
こんにちは!FLOW会計事務所スタッフの篠原です。日々の経営、本当にお疲れ様です!
今回は、社長さんや法人の代表の方からよく聞かれる「役員報酬っていくらにするのがいいの?」というテーマについて解説します。
■所得税と法人税の違いをおさらい
個人にかかる所得税・住民税は「累進課税」。つまり、所得が増えるほど税率も上がります。最高で55%にもなることも。一方、法人にかかる法人税は利益800万円までが約23%、それを超えると約33%。この違いが、報酬を多く取るか、会社に利益を残すかを迷わせるポイントになります。
■よく聞く「所得900万円ライン」って?
ネットなどで「役員報酬は900万円くらいまでがいい」という情報を見たことがある方も多いと思います。これは、所得が900万円を超えると税率が33%→43%に上がるからです。会社の利益800万円超の税率が33%なので、「それ以上は会社に残した方が得では?」と考えられるわけですね。
ただし、この900万円というのは“所得”。額面ではなく、社会保険料や各種控除後の金額です。額面で1250〜1300万円くらいとイメージしてください。(個々の所得状況によって変わりますので、あくまで目安としてお考え下さい)
■報酬を抑えると損?将来の落とし穴
一見、法人税率の方が低いから会社に利益を残した方が得…と思うかもしれません。でも、会社に利益をため込みすぎると株価(自社株の評価額)が上がってしまうというリスクも。将来、事業承継の際に多額の贈与税や相続税がかかってしまう可能性があるのです。贈与税の最高税率は所得税と同じ55%です。もし後継者が株を買い取るとしても、そのための資金を数億円も用意するのは現実的に難しいですよね。 結果として、事業承継自体がスムーズに進まなくなる…というケースが本当に多いそうです。
■役員報酬を多く取るメリット
たとえ税率が高くても、報酬が増えれば手取りも増えます。たとえば年収3500万円なら、手取りは約2000万円。一方、額面1280万円(所得900万円相当)では手取り約907万円。その差は大きいですよね。
増えた手取りを資産運用に回すという選択肢もあります。投資の利益にかかる税金(譲渡益・配当など)は約20%。これは所得税や法人税よりずっと低い税率です。報酬を多く取って、税金を払いつつも、運用でトータルの資産を増やす考え方も有効です。
■利益を残した方が良いケースも
もちろん例外もあります。たとえば、上場を目指している、M&Aで会社を高く売りたいという明確な目的がある場合は、会社の利益を増やす方が戦略的に有利なことも。
ただ、M&Aでも「社長にこれだけ報酬を払っても利益が出る会社」と評価されることもあるので、必ずしも役員報酬がマイナスになるわけではありません。
■まとめ:バランスが大事!
800~900万円のラインは一つの目安ですが、必ずしもそれにこだわる必要はありません。将来の事業承継や社長さんご自身の資産形成も見据えて、ある程度報酬を多く取りつつ、資産運用に活用する方がトータルで有利になる可能性もあります。
とはいえ、最適な報酬額は会社ごとの状況や社長さんの考え方によって違ってきます。悩まれたときは、ぜひ私たちにご相談くださいね。一緒に最適なプランを考えていきましょう!
No comment yet, add your voice below!