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つくば市の創業融資は保証料が実質ゼロ|県と市の制度融資を整理

茨城県の創業支援融資には県の信用保証料補助があり、つくば市で創業する場合はさらに市が2分の1を補助します。合算で保証料の10割まで補助されるため、実質ゼロになり得ます。 ただし融資実行後の申請は認められません。仕組みと手順を整理します。

こんにちは。つくば市の税理士法人FLOW会計事務所、代表税理士の佐藤です。

これまで創業融資の記事では、日本政策金融公庫を中心に扱ってきました。ただ、実務では公庫と制度融資の二本立てが王道です。

そしてつくば市の制度融資には、他の自治体にはない上乗せがあります。 知らずに申し込むと、取り逃がします。

この記事の結論

  • 制度融資は、金融機関・信用保証協会・自治体の3者で成り立つ仕組み
  • 茨城県の創業支援融資は固定利率。運転資金7年以内(据置1年)、設備資金10年以内(据置2年)
  • 創業支援2号はスタートアップ創出促進保証に対応し、経営者保証が不要になる
  • 信用保証料に県の補助があり、つくば市はさらに2分の1を補助。合算で10割まで
  • 記事01で扱った特定創業支援等事業の証明書があると、設立までの猶予が2か月→6か月に延びる
  • 申込の起点は商工会・商工会議所の認定。金融機関ではない
  • 市の補助金は融資実行の3日前まで。実行後の申請は一切認められない

制度融資とは何か

公庫との違いを先に整理します。

日本政策金融公庫 制度融資
お金を貸すのは 公庫(政府系金融機関) 民間の金融機関
保証 原則不要 信用保証協会が保証
自治体の関与 なし 県・市が利率や保証料を支援
申込の起点 公庫に直接 商工会等の認定 → 保証協会・金融機関
必要な期間 3〜4週間 1〜2か月(関係者が多い分、長い)

制度融資は、金融機関が貸し、信用保証協会が保証し、自治体が費用を補助するという三者の組み合わせです。

金融機関にとっては保証協会が付くのでリスクが下がり、創業者にとっては実績がなくても借りやすくなります。その代わり、信用保証料という費用がかかります。

この保証料を、県と市が補助してくれるというのが今回の話です。


茨城県の創業支援融資

対象になる人

大きく2つのパターンがあります。

① これから創業する人

県内に住所または居所があり、2か月以内に会社を設立して事業を開始する具体的計画があること。創業資金総額の1割以上の自己資金が必要です。

② 創業して間もない会社

県内に事業所があり、設立から5年を経過していないこと。保証申込の時点で税務申告1期未終了の場合は、こちらも1割以上の自己資金が必要です。

ここで特定創業支援等事業が効きます

①の「2か月以内に設立」という条件、けっこう厳しいです。

ところが、つくば市の特定創業支援等事業に該当する場合、この期間が6か月以内に延びます。

記事01で解説したとおり、特定創業支援等事業の証明書は取得に最短2か月かかります。取得のために動いている間に、融資の申込期限が迫るという問題が起きるのですが、この緩和があるおかげで両立できます。

証明書の効果を整理すると、こうなります。

効果 内容
登録免許税 0.7% → 0.35%(新規創業促進補助金で実質ゼロ)
公庫の利率 引き下げ
創業関連保証 事業開始の6か月前から利用可能
県の創業支援融資 設立までの猶予が2か月→6か月

1枚の証明書で、ここまで効きます。 つくばで創業するなら、取らない理由がありません。

融資の条件

項目 内容
利率 固定利率(令和8年4月1日に改正されているため、最新は県のサイトで確認してください)
返済期間(運転資金) 7年以内(据置1年以内)
返済期間(設備資金) 10年以内(据置2年以内)
併用の場合 7年以内(据置1年以内)

公庫の新規開業・スタートアップ支援資金(運転10年・据置5年)と比べると、返済期間も据置期間も短めです。この違いは、使い分けを考えるときのポイントになります。

創業支援2号なら経営者保証が不要

創業支援2号は、国のスタートアップ創出促進保証に対応しています。これを使うと、経営者保証(社長個人の連帯保証)が不要になります。

会社が返済できなくなったとき、社長個人が背負わなくて済むということです。創業期のリスク設計として、非常に大きい論点です。

ただし経営者保証を外す分、保証料率は通常より高めに設定されています。そしてその保証料こそ、県と市が補助してくれる部分です。


保証料が実質ゼロになる仕組み

ここが本題です。

二段構えの補助

補助元 内容
茨城県 創業支援融資の信用保証料を補助
つくば市 信用保証料の2分の1を補助

そして、つくば市の要綱にはこう書かれています。

茨城県による信用保証料補助金との合算が、信用保証料の10割を超えない範囲とします。

裏返すと、10割までは補助されるということです。県の補助と市の補助を足して保証料の全額に達すれば、実質的な負担はゼロになります。

信用保証料は融資額と期間によりますが、数十万円になることも珍しくありません。そこがゼロになる可能性があるわけです。

つくば市の補助金の要件

対象になるのは、次の4つをすべて満たす方です。

  1. 市内に事業所がある、または開設する具体的計画がある(個人は市内に住所も必要)
  2. 商工会・商工会議所・中小企業団体中央会の認定を受けている
  3. 市税の滞納がない
  4. 信用保証料を分納しない

