職金を支払うことができるため、福利厚生の一環として従業員にアピールすることができます。

*ただし景気の動向によっては金利がゼロの場合もあります…


◇従業員側のメリット

①退職金を受け取れる

退職金を受け取れること自体がメリットです。

②転職先に通算できる

転職先も中退共に加入している場合、これまでの掛金を通算できます。

③福利厚生の施設を利用できる

中退共に加入者が利用できる福利厚生施設を利用する子ができます。


◇デメリット

①24か月未満で退職してしまうと元本割れする

24か月未満で退職した場合、退職金は掛金未満になります。

②掛金の減額が容易ではない

減額には従業員の同意が必要になるため、企業側としては最初に設定した掛金はその後もロックされると考えておいた方が良いでしょう。


以上、簡単ではございますが、中退共について解説させていただきました。

掛金も5,000円から設定できるため非常に利用しやすいです。

退職金制度をご検討されている方はぜひ参考にしていただけますと幸いです!

 

役員報酬は高すぎるとアウト?

税理士法人FLOW会計事務所です。

今回は役員報酬についてシンプルにお伝えします。

「役員報酬があまりにも高すぎると税務署から否認されるのか?」

よくいただく質問です。

税務署は役員報酬を2つの基準で判断します。


◇形式基準と実質基準

①形式基準

役員報酬を決める際は、定款の定めに応じ、株主総会や取締役会で決定し議事録を作成する必要があります。この議事録がない場合には形式を満たさないものとして役員報酬を否認される可能性があります。

②実質基準

①の形式基準を満たしていても、実質基準を満たしていない場合には役員報酬を否認される可能性があります。実質基準は以下になります。

・法人の収益状況

・役員の職務内容

・使用人給与の支給状況

・類似法人の役員報酬の支給状況

中小企業では、家族経営をしている会社も多くあります。本当は働いていないんだけど、役員として役員報酬を支給している場合、この場合には否認される可能性があります。「働いてない」=「役員の職務内容の基準を満たしていない」と認定されるためです。

「類似法人の役員報酬の支給状況」については神経質になる必要はありません。同業者でもうまくいっている会社の役員報酬とうまくいっていない会社の役員報酬が同額であるはずがありませんからね。

あくまで目安としてご承知おきください。


◇赤字企業の役員報酬について

役員報酬が多すぎて会社が赤字になるケースもよくあります。この場合は否認されるのか?

この話もそこまで神経質になる必要はありません。法人として支払うだけのキャッシュがあり、役員としてしっかり働いているのであれば問題になることは基本的にはありません。


◇事業年度の途中で役員報酬を下げる場合

原則として事業年度の途中で役員報酬を改訂することはできません。

ただし、下記に該当する場合には減額することは可能です。

(1)株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から役員給与の額を減額せざるを得ない場合

(2)取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、役員給与の額を減額せざるを得ない場合

(3)業績や財務状況又はが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給与の額の減額が盛り込まれた場合

