特例事業承継税制とは?

税理士法人あけぼの会計です。

今回のブログは、特例事業承継税制についてお話しさせていただきます。

業績に問題はないのに、後継者の不在を理由に廃業するケースが少なからずあります。

事業を将来に向けて維持・成長させていくためには、後継者の確保を含む事業承継に向けた早めの準備着手が肝要です。

今後10年の間に、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万(日本企業全体の1/3)が後継者未定であり、雇用への影響も大であり、日本の経済を底辺から支えている中小企業の技術やノウハウが消失してしまう危険がありとの報告が経済産業省の書類にも記載されています。

特に地方においての経営者の高齢化も深刻であり、60歳以上の経営者割合(法人)が、全国第5位の茨城県は58.9%との数値もしめされています。このような背景の中で、平成30年度の税制改正において現行の事業承継税制を改良して、対象株式数を100%、相続時の評価額を100%に拡大し、雇用確保要件を実質撤廃、株式譲渡・合併・廃業時の減免措置追加等した、新しい「特例事業承継税制」が創設されました。

事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度です。 特例事業承継税制の適用は、認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けて作成された「承継計画」を都道府県へ提出することを条件に認められます。その対応は、緊急を要するため「承継計画」の提出期間は、平成30年4月1日から平成35年3月31日までの5年間とされています。

【特例事業承継税制の概要】

特例事業承継税制が創設され、一定の手続きによって一括で贈与等をした非上場株式等の贈与税額が全額納税猶予されます。贈与した先代経営者の死亡の際には、贈与時の評価額が相続税の課税対象とされますが、これも全額猶予されます。

◎非上場株式等を贈与された際の贈与税は全額納税猶予される。 事業承継に関する計画を作成し都道府県に提出して、先代経営者が代表権を後継者に譲り後継者が代表権を持った後に、先代経営者が所有する株式等を一括して贈与すると特例事業承継税制の適用を受けることができ、贈与税額の全額の納税が猶予されます。

◎ 猶予贈与税額は、先代経営者の死亡によって免除 非上場株式等の贈与税の納税猶予を受ける場合、贈与された株式の評価額100%に基づいて暦年課税又は相続時精算課税により計算した贈与税額が納税猶予されます(選択は任意であるが、有利な相続時精算課税を選択するケースが多い)。贈与者が死亡した場合には、贈与時点の評価額が相続税の課税価格に算入されて相続税が計算されます。その際の猶予贈与税額は贈与者である先代経営者の死亡によって免除となります。

本制度の適用を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要がございます。

条件については、多岐に渡りますため、弊社の無料相談をご利用いただければと存じます。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

税務署目線からの税務調査の流れとは?②

こんにちは。

税理士法人あけぼの会計東京事務所所長の中村です。

今回は税務調査の流れについてお話いたします。

税務調査は、個人事業と法人とで、調査日数が異なるケースが多いです。

個人事業の場合は、1日。法人の場合は、個人より規模が大きいため、概ね2~3日間にわたってお伺いすることが多いと思われます。

「調査実施日」

訪れる時間は、大体午前10時頃が主です。その際に必ず身分証明書の提示があります。

最初から直ぐに帳簿などを見始めることは少なく、雑談を交えながら、概況の聴き取りを行います。雑談は、仕事以外の家族構成や直近の新聞ネタ・スポーツネタ・趣味ネタなど、気さくな話題も多いのですが、それを端緒に仕事への結びつきなどを考えている場合も多くあります。この雑談等について、うまく会話できるのもベテランになるほどうまくやります。

具体的な聴き取り事項は以下になります。

① 開業から現在までの業態の推移

② 業務内容 併せて経営理念やビジョン

③ 取引先の範囲(売上先・仕入先とも)

④ 取引している金融機関

⑤ 従事員の氏名や従事内容・役職

基本は、売上金額の記帳について、何をもとに記載されているか 売上請求書(控)・納品書・領収書(控)預金通帳等から、的確に行われているかを検討されます。 進行期の売上と前期期末の売掛とを精査し、計上すべき時期はどうか、正しいかなどの検討やレジを使っていれば、レジペーパーの切れ端(翌日とのつながり)や内容の検討、請求書や領収書の控えの枚数が合っているかなど確認作業を行います。

