いよいよ猶予期間が終わる電子帳簿保存法

こんにちは。税理士法人FLOW会計事務所の会田です。

今回は2年間の猶予期間が終了となる電子帳簿保存法についてのご案内です。

全事業者で対応が必要になりますので、ギリギリではありますが、準備の参考になれば幸いです。

 

なお、基準期間の売上高5,000万円以下の場合の対応など、改正については触れておりませんので、ご了承ください。

 

1.そもそも電子帳簿保存法って何?

 

種々の税法で紙での保存が義務づけられている帳簿書類について、一定の要件を満たした上でPDFなどの電子データでの保存を可能とすること、及びメールで受信した場合などの電子的に授受した取引情報の保存義務などを定めた法律です。

 

この電子帳簿保存法上、電磁的記録による保存は、【電子取引・スキャナ保存・電子帳簿等保存】の3種類に区分されています。

A) 電子取引(義務化

取引先からメールやWebサイトで【請求書・見積書・契約書・領収書】を受け取っている場合などが該当します。

今後は紙印刷したものは認められなくなり、データでの保管が必須になります。

B) スキャナ保存(任意)

紙で取引先へ発行、または紙で取引先から受け取った【請求書・見積書・契約書・領収書】といった書類のスキャナ保存をすることが可能です。

C) 電子帳簿等保存(任意)

申告書などの国税関係書類や帳簿、決算書類をPCで作成をしている場合には、紙保管に代えて、電子データのままサーバやDVD、CDやCOM(電子計算機出力マイクロフィルム)で保管することが可能になります。

 

2.準備にあたってのポイント 

A) 現状の電子取引の種類や形式を把握

電子取引でやり取りしている種類の洗い出し、媒体ごとの区分、データ形式の把握の3点を確認しておきましょう。

なお、交通系ICカードの利用履歴やスマホのスクリーンショットも電子取引に該当します。

B) 電子取引のデータ保存方法を検討

税務調査の際に調査官から要求された取引を画面で日付、取引先名、金額を指定してデータ検索可能して確認できる状態にしておきましょう。

具体的にはデータの保存先を決め、ファイル名に【日付、金額、取引先名】を付ける、といった対応をしましょう。

C) 証憑管理クラウドサービスの利用を検討

マネーフォワードなど、電子帳簿保存法に対応したクラウドサービスがありますので、それらを利用すると導入のハードルが下がります。

D) 経理規程の整備

電子取引データの保存の仕方や運用管理のルールの規程を作成しましょう。

下記国税庁のWebサイトに法人用と個人事業主用の「電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程」のひな型がありますので、ダウンロードして参考にして作成してください。

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm

 

いかがでしたでしょうか?

「紙印刷をして保管をしてしまったものは全て認められないのか」といった詳細はまだ不明ですが、電子帳簿保存法に合わせた対応をしておくことがベストであることは確かですので、上記を参考に準備を進めるようにしてみてください!

電子取引データ保存の仕方が変わります!

【電子取引データ保存の仕方が変わります!】

税理士法人FLOW会計事務所です。

2024年1月から電子帳簿保存法のうち、電子取引データの保存方法が変わります。

今回は、その変更内容についてシンプルに解説します。

◇そもそも電子取引データとは?

メールやウェブで受け取った請求書や領収書などのことを指します。

ここでのポイントは紙で受け取ったものは該当しないというコト。

PDFなどのデータで受け取った請求書や領収書などの証憑類のことを電子取引データといいます。

書籍や他の媒体によっては「電子データ」とも呼んでいたりします。

◇保存方法がどう変わるのか?

これまではデータで受け取った証憑類は、紙に出力して紙で保存することが認められていましたが、この保存方法が2024年からはNGになります。

2024年からはデータで受け取ったものはデータで保存しなければならなくなります。

対象者は事業を営む全ての方が対象になります。

保存方法でのポイントは2つあります。

①検索要件を満たすこと

証憑のデータ自体は、自社のサーバーやクラウドストレージに保存すればOKです。

ただし、検索できるようにしなければならないため、データのタイトルに「日付、取引先、金額」を記載する必要があります。これを検索要件というのですが、これは全ての方が必須の対応となりますのでご注意ください。

②事務処理規定を作成すること

電子取引データ保存に関する社内規定を作成して保管する必要があります。

国税庁にサンプルデータがあります。リンク内の「電子取引に関するもの」のワードを参考にしながら、社名や社内の独自ルールがあればその部分を書き換えていただければそれで十分です。

以上、簡単ではございますが、電子取引データ保存に関する解説となります。

少しでも参考になれば幸いです。

残り2か月を切っていますので、少しずつ準備を進めていきましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

電子帳簿保存法に関して一番多い質問!