(引用:役員給与に関するQ&A

役員報酬は原則として事業年度開始の日から3か月以内に決定する必要があります。

そのため、一旦は高めに設定し、キャッシュが足りなくなった場合に上記要件と照らして役員報酬減額の検討をしていただく方法もございます。


以上、簡単ですが「役員報酬は高すぎるとアウト?」について解説させていただきました。

少しでも参考になれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

融資を受けやすい損益計算書を作ろう

税理士法人FLOW会計事務所です。

今回は、「融資を受けやすい損益計算書」についてシンプルにお伝えします。

損益計算書に記載される利益の項目は大きく分けて5つです。


①売上総利益

計算式:売上高△原価

いわゆる粗利のことをいいます。

②営業利益

計算式:売上総利益△販売費及び一般管理費

本業での利益をいいます。

③経常利益

計算式:営業利益+営業外収益△営業外費用

本業で得た利益と本業以外で得た利益の合計。

④税引前当期純利益

計算式:経常利益+特別利益△特別損失

経常利益に通常の企業活動では生じないイレギュラーな利益を反映した金額。

⑤当期純利益

計算式:税引前当期純利益△法人税等

税引前当期純利益から法人税等を差し引いた最終利益


結論からお伝えすると、「⑤当期純利益」が良いのがベストです。

でも、コロナ禍において、そんな余裕はありません…

それでも、損益計算書の見栄えを良くしたい。

そんなときにおススメなのが、「②営業利益」「③経常利益」を良く見せる方法です。

そんなことできるのかって?できるんです。

例えば、特別償却。

これは、販売費及び一般管理費に計上することもできますが、イレギュラーな費用でもあるので特別損失に計上することもできます。

特別償却の金額分、販売費及び一般管理費が減って、特別損失が増えるので、「②営業利益」が上がって「④税引前当期純利益」が減ることになります。

金融機関の担当者は「②営業利益」「③経常利益」を見ることがほとんどです。

つまり、寄せることのできる経費は「④税引前当期純利益」「⑤当期純利益」に寄せてあげた方が金融機関の評価上、見栄えが良くなるということを意味しています。

ただ、全部が全部、販売費及び一般管理費の経費を特別損失に寄せるのはNGです。

特別損失に寄せられるのはイレギュラーな経費や損失だけですのでご注意を。

金融機関の融資でお困りの方は、ぜひ、検討してみてください。

以上、「融資を受けやすい損益計算書」についてでした。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

固定資産の支払いは一括?ローン?リース?

税理士法人FLOW会計事務所です。

今回は固定資産を支払い方法についてザックリわかりやすくご説明します。

基本、支払い方法は3パターン。


①一括払い・・・現金で一括購入

②ローン払い・・・借入をし、一定期間、毎月返済額として支払っていく

③リース・・・一定期間、毎月リース料を支払っていく


資金繰りの面から検討すると、「①一括払い」は、購入費の分だけ一時的にキャッシュが減るため避けるべきです。

そのため、「②ローン払い」or「③リース」どちらかになりますが、結論からお伝えすると、「③リース」が資金繰り上、有利になります。

両社とも毎月支払いが発生するわけですが、決定的な違いは負債の有無。

ローンは借入をするため、貸借対照表上、負債を計上しなければなりません。

一方、リースは、貸借対照表上、負債を計上する必要がありません。

資金調達の際、会社の借入は限度額が決まっています。

つまり、ローンを組んでしまうとその分、借入限度額が減ることになります。

例えば、2000万円まで借りることのできる会社が、500万円のローンを組んでしまうと、借入できる残りの金額は1500万円ということになる。

このご時世、借入の枠はできるだけ多く確保しておきたいところ…

そのため、何か固定資産を購入するときにはまずはリース払いを検討することがおススメです。

以上、固定資産の支払方法についてのザックリ解説でした。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

会社設立前に必要資金は計算できていますか?

【会社設立前に必要資金は計算できていますか?】

税理士法人FLOW会計事務所です。

今回は、必要資金のハナシ。

会社経営にはお金がいくら必要なのか把握できていますか?

「経営者には勢いとノリが必要!とりあえず会社作るぞ!」

コレ、命取りになります…

一昔前はコレだけでもイケました。なんでかって?日本の景気が良かったですからね。

あと、ネットが無かった時代では商品やサービスのライフサイクルが非常に長かったです。

テレビの時代は長かったですよね。日本国内で初めてテレビが発売されたのは1952年、松下電器からでした。テレビしかなかった時は、みんなが同じテレビ番組を視聴して、みんなが同じ芸能人やアイドルに胸をときめかせていたでしょう。

でも、ご存知の通り今は違います。ネット、スマホの普及でチャネルは莫大に増え、その分、そこには新たな商品やサービスが生まれています。

これによって、経営者には「勘」や「経験」のほか、来るべきタイミングで勝負できるよう「今、手元にお金がいくらあるのか?新たなビジネスに投資した場合の3か月後・6か月後・1年後の手残りはいくらあるのか?」などあらゆる状況を把握しておく必要があります。

「なりゆき」経営とならないよう「必ず」会社を作る前に必要資金を試算しましょう。


◇必要資金とは

必要資金を試算するうえで、代表的な項目は①設備資金②運転資金となります。

①設備資金

30万円を超える費用については、設備資金として試算しましょう。また、設備資金については高額になるケースが多いため、必ず業者や取引先から見積書をもらいましょう。

・保証金、敷金、礼金

会社のオフィスや店舗、工場、土地を借りるためには保証金や礼金、敷金が必要です。

・建築費

会社のオフィスや店舗、工場を建築する場合には建築費が必要です。

・機械類

特殊な事業で大きな設備を入れる場合には機械類の費用も必要です。

②運転資金

運転資金については「6か月~1年分」もしくは「事業が軌道に乗るまでの予測期間分」は確保していただくことが必要です。

・役員報酬、給与

最初から人を雇用する場合には給与の確保も必要です。代表者本人の役員報酬は最悪カットできますが、給与のカットは離職やサービスの質を低下させる原因に直結するので避けなければなりません。

・社会保険料(法定福利費)

法人の場合、社会保険の加入義務があります。会社が負担する社会保険料の支払い目安として、上記役員報酬や給与の20%程度を確保しておきましょう。

・旅費交通費

移動が主となるサービスの場合、ガソリン代や電車代、ETCの料金も確保する必要があります。金額は小さくても侮ってはいけません。毎日利用することで思っていたよりも大きな金額になることが多いので注意を。