4つめは見落とされがちです。保証料を分割で払う契約にすると、補助の対象外になります。


申込の手順と、絶対に守る期限

全体の流れ

段階 やること 窓口
1 創業計画書を作る ―
2 認定申請 つくば市商工会など
3 認定書の交付 同上
4 市の補助金を交付申請 つくば市産業振興課
5 保証協会・金融機関への申込 金融機関経由
6 審査・保証決定 茨城県信用保証協会
7 融資実行 金融機関
8 実績報告(実行から20日以内) つくば市産業振興課
9 補助金の請求・入金(請求から約3週間) 同上

起点は金融機関ではなく、商工会等の認定です。ここを知らずに銀行に行って、話が進まないケースがあります。

期限は2つ。どちらも動かせません

① 市の補助金は、融資実行の3日前まで

つくば市は「申請は、必ず融資が実行される前に行ってください。融資が実行された後の申請は認められません」と明記しています。土日祝を除いて3営業日前です。

融資が下りて安心した後に気づいても、手遅れです。

② 年度の3月12日まで

上記と、年度の3月12日のいずれか早い日が期限です。年明けに動く場合は、この日付を強く意識してください。

さらに、申込期限内であっても予算がなくなり次第終了です。年度後半に創業予定なら、産業振興課(029-883-1111)に枠の状況を確認しておくことをおすすめします。


公庫と制度融資、どう使い分けるか

公庫が向く場面 制度融資が向く場面
スピード 3〜4週間で着金 1〜2か月かかる
据置期間 最長5年と長い 運転1年・設備2年
金融機関との関係 築けない 地元金融機関と取引が始まる
保証料 なし あるが補助で実質ゼロも
経営者保証 無保証人の相談が可能 創業支援2号なら不要

実務では併用が王道です

希望額が大きいとき、1行で全額を狙うより分散させたほうが通りやすいというのが実感です。

  • 公庫で運転資金を、制度融資で設備資金を
  • 公庫で急ぎの分を先に、制度融資を後から

そして制度融資には、公庫にはない副次効果があります。地元金融機関との取引が始まることです。

つくばには常陽銀行、筑波銀行、水戸信用金庫があります。創業期に口座と融資の実績を作っておくと、2期目以降のプロパー融資につながります。 公庫だけで完結させると、この関係が育ちません。

なお、これらの金融機関はつくば市の特定創業支援等事業の実施機関でもあります。 支援を受けながら関係を作れるので、一石二鳥です。


よくある失敗パターン

1. 融資実行後に補助金の存在を知る

取り返しがつきません。 事後申請は認められないと明記されています。融資の相談を始めた時点で、産業振興課にも一報を入れてください。

2. 銀行に直接行ってしまう

制度融資の起点は商工会等の認定です。銀行から案内されることもありますが、知らずに進めると手戻りが発生します。

3. 保証料を分納にしてしまう

補助の対象外になります。一括で払う契約にしてください。

4. 公庫の感覚でスケジュールを組む

制度融資は1〜2か月かかります。関係者が多いためです。「お金が必要な日の3か月前」に動き出してください。

5. 特定創業支援等事業の証明書を取らない

登録免許税、公庫の利率、保証の前倒し、県融資の期間緩和。4つの効果を同時に捨てることになります。


よくあるご質問

Q. 公庫と制度融資、両方申し込んでもいいですか?

A. 問題ありません。ただしそれぞれに同じ計画書を出すことになるので、数字の整合は必ず取ってください。片方で断られた事実を隠す必要はありませんが、聞かれたら正直に答えてください。

Q. 信用保証料はいくらくらいですか?

A. 融資額・期間・保証区分によって変わります。保証協会または金融機関に試算してもらえます。補助を前提に考える前に、まず実額を確認してください。

Q. つくば市以外で創業する場合は?

A. 県の創業支援融資と保証料補助は県内共通ですが、市町村独自の上乗せは自治体ごとに異なります。 土浦市、牛久市などそれぞれ制度が違うので、創業予定地の商工会にご確認ください。

Q. 経営者保証が不要になると、審査は厳しくなりますか?

A. 一定の要件(自己資金の割合など)があります。保証を外す代わりに、別の形で事業の確実性を示す必要があるとお考えください。

Q. 商工会に入っていないと認定を受けられませんか?

A. 会員でなくても認定申請は可能です。ただし事前に相談しておくと手続きがスムーズです。つくば市商工会は特定創業支援等事業の実施機関でもあるので、証明書の取得と同時に進められます。


制度は、知っている人だけが使えます

つくば市の保証料補助は、市のウェブサイトに掲載されています。誰でも見られます。

それでも取り逃がす方がいるのは、「融資を申し込む」という行為と、「補助金を申請する」という行為が、頭の中で別のものになっているからです。銀行に行き、保証協会の審査が通り、お金が振り込まれる。そこで完結したと思ってしまう。

融資実行の3日前という期限は、そういう油断を許しません。

私たちが創業のご相談を受けるときは、融資の話と補助金の話を必ず同じテーブルに載せます。 つくば市の制度は、県と市の二段構えになっている分、組み立てを知っていれば負担を大きく下げられます。

FLOW会計事務所では、新規でご契約いただくお客様の約9割が創業1年未満の方です。つくば市で創業する方の手続きは、毎年繰り返し扱っています。 順番と期限は、こちらで管理します。

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参考リンク(一次情報)

本記事は2026年9月時点の公表情報に基づいています。制度内容・費用は変更される可能性がありますので、最新の情報は各機関または当事務所までご確認ください。