平成30年の改正により、これまで以上に特例事業承継税制の利用がしやすくなりました。
そもそも特例事業承継税制って何なのでしょうか?
近年、日本では中小企業の廃業数が増加しています。
原因は外ならぬ、後継者問題です。
ある程度の大企業であれば、M&A等によって、会社自体を他人に売り渡す選択肢も考えられますが、中小企業ではなかなかそうもいきません。
後を継ぐ人がいないければ、もう廃業するしかないのです。
それでは、なぜ、後継者がいないのでしょうか?
・他にやりたいことがある。
・地元に帰りたくない。
・儲からない。
理由は様々です。
そして、仮に上記条件をクリアできても、事業承継したときの納税負担を考えると、後を継げない。。といった経済的な理由もあったりします。
特例事業承継税制では、こういった納税負担に関する経済的なハードルをクリアすることで、少しでも多くの中小企業が生き残れるよう、新たに設置された制度になります。
それでは、特例事業承継税制を利用することでどういったメリットを享受できるのでしょうか?
◎メリット
一定の手続きを経ることで、一括で贈与等をした非上場株式等の贈与税額が全額納税猶予されます。贈与した先代経営者の死亡の際には贈与時の評価額が相続税の課税対象とされますが、これも全額猶予されます。
1.非上場株式等が贈与された際の贈与税は全額猶予される
都道府県に承継に関する計画を作成して提出することで、先代経営者から後継者に代表権が持つ際に譲る受ける株式等の贈与税の全額が猶予されることになります。
2.猶予された贈与税額は先代経営者の死亡によって免除される
納税が猶予された贈与税は、先代経営者の死亡によって猶予されます。免除される贈与税額は、贈暦年課税又は相続時精算課税によって計算した贈与税額になります。
例)株式数100株 評価額1億円
全株式を先代経営者が保有しており、後継者に全株式を贈与した場合
贈与税額)
・暦年課税 (1億円-110万円)×55%-640万円=4799万5千円
・相続時精算課税 (1億円-2500万円)×20%=1500万円
3.相続税の納税猶予税額
上記2.の設例を前提に、相続時に株式以外の相続財産2億円を、後継者の弟が相続したとします。相続人は後継者とその弟の計2名です。
・相続税の総額
[(1億円+2億円)-(3000万円+600万円×2)]÷2=1億2千900万円
1億2千900万円×40%-1700万円=3460万円
3460万円×2=6920万円
・各人の相続税額
後継者 6920万円×1/3=2306万円→特例事業承継税制により全額納税猶予
弟 6920万円×2/3=4613万円
事業承継税制を利用することで、納税猶予のメリットを享受することができます。
この制度を利用するためには、令和4年3月31日までに承継計画を都道府県に提出する必要があるので、ご注意ください。
簡単ではございますが、特例事業承継税制の概要について今回は記事を書かせていただきました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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