・備品、事務用消耗品費

デスクやプリンター、筆記用具や印刷用紙などの費用も確保が必要です。

・地代家賃

テナントの場合は当然、毎月賃料が発生しますので要確保です。場所が決まっていなければ、候補地で構いません。インターネットで候補地を探してみましょう。

・水道光熱費、通信費

公共料金やインターネット利用料も会社経営には不可欠です。公共料金については実際に使ってみないと正確な数字もわかりませんので、1万円~5万円などで大まかに設定していただければ十分です。

・材料費

製造業や飲食業など、製品生成に材料が必要な場合には材料費も確保しなければなりません。材料費については、業者や取引先に可能な限り見積もりをしてもらいましょう。

・リース料

複合機や設備をリースする場合には、毎月払うリース料も確保しておく必要があります。リース料もリース会社に依頼をすれば概算見積書を作ってもらうことができます。

・外注費

作業の一部に外注に出す場合には外注費も運転資金に含めます。外注費も可能な限り見積書は入手したいです。


以上、代表的な設備資金と運転資金を列挙させていただきました。

必要資金とご自身で貯蓄した自己資金を比較してみていかがでしょうか?

足りない場合には金融機関から融資を受けることも検討する必要があります。

金融機関から融資を受けるまでには早くとも1か月超はかかります。

事業を開始する直前に「金融機関からお金を借りないとお金が足りない、どうしよう」なんてことにならないよう、会社を作るまでに必ず必要資金を試算、検討しておきましょう。

金融機関の格付けってナニ?

【金融機関の格付けってナニ?】

税理士法人FLOW会計事務所です。

今回は金融機関の格付けのハナシ。

融資を受ける際、そして融資を受けた後も定期的に金融機関はあなたの会社をモニタリングします。

モニタリングっていっても大げさなものではありません!

試算表や決算書を金融機関に提出することで、金融機関はあなたの会社の経営状況に問題が無いかどうかを判定をします。そして、この判定に用いられるのが「格付け」です。


◇「格付け」の材料

金融機関があなたの会社を格付けする際の材料は主に2点です。

①決算書3期分

②試算表(前の決算から一定期間経過している場合)

金融機関は上記の材料をベースに格付けをしていきます。


◇格付けのスコアリング

格付けの際には決算書や試算表の情報を基にスコアリングをしていきます。

主に10段階評価でスコアリングします。

・正常先:1~6

・要注意先:7

・破綻懸念先:8

・実質破綻先:9

・破綻先:10

借入が可能と判断される会社は1~7のいずれかに格付けされます。通常の借入を予定通り返済できておらず遅れ気味(リスケ)になっている会社は8や9に格付けされます。

格付けの評価方法は金融機関によってわずかに異なります。これは金融機関によって決算書のチェックポイントが異なるからです。

そのため、「A銀行では5の正常先に格付けされたけど、B銀行では7の要注意先として格付けされる」可能性はあります。ただし、「A銀行では3の正常先だったけど、B銀行では8の経営破綻先に格付けされる」ような金融機関によって大きく評価がズレることはありません。

それでは金融機関は決算書や試算表のどこを見るのでしょうか?


◇スコアリングポイント

①資本の厚さ

下記に該当する場合には評価が大きく下落します。

・資本欠損(資本金>純資産)

例えば、資本金が1000万円あるにも関わらず、純資産が800万円で合った場合、資本欠損に該当します。

・債務超過

純資産額がマイナスの場合は債務超過に該当します。

金融機関は赤字を補填するための融資を嫌うからです。

②不良資産の有無

長年同額で居座っている債権がある場合、不良資産と判定される可能性があります。

不良資産がある場合、表面的には債務超過ではなくても、実質債務超過とみなされる可能性があります。役員貸付金も不良資産と判定される場合があります。

③現預金

現預金があまりにも少ない場合、マイナス評価になります。目安としては月の売上げの1~2か月分は現預金としてストックしておきたいところです。

④借入の残高

一般的に月の売上の2~3か月分程度までであれば、比較的スムーズに融資を受けることができます。売上6か月分を超えてくると融資の審査が厳しくなる傾向があります。


お借入を検討する際には、上記スコアリングポイントをベースに一度ご自身の会社の決算書をご覧になってみてください。

また、これからお借入を検討される方は、上記スコアリングポイントに注意しながら経営判断をしていただくことをオススメします。

以上、簡単ですが金融機関の格付けのハナシでした。

最後まで読んでいただきありがとうございました。