【電子帳簿保存法に関して一番多い質問!】

税理士法人FLOW会計事務所です。

インボイスにつづいて、2024年1月からは電子帳簿保存法がスタートするのですが、本当によくいただく質問があります。

それは「2024年から全部、データで保存しないといけないんだよね?」って質問です。

電子帳簿保存法でいただく質問でダントツで1番多い質問です。

結論からお伝えすると答えは「NO」になります。

全部ではありません。

データで保存しなくちゃいけないものは、データでいただいたものだけになります。

メールやクラウドストレージ経由で、領収書や請求書等をデータでいただくことがあると思いますが、これを「データのまま保存してね」ってだけです。

逆を言うと、データで受け取った証憑等を紙に出力して紙で保存することは認められなくなります。

まとめると「データでもらった請求書や領収書の証憑等については、そのままデータで保存すればOK」なんです。コレだけです。

紙で受け取った証憑等をスキャンしてデータとして保存することもできるのですが、これは義務ではなく、任意の取り扱いになっています。そのため、紙で受け取った証憑等はそのまま紙で保存していただければ何も問題はないです。

繰り返しになりますが今回抑えていただきたいのは

「データでもらったものはデータで保存する」

以上です。

少しでも参考になれば幸いです!

 

支払があったときに気になるかもしれない取引のインボイスについて

【支払があったときに気になるかもしれない取引のインボイスについて

こんにちは。FLOWの会田です。

ニュースを騒がせていたインボイス制度がいよいよスタートしました。

 

そこで今回は、少し困るかもしれない取引のインボイスについてのご紹介です。

消費税のみ、かつ支払者側のみにフォーカスしていますので、その点ご留意ください。

国外の事業者にWeb広告(いわゆる事業者向け電気通信利用役務の提供)費用を支払った場合
課税売上割合が95%以上であれば、そもそも課税仕入れにならないため資料は不要で、課税売上割合が95%未満の場合もインボイスの保存は不要です。
資料は不要ですが、95%未満の場合のみ、帳簿に【相手の名称・仕入年月日・仕入の内容・支払対価の額・特定課税仕入れに係るものである旨】を記載しなければなりません。


国外の事業者に電子書籍(いわゆる消費者向け電気通信利用役務の提供)の購読料を支払ったとき

インボイスが必要です。以前に登録国外事業者だった会社は、自動的にインボイス発行事業者になっていますので、インボイスを回収・ダウンロードしておきましょう。


③従業員の健康診断の費用を支払った場合

宛名が会社の場合は、医療機関からのインボイスが必要です。
会社ではなく従業員本人の場合は、本人からの立替経費精算書等と従業員が受け取ったインボイスそれぞれが必要になります。

※従業員が立て替えた場合でも、宛名が会社であれば立替経費精算書等は不要です。

 

④新幹線代や航空券のキャンセルをして、解約手数料や払戻手数料を支払った場合

消費税が課される手数料については、インボイスが必要になります。

 

⑤仕入代金などの支払の際、振込手数料を支払った場合

窓口・インターネットバンキングからの振込は、インボイスが必要です。この際のインボイスは、窓口の場合は振込依頼書などになりますが、ネット振込の場合は銀行ごとに違うため、金融機関にご確認ください。

ATMからの振込であれば、インボイスは不要です。帳簿に【自動販売機特例 AA銀行BB支店】と記載すればOKです。

 

いかがでしたでしょうか?

挙げればキリが無くなってしまうため、5項目のみに絞っていますが、これらの支払いがあった際の参考になれば幸いです。

インボイスでよくいただく質問まとめ①

【インボイスでよくいただく質問まとめ①】

税理士法人FLOW会計事務所です。

インボイスがいよいよ始まりました。

今回は、個別論点のうち、よくご質問をいただく3点を結論ベースでお伝えしたいと思います。

①クレカ明細を保存すれば、領収書等の保存はしなくても仕入税額控除はできるの?