次に、仕入れについては、架空仕入れの計上や在庫の計上漏れがないかなど確認します。

例えば、仕入れたものをそのまま販売する場合、細かなものについては、売買の数量確認が無理であるが、大きな品物については、仕入れ・売上・在庫の流れを追えば、正しく記帳されているかどうかが判断できます。 必要経費(一般管理費)についても、金額の多寡や費目の中で注目するものを準備調査の段階で絞って考えているので、その領収書のチェックが行われる場合も多いと思います。外注費等については、架空外注費の検討もありますが、売上と外注費との関連性などもチェックの対象です。

貸借対照表が添付されている場合、売掛金勘定や資産取得資金状況・借入金勘定などに注目していますが、個人事業の場合、事業主借(店主借)勘定の資金源等は注目されやすい項目であろうかと思います。

調査において、個人の場合は、所得税のほかに、消費税・源泉所得税・印紙税の同時調査が行われ、法人の場合も同様に他税目の調査が同時に行われることは、頭に入れておくべきです。

調査期間は、1か月程度を考えているようですが、内容によっては、2~3か月程度の場合もあります。 指導事項について税務署の考え方をまとめ関与税理士がいる場合には、関与税理士経由で連絡されます。

連絡の内容は、修正申告を求めるケースと修正は求めず指導にとどめるとか申告是認とするケースです。 修正申告を提出するとなると、国税の本税・加算税・延滞税の納付となりますが、その上に、市県民税・事業税などの地方税や健康保険税等への影響も出てきます。

長くなってしまいましたので、今回はここまでといたします。次回は、税務調査対策について考えていきたいと思います。 最後まで読んでいただきありがとうございました。

税務署目線からの税務調査の流れとは?①

こんにちわ。

つくば・秋葉原に事務所を構える税理士法人あけぼの会計東京事務所の中村です。

税務調査は、【①事前調査(準備調査)→②事前連絡→③調査】の流れで実施されます。

今回は、調査の流れのうち、①と②についてお話しさせていただきます。

①事前調査(準備調査) まず、税務署では税務調査の前段階で「事前調査(準備調査)」を行います。 「事前調査(準備調査)」とは、過去の申告(3~5年間分)の内容を見直し、損益計算書・貸借対照表の検討表を作成します。推移や科目ごとの数値を比較し、突出した数値の有無を確認し、資産の増加があれば、資金源たるものの有無の検討、商品等の回転率や客数の回転率・従事員一人当たりの売上など様々な数値を算出し、同業種の申告内容との比較なども行います。業種・業態に応じて、外観調査や内観調査を行い、調査に値するものかどうかの検討をすることが「事前調査(準備調査)」です。

②事前連絡 調査選定され、①による準備調査が終了した場合、実地調査予定日より10日程度前に、調査対象者(会社)に電話で連絡を行います。関与税理士がいる場合には、調査対象者ではなく、関与税理士に連絡があります。そして、その電話にて調査日程を決定します。その際、税務署からは「調査開始日」「調査の場所」「調査の目的」「調査対象税目」「調査対象期間」「調査担当者名」「人数」などが知らされます。

ただし、飲食業や小売業など不特定多数の者と現金決済を行っている業種などは、事前連絡(通知)が行われず、無予告で税務調査が行われる場合がございます。その場合には、調査官に「何故、事前連絡(通知)なしで税務調査を行うのですか?」等を聞くようにしてください。関与税理士がいれば、調査官には、「税理士に連絡をとるので、待ってください。」と話したうえで、税理士に連絡を行って、どのように税務調査を受けるかを相談するべきでしょう。

関与税理士がいない場合は、仕事等の都合で日程調整の変更を理由に、日程延期を依頼するなど考えるか、そのまま、調査を受け、具体的な調査内容について調査官から確認しておくべきです。焦らず落ち着いて対応しましょう。

上記の通り、税務調査では、関与税理士の有無でその流れや結果が左右されるケースが多くございます。 税務調査についてご不安な方や、税務調査を控えている方がいらっしゃれば、あけぼの会計にご相談いただけたら幸いです。 次回は、調査当日の流れについてお話しします。 今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。