税務調査において、指摘されやすい財産(申告漏れがあった財産)とは、平成28年度の税務調査の状況で、第1位は、現金・預金(33.1%)、有価証券(16.5%)、土地(11.8%)家屋(1.7%)、その他(36.8%)となっています。
まず、税務調査までの流れを見てみますと、
①人が亡くなると死亡の事実を知った日から7日以内に「死亡届」を市区町村役場に提出しなければなりません。市区町村役場は、「死亡届」を受け取ると、固定資産課税明細書と共に税務署へ通知します。
②税務署は、ここで死亡を確認し、相続人の情報や不動産に関する情報、その他保険会社等から保険金の支払調書、配当金の支払調書、国外送金等調書などの法定調書や所得税の確定申告の履歴情報等を署内のネットワークから抽出し、相続税がかかるかどうかを選別します。
③税務署は、相続税申告書が提出されると、上記②に記載した情報と照合し、相続財産に申告漏れがないか
等を確認します。また、被相続人と、その家族全員分の金融機関等の取引を10年間分照会し、有価証券等にも漏れがないか調べます。
名義預金がある可能性もあるので、被相続人の口座だけでなく親族の口座も確認しており、銀行や証券会社から過去のデーターを取り寄せることが出来るため、不審な入出金がないかすべてチェックしています。
税務調査の際の質問等からその狙いを見てみますと
①被相続人の学歴・職歴・趣味・社会的地位等の質問から見たその狙いは
→職業等から見て所得がどの程度あり、所得に見合った申告か?
②過去の住所についての質問から見たその狙いは
→本籍地、過去の住所地等における不動産の所有事実の確認
③過去の不動産の売却についての質問から見たその狙いは
→譲渡代金の使途を追及し、申告漏れがないかの確認
④取引金融機関についての質問から見た狙いは
→申告漏れ金融機関の有無を確認
⑤過去における多額の金銭の入出金についての質問から見たその狙いは
→入金については資金源、出金については化体財産の申告漏れはないか?
⑥相続開始前後の入出金・毎月の家計費についての質問から見たその狙いは
→手持現金及び隠蔽財産の有無、日々の出金のうち他への財産の移動や漏れの確認
⑦相続人・家族の状況と相続人に名前を書いてもらう、通帳の印鑑の確認の狙いは
→家族の状況を確認し、名義預金の帰属の検討
⑧配偶者名義の預金や不動産についての質問から見たその狙いは
→配偶者に収入がない場合には、被相続人の財産ではないか
⑨被相続人の亡くなる前の状況についての質問から見たその狙いは
→亡くなる直前の養子縁組や財産の移動は有効か否かの確認
上記の質問の中でも、名義預金(配偶者や子・孫などの名義預金で、実際にはそれ以外の真の所有者がいる預金)や手元現金(亡くなる直前に引き出されたお金)をきちんと申告に反映させているどうかが最も重要な税務調査のポイントの一つになると思われます。
相続財産のうち、金融資産が多い場合には、過去の履歴(贈与税申告の漏れ等)は、必ずチェックされます。
正しい相続税申告のためにも、生前贈与を検討されている方はご注意ください。