
こんにちは!FLOW会計事務所の森です。
「相続」という言葉に、「もめる」「複雑」といったネガティブな印象を持つ方は少なくありませんが、相続はどの家庭にも必ず訪れる重要な課題です。事前に危機意識を持ち、確実な準備を進めることが、ご家族の円満な未来と最大限の節税につながります。
この記事では、誰もが安心して相続に臨むために知っておくべき、税務の基礎知識と2025年の最新準備事項をわかりやすく解説します。
1. <相続対策の第一歩>相続税申告の「期限」と「基礎控除」を知る
1-1. 申告・納税の期限は「死亡から10か月以内」
相続税の申告と納税の期限は、原則として被相続人(亡くなった方)の死亡を知った日の翌日から10か月以内と定められています。この期限を過ぎると、無申告加算税や延滞税といったペナルティが課されるため、この「10か月」を逆算した早めの準備が不可欠です。
1-2. 相続税がかかるかの基準「基礎控除」
遺産の総額が一定の金額(基礎控除額)以下であれば、相続税は課税されず、申告の必要もありません。
基礎控除額の計算式「3,000万円 + (600 万円× 法定相続人の数)」
例えば、法定相続人が配偶者と子2人の合計3人の場合、基礎控除額は4,800万円です。遺産総額がこの額を超える見込みであれば、申告準備が必要です。
◆重要ポイント◆
配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などを適用して税額がゼロになる場合でも、特例を適用するためには期限内の申告が必須です。申告をしないと特例が受けられず、多額の税金を支払うことになるため注意しましょう。
2. <税務の観点から>財産調査と納税資金の確保
相続の準備は「財産の円満な分割」と「納税資金の確保」が二つの大きな柱です。特に税務の観点からは、財産の正確な把握と、期限内の納税に向けた準備が重要です。
2-1. プラスもマイナスも徹底的に洗い出す
相続税は、プラスの財産からマイナスの財産(借金、葬式費用など)を差し引いて計算します。
◆特に注意が必要な点◆
名義預金のリスク: 名義が家族であっても、実質的に被相続人の財産と見なされる名義預金は、相続税の課税対象となります。「誰が管理していたか」が問われます。
潜在的な債務の調査: 連帯保証債務など、家族が知らない借金が潜んでいる可能性があります。
2-2. 預貯金凍結のリスクと納税資金の確保策
亡くなった方の預金口座は、死亡を知った時点で原則として凍結され、遺産分割協議が成立するまで自由に引き出しや名義変更ができません。
この問題を回避するために、税務の観点から有効な対策が二つあります。
①遺言書の準備: 遺言書により預貯金の承継者を指定しておけば、受継人は単独の手続きで預貯金の引き出しが可能となり、納税資金の確保に役立ちます。
②生命保険の活用: 死亡保険金は民法上の相続財産に該当せず、受取人固有の財産として扱われます。遺産分割がまとまらなくても保険金を受け取れるため、最も確実な納税資金対策となります。さらに、死亡保険金には「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠が適用されます。
3. <2025年最新>生前贈与と行政手続きの重要改正
3-1. 賢く利用したい生前贈与の優遇制度と最新改正
生きているうちに財産を贈与すれば、将来の相続財産を減らし、相続税の対象額を圧縮できます。
▶暦年贈与の非課税枠
毎年1月1日から12月31日までの1年間で、110万円までの贈与が非課税となる制度です。
▶暦年贈与の「持ち戻し期間」延長
2024年1月1日以降の贈与について、相続開始前の贈与を相続財産に加算する期間(持ち戻し期間)が、従来の3年以内から「7年以内」に段階的に延長されました。この改正は、「相続開始直前の贈与による駆け込み節税」を防ぐためのものです。
この「7年持ち戻し」のルールがあるため、生前贈与による相続税の節税効果を得るには、できるだけ早く、若いうちから贈与を始めることが極めて重要になります。
▶その他の優遇制度
教育資金(1,500万円まで)や結婚・子育て資金(1,000万円まで)など、特定の目的が定められた贈与についても非課税となる特例が設けられています。
3-2. 2024年施行! 相続手続きの円滑化に向けた法改正
戸籍謄本の広域交付(2024年3月施行): 相続人調査に必須な戸籍謄本類が、最寄りの市区町村の窓口で一部取得できるようになり、遠方にある役場への郵送請求の手間が大幅に軽減されました。
相続登記の義務化(2024年4月施行): 不動産の相続登記が義務化され、不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記をしないと過料が科せられる可能性があります。
4. まとめ
相続手続きは、相続人調査、遺産分割協議、そして複雑な相続税の申告・納税など、多くのステップがあり、すべてに期限が設けられています。
特に、相続税の申告では、不動産の正確な評価、複雑な控除・特例制度の適用検討、そして申告書の厳格な作成が不可欠です。個人で全てを行うと、計算ミスや申告漏れのリスクが高まり、結果として過少申告加算税などのペナルティを受けることになりかねません。
茨城県つくば市で実績を持つFLOW会計事務所にご相談いただくことで、財産評価から納税計画、各種特例の適用を含めた正確な相続税の計算、そして10か月以内の期限内の申告を確実にサポートできます。相続に不安を感じたら、円満な次の世代へのバトンタッチのために、経験豊富な専門家である税理士にご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございます!



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