皆様、こんにちは。つくば市の税理士事務所、FLOW会計事務所の庄司です。
年の瀬が近づく今、税金対策は「やるか、やらないか」ではなく「期限に間に合わせるか、間に合わないか」の瀬戸際です。知っている人だけが得をする税制優遇措置は、期限を逃せば数万円を損するかもしれません。特に年末は、ふるさと納税の正確な上限額の確認と、医療費控除などの還付申告に向けた準備という、二つの重要なタスクの締め切りが迫っています。
このガイドでは、あなたの税負担を最適化するために、今すぐ取り組むべきアクションプランを解説します。控除証明書やワンストップ特例の準備を急ぎ、払いすぎた税金を取り戻しましょう。

1. ふるさと納税:上限額確認と1月10日のワンストップ特例期限

「ふるさと納税」は、地域を応援しつつ、実質2,000円の自己負担を除いた寄付額の多くが翌年の税金から控除される、最も利用価値の高い制度です。

チェック 1:控除上限額のシミュレーションと目安の確認方法

ふるさと納税の最大の鍵は、控除の上限金額(限度額) を知ることです。この上限を超えて寄付しても、税金の控除対象にはならず自己負担が増えるため、年収が確定する前に目安を知っておく必要があります。
お手元の源泉徴収票(または概算年収)を入力できる計算ツールを活用し、正確な上限額を把握しましょう。

【モデルケース】上限額の目安

  • 独身で年収500万円の方の控除上限額の目安は約61,000円です。
  • 夫婦(配偶者控除あり)で年収700万円の方の控除上限額の目安は約87,000円です。

チェック 2:寄付の実行を12月31日までに完了させる

今年度の税金から控除を受けるためには、12月31日までに寄付を完了させる必要があります。

  • クレジットカード決済の場合: 決済が完了した日(年内)が寄付日となります。
  • 銀行振込などの場合: 12月に入ると締切が早まる自治体もあるため、必ず自治体の指定日を確認し、手続きを完了させてください。

チェック 3:ワンストップ特例制度の期限(1月10日必着)と注意点

寄付後の事務手続きを忘れると、せっかくの控除が受けられません。

  • ワンストップ特例制度の対象者: 元々確定申告をしない会社員で、寄付先が5自治体以内の場合に利用可能です。
  • 期限: 自治体から送られてくる申請書を、翌年の1月10日必着で自治体に返送する必要があります。12月に駆け込みで寄付した方は、申請書の到着を待たずに急いで対応してください。

【重要】 6自治体以上に寄付した場合や、後述する医療費控除などで確定申告を行う人は、ワンストップ特例制度の対象外となります。この場合、ワンストップ特例を申請済みであってもすべて無効となり、確定申告で改めて寄附金控除の手続きを行う必要があります。

2. 医療費控除・還付申告:過去5年に遡って税金を取り戻す準備

サラリーマンの税金手続きは年末調整で完結しますが、特定の支出があった場合、ご自身で「確定申告(還付申告)」を行うことで、払い過ぎた税金が手元に戻ってくる可能性があります。

医療費控除の対象範囲と10万円ボーダーラインの計算

本人や家族のために支払った医療費の合計が、年間で一定額を超えた場合に利用できるのが医療費控除です。

対象となる医療費の閾値(ボーダーライン)は以下の通りです。

  • 原則: 年間10万円を超えた場合に対象となります(ほとんどの納税者が該当)。
  • 例外: 総所得金額が200万円未満の方は、総所得金額の5%を超えた場合に対象となります(総所得金額は、給与所得控除後の金額が目安となります)。

控除の対象となる支出例: 病院の治療費、薬代、通院のための交通費(公共交通機関利用時)、医療的な必要性に基づくインプラントやレーシックなどが含まれます。(美容目的の支出は対象外です)
医療費の領収書を全て集め、合計額を計算してみましょう。国税庁のサイトにある集計用の計算シートを利用すると、確定申告時の手間を大幅に減らせます。

【重要】お金が戻る還付申告は、過去5年間に遡っていつでも行えます。 過去に高額な医療費を支払った年があるにも関わらず申告を忘れていた方は、領収書を確認し、今すぐ還付申告を検討しましょう。

3. 年末調整で済む控除:控除証明書の最終チェック

以下の控除は、会社に書類を提出すれば年末調整で完結します。提出漏れがないか、保険会社などから送られてくる控除証明書(ハガキ) が手元にあるか、確認しましょう。

  • 生命保険料控除: 必要書類は保険会社発行の控除証明書です。提出先は会社です。
  • 地震保険料控除: 必要書類は保険会社発行の控除証明書です。提出先は会社です。
  • iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金): 必要書類は国民年金基金連合会から送付される小規模企業共済等掛金払込証明書です。提出先は会社です。

4. 確定申告が必要な人チェックリスト(年末調整だけでは済まない場合)

年末調整で完結せず、確定申告が必須となる主なケースです。ご自身が該当しないか必ず確認しましょう。

  • 給与の年収が2,000万円を超える方は確定申告が必須です。
  • 2か所以上から給与をもらっている方は確定申告が必須です。
  • 給与所得・退職所得以外に20万円を超える所得がある方は確定申告が必須です(例:副業の所得、不動産収入など)。
  • 医療費控除や雑損控除を受けたい方は還付申告を検討できます(任意)。
  • 住宅ローン控除を初年度に受ける方は確定申告が必須です。

まとめ

税金や控除の制度は、私たちの家計を支える大切な要素です。年末は、「知っている人だけが得をする」税金対策の最終リミットです。
ご自身の財政状況を最適化するため、以下のステップを今すぐ実行に移しましょう。

  1. ふるさと納税の上限額をチェック: 計算ツールに概算年収を入力し、上限額を把握。
  2. 寄付と申請の期限を確認: **12月31日(寄付)1月10日(ワンストップ)**をカレンダーに登録。
  3. 医療費の領収書をかき集める: 年間10万円(または所得の5%)のボーダーラインを超えていないか確認し、国税庁の集計用計算シートで準備する。
  4. 控除証明書を準備: 年末調整の締め切りに間に合うよう、保険やiDeCoの証明書を提出する。

迷ったら、まずご相談を

ご不明な点や、ご自身の控除額の計算に不安がある場合は、FLOW会計事務所にご相談ください!期限を過ぎてからでは取り戻せない税金対策を、専門家としてサポートいたします。

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