支払があったときに気になるかもしれない取引のインボイスについて

【支払があったときに気になるかもしれない取引のインボイスについて

こんにちは。FLOWの会田です。

ニュースを騒がせていたインボイス制度がいよいよスタートしました。

 

そこで今回は、少し困るかもしれない取引のインボイスについてのご紹介です。

消費税のみ、かつ支払者側のみにフォーカスしていますので、その点ご留意ください。

国外の事業者にWeb広告(いわゆる事業者向け電気通信利用役務の提供)費用を支払った場合
課税売上割合が95%以上であれば、そもそも課税仕入れにならないため資料は不要で、課税売上割合が95%未満の場合もインボイスの保存は不要です。
資料は不要ですが、95%未満の場合のみ、帳簿に【相手の名称・仕入年月日・仕入の内容・支払対価の額・特定課税仕入れに係るものである旨】を記載しなければなりません。


国外の事業者に電子書籍(いわゆる消費者向け電気通信利用役務の提供)の購読料を支払ったとき

インボイスが必要です。以前に登録国外事業者だった会社は、自動的にインボイス発行事業者になっていますので、インボイスを回収・ダウンロードしておきましょう。


③従業員の健康診断の費用を支払った場合

宛名が会社の場合は、医療機関からのインボイスが必要です。
会社ではなく従業員本人の場合は、本人からの立替経費精算書等と従業員が受け取ったインボイスそれぞれが必要になります。

※従業員が立て替えた場合でも、宛名が会社であれば立替経費精算書等は不要です。

 

④新幹線代や航空券のキャンセルをして、解約手数料や払戻手数料を支払った場合

消費税が課される手数料については、インボイスが必要になります。

 

⑤仕入代金などの支払の際、振込手数料を支払った場合

窓口・インターネットバンキングからの振込は、インボイスが必要です。この際のインボイスは、窓口の場合は振込依頼書などになりますが、ネット振込の場合は銀行ごとに違うため、金融機関にご確認ください。

ATMからの振込であれば、インボイスは不要です。帳簿に【自動販売機特例 AA銀行BB支店】と記載すればOKです。

 

いかがでしたでしょうか?

挙げればキリが無くなってしまうため、5項目のみに絞っていますが、これらの支払いがあった際の参考になれば幸いです。

インボイスでよくいただく質問まとめ①

【インボイスでよくいただく質問まとめ①】

税理士法人FLOW会計事務所です。

インボイスがいよいよ始まりました。

今回は、個別論点のうち、よくご質問をいただく3点を結論ベースでお伝えしたいと思います。

①クレカ明細を保存すれば、領収書等の保存はしなくても仕入税額控除はできるの?

原則として、クレカ明細と領収書等の両方を保存しなければ仕入税額控除をすることはできません。

簡易課税や2割特例を利用する場合には、領収書等の保存をしなくても仕入税額控除の適用はできますが、「簡易課税だから保存しない」「簡易課税ではなくなったから保存する」といったように課税形式を変えるたびに保存書類をパターン分けするのは煩雑ですので、経理実務上は一律で「領収書等は保存する」というルールにしてしまったほうがおススメです。

②水道料金はどうやってインボイスを取得すれば良いの?

原則として「検針票」をインボイスとして保存いただければOKです!

③10月1日になってもインボイスの登録通知が届かない場合にはどうしたら良いの?

インボイスの登録が完了次第、事後報告いただければOKです!

 

以上、シンプルではございますが、ここ最近でよくいただく質問を解説させていただきました!

少しでもご参考になれば幸いです!

ETCのインボイス対応が変更されました

【ETCのインボイス対応が変更されました】

税理士法人FLOW会計事務所です。

当初、ETCクレカの利用にあたり、クレカの明細書の他、その全ての利用分に係る「利用明細書」を保存しなければ仕入税額控除の適用ができないというものになっていました…

毎回、ETCクレカを利用するごとにウェブ上の「ETC利用照会サービス」にログインして「利用明細書」を取得しないといけないなんて手間&煩雑過ぎて途方に暮れる方も多かったと思います。

上記のような声が多かったのでしょう。

インボイスがはじまる直前の9月15日に上記の対応について見直しがなされました。

ETCクレカを利用した場合の利用明細書は「利用分全て」を保存するのではなく「利用した高速道路会社等の1回分の利用明細書の保存でもOK」になりました。

なので、ETCクレカを利用した場合には「クレカ明細書」+「利用した高速道路会社等の1回分の利用明細書の保存」をすればインボイスの要件を満たすということになりますね。