原則として、クレカ明細と領収書等の両方を保存しなければ仕入税額控除をすることはできません。

簡易課税や2割特例を利用する場合には、領収書等の保存をしなくても仕入税額控除の適用はできますが、「簡易課税だから保存しない」「簡易課税ではなくなったから保存する」といったように課税形式を変えるたびに保存書類をパターン分けするのは煩雑ですので、経理実務上は一律で「領収書等は保存する」というルールにしてしまったほうがおススメです。

②水道料金はどうやってインボイスを取得すれば良いの?

原則として「検針票」をインボイスとして保存いただければOKです!

③10月1日になってもインボイスの登録通知が届かない場合にはどうしたら良いの?

インボイスの登録が完了次第、事後報告いただければOKです!

 

以上、シンプルではございますが、ここ最近でよくいただく質問を解説させていただきました!

少しでもご参考になれば幸いです!

ETCのインボイス対応が変更されました

【ETCのインボイス対応が変更されました】

税理士法人FLOW会計事務所です。

当初、ETCクレカの利用にあたり、クレカの明細書の他、その全ての利用分に係る「利用明細書」を保存しなければ仕入税額控除の適用ができないというものになっていました…

毎回、ETCクレカを利用するごとにウェブ上の「ETC利用照会サービス」にログインして「利用明細書」を取得しないといけないなんて手間&煩雑過ぎて途方に暮れる方も多かったと思います。

上記のような声が多かったのでしょう。

インボイスがはじまる直前の9月15日に上記の対応について見直しがなされました。

ETCクレカを利用した場合の利用明細書は「利用分全て」を保存するのではなく「利用した高速道路会社等の1回分の利用明細書の保存でもOK」になりました。

なので、ETCクレカを利用した場合には「クレカ明細書」+「利用した高速道路会社等の1回分の利用明細書の保存」をすればインボイスの要件を満たすということになりますね。

「利用分全てじゃなくて良かったーーー」

と言いたいところですが、本当にこのやり方で実務上浸透するのか…

我々は普段から経営者さんとよく接していますが、皆さんめちゃくちゃ忙しいです。

どこの中小企業も人手不足ですし、バックオフィスのDX化で経理をラクにすることはできても、インボイスの要件を満たすために必要な明細などの取得について現状はまだ人力に頼るしかありません。

岸田首相も「事業者の視点に立って、重要な運用を」だったり、住沢国税庁長官もインボイスの税務調査は「大口・悪質に限定」するなどと発信されているわけですが、現場の税理士側としては「インボイスの細かいことは無視してイイですよー」なんてお客さまには言えなかったりするわけで…

この後も今回のETCのように直前で対応が簡素化されるものが出てくるはずですので、またご案内できればと思います。

最後まで読んでいいただきありがとうございました!

個人の方への税務調査が増えています!

【個人の方への税務調査が増えています!】

税理士法人FLOW会計事務所です。

近年、国税庁は個人の方への税務調査を強化しています…

国税庁から令和3事務年度の調査状況が開示されています。

令和3事業年度 所得税及び消費税調査等の状況

令和3年事務年度の税務調査は前年比でも131.9%に上昇しているため、これだけでも個人向けの調査が増えていることがわかりますね。

特に無申告の方への調査が強化されています。

○無申告者への税務調査件数(所得税)

令和3年事務年度 3828件

令和2年事務年度 2993件

○無申告者の申告漏れ総所得金額総額(所得税)

令和3年事務年度 1119億円

令和2年事務年度  768億円

○無申告者への税務調査件数(消費税)

令和3年事務年度 5257件

令和2年事務年度 3294件

○無申告者の追徴課税総額(消費税)

令和3年事務年度 129億円

令和2年事務年度  75億円

めちゃ増えてますね苦笑

過去、申告しなくてもバレなかった方もいたかもしれませんが、単純に見過ごされていただけかもしれませんし、AIの発展によって調査対象を拾う技術が向上している可能性も大いにあります。

「申告してないけど税務署から何も言われないから大丈夫なんだよね?」

と誤認している方も案外多くて、税務署から何も言われないからOKというわけではありません。

それは単純に調査対象にならなかっただけで、調査対象になっていたら指摘されていたでしょう。

指摘された後に追加でペナルティを取られてしまうのももったいないので、適切な申告をするように努めていきましょう!

インボイスの「帳簿のみ保存の特例」とは?

