【中退共で退職金の準備をしよう!】
税理士法人FLOW会計事務所です。
弊社はスタートアップのクライアントさんが多いのですが、ある程度、軌道に乗ってくると必ず出るお話が従業員の退職金についてです。
そんなときにおすすめをするのが「中退共(中小企業退職金共済)」です。
今回はその中退共についてシンプルにお伝えします。
◇中退共の概要
自社で従業員の退職金を積み立てていき、その従業員が退職をしたときに、中退共がその従業員へ退職金を支払う制度になっています。
なお、運営母体は厚生労働省管轄の「独立行政法人勤労者退職金共済機構中小企業退職金共済事業本部」のため民間ではございません。
https://chutaikyo.taisyokukin.go.jp/
◇中退共の加入条件
中退共を利用できる中小企業の条件は下記となります。
小売業:常用従業員数50人以下or資本金出資金が5,000万円以下
サービス業:常用従業員数100人以下or資本金出資金が5,000万円以下
卸売業:常用従業員数100人以下or資本金出資金が1億円以下
一般業種(製造業等):常用従業員数300人以下or資本金出資金が3億円以下
条件はあるものの、ほとんどの中小企業は該当するかと思います。
◇加入できる従業員
原則として全従業員を加入させる必要があります。
しかし、下記の従業員は除かれます。
・経営者や役員
・有期契約の従業員
・試用期間中の従業員
・短時間労働者
・定年などで相当の期間内に雇用関係が終了することが明らかな従業員
・小規模企業共済に加入している従業員
・他の特定業種退職金制度に加入している従業員 等
◇中退共の掛け金について
自社では退職金の積み立てとして、中退共へ掛金を支払う必要があります。
この掛金、1人当たり月額5,000円~30,000円で設定することができ、従業員ごとに任意で選択することができます。
なお、週30時間未満の短時間労働者の場合は、月2,000円、3,000円、4,000円の中から選択することも可能です。
また、掛金はいつでも変更することは可能なのですが、減額の際には「従業員の同意」を得なければなりません。そのため、中退共を利用する際には、いきなり高額な掛け金でスタートしないほうが良いでしょう。
◇加入までの手続き
①加入する従業員の同意を取ります。
②掛け金月額を決めます。
③必要書類の記入及び申請
◇企業側のメリット
①掛金が全額損金
払った掛金を全て経費にすることができます。
②一部、助成アリ
中退共に加入すると、一定期間、掛け金の半分が国によって助成されます(ただし従業員ごとに5,000円まで)。また、掛け金を増額する場合にも一部助成金を受けることができます。
③従業員へ掛金以上の退職金を支払うことが可
加入後3年7か月以上経過すると、退職金に運用利息がプラスされます。掛金以上の退職金を支払うことができるため、福利厚生の一環として従業員にアピールすることができます。
*ただし景気の動向によっては金利がゼロの場合もあります…
◇従業員側のメリット
①退職金を受け取れる
退職金を受け取れること自体がメリットです。
②転職先に通算できる
転職先も中退共に加入している場合、これまでの掛金を通算できます。
③福利厚生の施設を利用できる
中退共に加入者が利用できる福利厚生施設を利用する子ができます。
◇デメリット
①24か月未満で退職してしまうと元本割れする
24か月未満で退職した場合、退職金は掛金未満になります。
②掛金の減額が容易ではない
減額には従業員の同意が必要になるため、企業側としては最初に設定した掛金はその後もロックされると考えておいた方が良いでしょう。
以上、簡単ではございますが、中退共について解説させていただきました。
掛金も5,000円から設定できるため非常に利用しやすいです。
退職金制度をご検討されている方はぜひ参考にしていただけますと幸いです!
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