「利用分全てじゃなくて良かったーーー」

と言いたいところですが、本当にこのやり方で実務上浸透するのか…

我々は普段から経営者さんとよく接していますが、皆さんめちゃくちゃ忙しいです。

どこの中小企業も人手不足ですし、バックオフィスのDX化で経理をラクにすることはできても、インボイスの要件を満たすために必要な明細などの取得について現状はまだ人力に頼るしかありません。

岸田首相も「事業者の視点に立って、重要な運用を」だったり、住沢国税庁長官もインボイスの税務調査は「大口・悪質に限定」するなどと発信されているわけですが、現場の税理士側としては「インボイスの細かいことは無視してイイですよー」なんてお客さまには言えなかったりするわけで…

この後も今回のETCのように直前で対応が簡素化されるものが出てくるはずですので、またご案内できればと思います。

最後まで読んでいいただきありがとうございました!

個人の方への税務調査が増えています!

【個人の方への税務調査が増えています!】

税理士法人FLOW会計事務所です。

近年、国税庁は個人の方への税務調査を強化しています…

国税庁から令和3事務年度の調査状況が開示されています。

令和3事業年度 所得税及び消費税調査等の状況

令和3年事務年度の税務調査は前年比でも131.9%に上昇しているため、これだけでも個人向けの調査が増えていることがわかりますね。

特に無申告の方への調査が強化されています。

○無申告者への税務調査件数(所得税)

令和3年事務年度 3828件

令和2年事務年度 2993件

○無申告者の申告漏れ総所得金額総額(所得税)

令和3年事務年度 1119億円

令和2年事務年度  768億円

○無申告者への税務調査件数(消費税)

令和3年事務年度 5257件

令和2年事務年度 3294件

○無申告者の追徴課税総額(消費税)

令和3年事務年度 129億円

令和2年事務年度  75億円

めちゃ増えてますね苦笑

過去、申告しなくてもバレなかった方もいたかもしれませんが、単純に見過ごされていただけかもしれませんし、AIの発展によって調査対象を拾う技術が向上している可能性も大いにあります。

「申告してないけど税務署から何も言われないから大丈夫なんだよね?」

と誤認している方も案外多くて、税務署から何も言われないからOKというわけではありません。

それは単純に調査対象にならなかっただけで、調査対象になっていたら指摘されていたでしょう。

指摘された後に追加でペナルティを取られてしまうのももったいないので、適切な申告をするように努めていきましょう!

インボイスの「帳簿のみ保存の特例」とは?

【インボイスの「帳簿のみ保存の特例」とは?】

税理士法人FLOW会計事務所です。

これまでのブログでもインボイスを保存しなくても「一定の事項を記載した帳簿のみの保存」で仕入税額控除が認められるケースの一例をいくつか解説させていただきました。

公共交通機関特例

自販機特例

今回は、「一定の事項を記載した帳簿のみの保存(以下「帳簿のみの保存特例」)」について改めて解説いたします。

◇インボイスの保存が免除される取引がある

復習にはなりますが、インボイスの保存をしなくても「帳簿のみの保存特例」を満たせば仕入税額控除の適用が受けることができる代表例にはこんなものがありました。

・3万円未満の公共交通機関に関わる旅費

・3万円未満の自販機からの商品の購入等

上記の取引ではインボイス(領収書や請求書等)を受け取るのが物理的に困難なケースが想定されます。

そのためインボイスがなくても「帳簿のみの保存特例」を満たせば仕入税額控除の適用が受けられることになっています。

◇「帳簿のみの保存特例」とは?

結論からお伝えすると「帳簿のみの保存特例」を受けた内容を帳簿の摘要に記載すればOKです。

具体的にお伝えすると、3万円未満の公共交通機関に関わる旅費に関する取引について仕訳入力をする場合にはその仕訳となる摘要に「3万円未満の鉄道料金等」などと記載すればOKです。

自販機で何かを購入した場合にはその仕訳となる摘要に「○○市 自販機」など記載していただければ十分です。

それダケなのです。

ただ、金額が僅少だと結構忘れがちになりそうな部分ではありますのでご注意を。

以上、シンプルではございますが、今回は「帳簿のみの保存特例」の定義について解説させていただきました。

少しでも参考になれれば嬉しいです!

住宅ローン控除(減税)はどう変わった?

