Q.特例事業承継税制の適用を受ける場合には、どんな手続きが必要になるのでしょうか?

A.原則として、平成30年4月1日から令和5年3月31日までの間に「承継計画」を都道府県に提出する必要があります。ただし、承継計画を提出してなかった場合でも、平成30年4月1日から令和5年3月31日までの間に先代経営者が死亡した場合には相続税の納税猶予を受けることはできます。

〈具体的な手続きの内容〉

①「承継計画」を作成して、都道府県に提出してください。

認定経営革新等支援機関(以下「認定支援機関」)の指導を受けて承継計画を作成してください。作成した承継計画は、原則として平成30年4月1日から令和5年3月31日までの間に都道府県に提出しなければなりません。なお、承継計画の提出は、贈与後でも可能です。

②もし、先代経営者が亡くなるまでに「承継計画」を提出していなかった場合

平成30年4月1日から令和5年3月31日までの間に先代経営者が死亡した場合には、一定の手続きをすることで、特例事業承継税制の適用を受けることができます。

③特例事業承継税制の適用を受けるための要件

特例事業承継税制の適用を受けるためには、一定の要件を満たさなければなりません。

会社自体が「中小企業であること」「風俗営業や資産管理会社でないこと」であることや、先代経営者の議決権比率、後継者は3年以上役員であったことが必要であるなど、一定の要件を満たす必要があります。

④「承継計画」未提出で令和5年4月1日以後に先代経営者が亡くなった場合

提出期間内に承継計画を提出しなかった場合には、特例事業承継税制の適用を受けることはできません。この場合には、一定の要件を満たしていれば、発行済株式総数の3分の2までの株式であれば評価額の8割までは相続税の納税猶予を受けることはできますが、残りの2割は通常通り相続税の納税をしなければなりません。計画的に進めるよう注意しましょう。

⑤「承継計画」未提出で令和5年4月1日以後に贈与した場合

提出期間を過ぎてからの贈与は、仮に要件を満たしていても特例事業承継税制の適用を受けることはできません。④と同様、発行済株式総数の8割までの株式についてのみしか、納税猶予の適用を受けることはできません。

⑥「承継計画」提出後は、いつまでに贈与すれば良いのか

提出期間内に承継計画を提出した場合であっても、令和9年12月31日までに先代経営者は後継者に株式を贈与しなければ、特例事業承継税制の適用を受ける権利を喪失することになります。ただし、承継計画を提出していれば、令和5年4月1日から令和9年12月31日まで間に、後継者に株式を贈与していなかったとしても、特例事業承継税制の適用を受けることができます。

⑦令和9年12月31日までに相続が発生しなければ、相続税の納税猶予は受けられないのか

令和5年3月31日までに承継計画を提出し、令和9年12月31日までに株式を贈与していれば、先代経営者の死亡が、20年先であっても、その贈与に対応する相続税の納税猶予の適用を受けることができます。

上記が、手続き概要にはなりますが、特例事業承継税制を利用しようか迷われている方は、今後の選択肢を増やすためにも、とりあえず承継計画だけでも提出しておくということも、アリかもしれませんね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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