【厄介な電話加入権】
先日ある企業の決算報告会のときに、
「電話加入権って10年で無くなちゃうって聞いたんだけど。なんで残ってるの?今年消しちゃってくれる。」
要は、利益が出ているので少しでも納税を少なくしたいってことなんだけど、関与先の認識不足からの発言で、非減価償却資産で、評価損も計上できなくて、電話回線が有る限り半永久的に残ってしまう(BSか、別表かは別にして)ことを説明しました。
そもそも、電話加入権って何なんでしょう。
今も昔もNTT(最初は電電公社(日本電信電話公社))の固定電話回線を敷くために、施設負担金として掛かっているものです。現在の金額は36,000円ですが、その時々で差が大きくなっています。
*1953年 60,000円 (電電公社発足)
*1960年~ 10,000円
*1968年~ 30,000円
*1971年~ 50,000円
*1976年~ 80,000円 (私はこの時に敷きました)
*1985年~ 72,000円 (NTT設立、民営化)
*2005年~ 36,000円 (携帯電話の普及、加入権不要のネット回線の増加)
この電話加入権は、NTTは買取ってはくれませんが売買は可能です。中古市場では数千円です。携帯電話の普及により固定電話の重要性がなくなってきているのですが、やはり、回線が有る限り償却も評価損も計上できません。決算書から消し去るためには、回線を解約するしかありません。ちなみに、加入権の回線ごとの内訳は、NTTでも保管していないようで不明のようです。自力で回線ごとの金額の確定をしないといけません。(なんともいい加減ですねエー)
そして、冒頭の「10年で無くなちゃう」とは、休止届けを出して電話回線の利用を休止してから10年で自動解約となるということです。ですから、休止届を出しても、10年過ぎないと除却損を計上出来ないということです。
また逆に、中古で加入権を数千円で取得しても、“非”減価償却資産なので少額資産として経費化できず、資産計上となります。
なんとも厄介な代物です(笑)
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