【住宅ローン控除(減税)はどう変わった?】

こんにちは!FLOW会計事務所の森です。

今日は住宅ローン控除(減税)が令和4年度税制改正でどのように変わったかをご紹介します。マイホームをご検討されている方のご参考になれば幸いです。

住宅ローン控除(減税)は、個人が住宅ローンを利用して、マイホームの新築、取得、増改築等を行った場合に、居住開始後の年末借入残高を基にして計算した金額を所得税と住民税から直接控除(減税)する制度のことです。正式には「住宅借入金等特別控除」といい、広く国民が住宅を取得できるように、住宅ローンを借りる際に支払う金利負担を軽減するための制度です。

住宅ローン控除(減税)に関する令和4年度の税制改正の概要は以下のとおりです。

1.控除率が「年末借入残高の1.0%」→「年末借入残高の0.7%」に引き下げ

例:年末借入残高が2,000万円の場合の減税額

改正前:20万円 → 改正後:14万円  この場合、減税額は6万円も縮小!

2.控除期間が「10年間」→「13年間」に延長

※ただし、既存住宅(中古住宅)の場合は10年間です

3.合計所得金額が「3,000万円以下」→「2,000万円以下」に変更

※2,000万円を超えた年は控除を受けられませんが、超えていない年は受けられます

4.省エネ性能に応じて住宅ローン控除(減税)の借入限度額が変わる

※「その他の住宅」とは一定の省エネ基準を満たさない住宅のこと

5.住民税の控除額上限が「所得税の課税総所得金額等の5%(最高9.75万円)」に減額

※改正前は、「所得税の課税総所得金額等の7%(最高13.65万円)」が上限

 ※住宅ローン控除可能額の内、所得税から控除しきれなかった金額を住民税から控除

6.令和5年以前に建築確認を受けた新築住宅の床面積要件を「40㎡以上」に緩和

※床面積40㎡以上50㎡未満の物件が対象になるのは期間限定の措置になります

※面積要件が緩和されるのは、合計所得金額が1,000万円以下の方に限定されます

情報量が多いですね・・(汗)

大きな改正点になるのは1と4かと思います。1の控除率の見直しは、低金利下の中で、住宅ローンの返済で支払う利息よりも、住宅ローン控除による節税額の方が大きくなる「逆ざや」の問題を解消するための対応です。また、4の借入限度額の見直しにおいては、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、環境に配慮した住宅をより税制優遇するという意向が明確になっています。「その他の住宅」は住宅ローン控除(減税)を受けられなくなってしまうという点は、かなりのインパクトがありますね。これからマイホームを検討していく方は、特にご注意ください!!

個人事業主や副収入のある方以外でも、住宅ローン控除(減税)を受ける最初の年は「確定申告」が必須になります!確定申告書や住宅借入金等特別控除額の計算明細書の記載方法は分かりづらく、添付書類も多いため、自力で対応するのはなかなか骨が折れます。

また、上記でご紹介した内容以外にも、住宅ローン控除(減税)の適用を受けるためにはいくつかの要件を満たしていなければなりません。住宅ローン控除(減税)の適用をお考えの方は、税理士に事前相談されることをお勧めします。

まだまだ暑い日が続いております。適度に休息・睡眠をとりながら、美味しいものをいっぱい食べて乗り切りましょう(笑)

最後までお読みいただきありがとうございます!

インボイスの自販機特例とは

【インボイスの自販機特例とは】

税理士法人FLOW会計事務所です。

今回はインボイスの自販機特例についてお伝えします。

◇自販機特例とは?

自動販売機やコインロッカーでは、今までも領収書を受け取ることができませんでした。

インボイスが始まったからと言って、わざわざ自動販売機やコインロッカーのオーナーに領収書を求めていたらキリがありません。

ということで、自動販売機や自動サービス機ではインボイスの保存が免除されることになっています。(ただし、帳簿の保存は必要になります)

◇自動販売機や自動サービス機の具体例

自動販売機やコインランドリー、コインロッカー、金融機関のATMによる手数料を対価とする入出金サービスや振込サービスが該当します。

◇自販機特例の対象外となるもの

小売店に設置されたセルフレジなど、機械装置により単に精算が行われているだけのものは自販機特例の対象外なのでインボイスの保存要件は免除されません。

 

以上が自販機特例の内容になっています。

少しでも参考になれば嬉しいです!

インボイスの公共交通機関特例とは

【インボイスの公共交通機関特例とは】

税理士法人FLOW会計事務所です。

今回はインボイスについて公共交通機関特例についてお伝えします。

◇公共交通機関特例とは?

バスや電車、船舶などは、毎度毎度利用するたびに、運行会社からインボイスの要件を満たした請求書や領収書などを受け取るのが現実的ではありません。

電車に乗るたびに窓口でインボイスを発行してもらうなんてことになったら、利用者も窓口も大変になってしまいます。

そのため、利用額が一定額未満の場合には、インボイスの保存が免除されることになっています。(ただし、帳簿の保存は必要になります)

◇対象の乗り物

「船舶」による旅客の運送、「バス」による旅客の運送、「鉄道・軌道」による旅客の運動が公共交通機関特例の対象です。

◇利用額がいくら未満なら免除されるのか?