【インボイスの「帳簿のみ保存の特例」とは?】

税理士法人FLOW会計事務所です。

これまでのブログでもインボイスを保存しなくても「一定の事項を記載した帳簿のみの保存」で仕入税額控除が認められるケースの一例をいくつか解説させていただきました。

公共交通機関特例

自販機特例

今回は、「一定の事項を記載した帳簿のみの保存(以下「帳簿のみの保存特例」)」について改めて解説いたします。

◇インボイスの保存が免除される取引がある

復習にはなりますが、インボイスの保存をしなくても「帳簿のみの保存特例」を満たせば仕入税額控除の適用が受けることができる代表例にはこんなものがありました。

・3万円未満の公共交通機関に関わる旅費

・3万円未満の自販機からの商品の購入等

上記の取引ではインボイス(領収書や請求書等)を受け取るのが物理的に困難なケースが想定されます。

そのためインボイスがなくても「帳簿のみの保存特例」を満たせば仕入税額控除の適用が受けられることになっています。

◇「帳簿のみの保存特例」とは?

結論からお伝えすると「帳簿のみの保存特例」を受けた内容を帳簿の摘要に記載すればOKです。

具体的にお伝えすると、3万円未満の公共交通機関に関わる旅費に関する取引について仕訳入力をする場合にはその仕訳となる摘要に「3万円未満の鉄道料金等」などと記載すればOKです。

自販機で何かを購入した場合にはその仕訳となる摘要に「○○市 自販機」など記載していただければ十分です。

それダケなのです。

ただ、金額が僅少だと結構忘れがちになりそうな部分ではありますのでご注意を。

以上、シンプルではございますが、今回は「帳簿のみの保存特例」の定義について解説させていただきました。

少しでも参考になれれば嬉しいです!

インボイスの自販機特例とは

【インボイスの自販機特例とは】

税理士法人FLOW会計事務所です。

今回はインボイスの自販機特例についてお伝えします。

◇自販機特例とは?

自動販売機やコインロッカーでは、今までも領収書を受け取ることができませんでした。

インボイスが始まったからと言って、わざわざ自動販売機やコインロッカーのオーナーに領収書を求めていたらキリがありません。

ということで、自動販売機や自動サービス機ではインボイスの保存が免除されることになっています。(ただし、帳簿の保存は必要になります)

◇自動販売機や自動サービス機の具体例

自動販売機やコインランドリー、コインロッカー、金融機関のATMによる手数料を対価とする入出金サービスや振込サービスが該当します。

◇自販機特例の対象外となるもの

小売店に設置されたセルフレジなど、機械装置により単に精算が行われているだけのものは自販機特例の対象外なのでインボイスの保存要件は免除されません。

 

以上が自販機特例の内容になっています。

少しでも参考になれば嬉しいです!

インボイスの公共交通機関特例とは

【インボイスの公共交通機関特例とは】

税理士法人FLOW会計事務所です。

今回はインボイスについて公共交通機関特例についてお伝えします。

◇公共交通機関特例とは?

バスや電車、船舶などは、毎度毎度利用するたびに、運行会社からインボイスの要件を満たした請求書や領収書などを受け取るのが現実的ではありません。

電車に乗るたびに窓口でインボイスを発行してもらうなんてことになったら、利用者も窓口も大変になってしまいます。

そのため、利用額が一定額未満の場合には、インボイスの保存が免除されることになっています。(ただし、帳簿の保存は必要になります)

◇対象の乗り物

「船舶」による旅客の運送、「バス」による旅客の運送、「鉄道・軌道」による旅客の運動が公共交通機関特例の対象です。

◇利用額がいくら未満なら免除されるのか?

税込3万円未満であれば免除になります。

これは、1回の取引単位で判定することになります。1人ではありません。

そのため、1回の出張を2人で行く場合で運賃が1人1.6万円かかったとしましょう。

そうすると、1回の出張で1.6万円×2人=3.2万円かかっていることになるので、交通機関特例の対象とはならず、インボイスの保存要件は免除されません。

正直、これは現実的なのか…と個人的には思うところはあるのですが、現行制度では以上のように定められています。

なお、入場料金や手回り品料金は交通機関特例の対象外なのでインボイスの保存が求められています。

 

以上がインボイスの交通機関特例となっています。

少しでも参考になれば嬉しいです!