【確定申告の提出が終わったからと安心はしない方が・・・。  】

元税務署職員の税理士・中村です。

令和2年分の確定申告は、皆さんもご存知のとおり、4月15日まで延長され、残り1週間で期限が

参りますが、終了されましたでしょうか?

よく確定申告書を提出し、受付にて受理されたから間違いなく通ったものとして安心される方も多いと

思います。私も現役時代には納税者の方からそのような話を聞くこともございました。

でも、税務署は、提出されたものは、名前がないとか不備なものがあれば、その場で確認していますが

中身までの確認はしていません。受付でそこまでやれるはずがありません。

確定申告期において提出された申告書等をコンピューターに入力し、内容のチェックを行い、エラーチェックや同業者との比較割合など数値ではじき出される内容を集積し、今後の指針を決めていきます。

また、規定により提出された支払調書や独自の方法で収集した課税上参考となる各種の資料などが各税務署ごとに蓄積され、どれだけのものがあるか税務署の職員さえわからない程の資料を納税者ごとに分類し、申告された内容とのチェックを行っていくのが、この確定申告期終了後の仕事でした。

このような作業を「申告審理」と呼び、この申告審理により、申告義務があるにもかかわらず無申告の者、不注意等により誤った申告書を提出した者、または、故意に過少な申告を行っているとみられる者などを検討し、次の事務の種類に区別されていきます。

簡単な誤りや、明らかな非違があるものについては、昔は、「事後処理」といって納税者の方に来署してもらい、説明をして修正申告書の提出をしてもらう。いまは、この様な間違いはありませんかと文書で尋ね自分の方から修正申告書を提出してもらうような簡易な処理を行う方法に変化しています。

「申告審理」で高額・悪質な不正計算等が想定される者など、調査の必要性が高い者については調査対象に選定し、実地調査を行うという風に分類する作業を行うのが、これからの時期だと思います。

コロナ禍のため、実地調査は、少なめになってはいますが、確定申告書が受理されたからといって、安心するのは早いかもしれません。正しい申告に心がけていくのが、安心感を持てる最大のことだと思います。

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