税込3万円未満であれば免除になります。

これは、1回の取引単位で判定することになります。1人ではありません。

そのため、1回の出張を2人で行く場合で運賃が1人1.6万円かかったとしましょう。

そうすると、1回の出張で1.6万円×2人=3.2万円かかっていることになるので、交通機関特例の対象とはならず、インボイスの保存要件は免除されません。

正直、これは現実的なのか…と個人的には思うところはあるのですが、現行制度では以上のように定められています。

なお、入場料金や手回り品料金は交通機関特例の対象外なのでインボイスの保存が求められています。

 

以上がインボイスの交通機関特例となっています。

少しでも参考になれば嬉しいです!

発行したインボイスの保存義務

【発行したインボイスの保存義務】

税理士法人FLOW会計事務所です!

今回は、インボイスを発行した側について。

発行したインボイスはお客さんに交付することになりますが、その写しについては発行者側でも保存が必要になります。

ただ、交付したインボイスについては書面そのものの写しに限らず、例えば、複数のインボイスの記載事項に係る一覧表や明細表などで保存することも可能です。

また、パソコンで作成して書面で交付するインボイスについては、システム関係書類の備付等の電子帳簿保存法の保存要件に基づき、その電子データで保存することも可能です。

インボイスを電子データ(以下、電子インボイス)で交付した場合には、書面に出力して保存することもできますし、電子帳簿保存法の保存要件に基づき、電子データのまま保存することも可能です。

インボイスのスタートが少しずつ近づいてきました。

発行された側でも誤って破棄などしないよう、注意していきましょう!

少額な返還インボイスの交付義務の免除

【少額な返還インボイスの交付義務の免除】

税理士法人FLOW会計事務所です。

インボイス発行事業者が国内で行った課税資産の譲渡等につき、返品や値引き、割戻しなどの売上げにかかる対価の返還等を行った場合には返還インボイスの交付義務がありますが、その金額が税込1万円未満である場合には、返還インボイスの交付義務が免除されるということは以前のブログでお伝えしました。

今回は売手が負担する振込手数料相当額の取扱いについて具体例をもとにご紹介していきたいと思います。返還インボイスの交付義務の有無は、売手が負担した振込手数料相当額を会計上・税務上どのように処理するかによって変わってきます。

[具体例]

10,000円の掛代金の決済につき振込手数料相当額220円を差し引いた9,780円を受取った。振込手数料相当額は1万円未満である。

①会計上は振込手数料相当額を売上値引として処理し、消費税法上は対価の返還等として取扱う場合

②会計上は振込手数料相当額を支払手数料として処理し、消費税法上は対価の返還等として取扱う場合

③会計上は振込手数料相当額を支払手数料として処理し、消費税法上は課税仕入れとして取扱う場合

①の場合

借方

貸方

科目

金額

税区分

科目

金額

税区分

現 金

9,780

不課税

売掛金

10,000

不課税

売上値引

220

対価の返還等

 

 

 

会計上、売上のマイナスとして処理し、消費税法上は売上げにかかる対価の返還等として処理しているので返還インボイスの交付義務は免除されます。

②の場合

借方

貸方

科目

金額

税区分

科目

金額

税区分

現 金

9,780

不課税

売掛金

10,000

不課税

支払手数料

220

対価の返還等

 

 

 

会計上振込手数料相当額は支払手数料として処理していますが、消費税法上は売上げにかかる対価の返還等として処理しているので返還インボイスの交付義務は免除されます。

③の場合

借方

貸方

科目

金額

税区分

科目

金額

税区分

現 金

9,780

不課税

売掛金

10,000

不課税

支払手数料

220

課税仕入れ

 

 

 

 消費税法上課税仕入れとして処理していますので、そもそも返還インボイスの交付義務はありません。ただし、仕入税額控除を行うためには買手が手数料を立替えたものと考えるため、売手は買手が金融機関から受領した振込にかかるインボイスと立替金精算書という二つの書類の交付を受けなければならず、実務上非常に手間がかかってしまいます。

個人的には、会計上は「支払手数料」として処理し、消費税法上は「売上にかかる対価の返還等」として処理する②の方法がしっくりきます。なお、「売上げにかかる対価の返還等」として処理する場合には、対価の返還等の元となった適用税率(判然としない場合には合理的に区分)によって処理する必要があります。

皆さんだったらどの方法を選択しますか?

以上、簡単ではありますが、少額な返還インボイスの交付義務の免除についてでした。

少しでも参考になれば幸いです!