記帳代行ってナニ?そのメリデメは?

税理士法人FLOW会計事務所です。

今回は記帳代行とそのメリットとデメリットについて解説させていただきます。


【記帳代行とは?】

事業をされている場合、個人でも法人でも少なくとも年に1回は税務申告書を作成して役所に提出しなければなりません。

そして、この税務申告書を作成するためには事業に関する取引について記録付けをする必要があります。

この記録付けを記帳といいます。そして、その記帳を自分でやる場合には自計化といい、誰かにお願いする場合のことを記帳代行といいます。

この記帳代行は会計事務所や記帳代行専門の会社で利用することができます。


【記帳代行のメリット】

①経理担当者を雇用する必要がないため、コストが安く済む

記帳代行の平均相場はおおよそ月額1万円程度です。一方、経理担当者1人を雇用する場合、社会保険も含めると少なくとも月額25万円程度の費用が必要になるでしょう。記帳代行であればそのコストを25分の1にすることができます。

②離職のリスクがない

経理担当者を雇用する場合には離職のリスクがあります。離職の際に業務の引継ぎをスムーズに行えないリスクもありますが、記帳代行ではそういったリスクヘッジが可能です。

③本業により集中できる

経理担当者を雇用せずご自身で記帳をする場合、慣れない業務のため、圧倒的に時間が取られてしまいます。記帳代行をお願いすることで本業により集中できるというメリットがあります。


【記帳代行のデメリット】

①リアルタイムに対応できない場合がある

経理担当者を自社で雇用する場合、その経理担当者は当然ながら自社の経理しか対応していません。そのため、イレギュラーな出来事にもすぐに対応することが可能です。一方、記帳代行会社は複数の記帳業務を掛け持ちしているため、レスポンスに時間がかかってしまう可能性があります。

②取引実態の詳細をつかみきれない可能性がある

希少性の高い業種や海外を含めた複雑な取引が多い場合、お金の流れもイレギュラーになる可能性があります。この場合、記帳代行会社がその流れをつかみきれず会計処理のミスになる可能性が生じます。そのため、より緊密にコミュニケーションがとれる記帳代行会社をご選択されることがおススメです。


【まとめ】

以上が記帳代行とそのメリデメになります。

まとめると「会社として経理担当者を雇うほどの資金的余裕がない場合には記帳代行を利用し、資金的な余裕が出てきたら総務も対応してくれる経理担当者を雇用する」のがベターかと思います!

これから起業を検討している方に少しでも参考になれば幸いです!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

従業員が入院!会社は費用を負担できる?

【従業員が入院!会社は費用を負担できる?】

税理士法人FLOW会計事務所です。

今回は従業員が入院した場合、会社はその費用を負担できるのか?というテーマをお届けします。


◇結論

福利厚生費(見舞金)として負担できます!

これは従業員だけではなく役員に対しても可能です。

ただし、あまり高額な支給は不可で、入院1回につき5万円までが1つの基準になります。

5万円の根拠は過去の裁決になります。


◇平成14年6月13日裁決

「建設会社が、非常勤役員に対して入院見舞金3,995,000円を福利厚生費として支給したところ、税務当局はこれを否認し、入院見舞金として妥当な額は入院1回につき5万円までしか認めない。」とした裁決。

https://www.kfs.go.jp/service/JP/63/21/index.html


20年以上前の裁決にはなるので当時とは状況も変わっているはずですが、さすがに何百万円単位の見舞金は今も認めてもらうのは厳しいでしょう。

ただ、5万円を1つの基準に検討いただければ、まず否認されることはないはずです。

従業員が入院した場合の見舞金の取り扱いについてご理解いただけましたでしょうか!?

少しでも参考になれば幸いです!

個人事業でも家族に払う給料は経費で落とせるの?

税理士法人FLOW会計事務所です!

今回は、個人事業主でも家族に払う給料は経費で落とせるの?というテーマです。


◇結論

経費で落とすことができます!

ただし、ご自身の事業が青色申告なのか?白色申告なのか?で取り扱いが異なります。


◇青色申告の場合

以下の要件を全て満たせば「青色事業専従者給与」としてその給与額を経費で落とすことができます。

①事業主(ご自身)と生計を一つにしていて、その年の12月31日時点で年齢が15歳以上であること

②給料の金額を事前に税務署に届け出ること

③その給与の額が業務の対価として適正であること

④1年間のうち、6か月以上その事業に従事していること

逆に上記の要件を満たしていない場合には、いくら給料を払っても経費で落とすことができません。

③の適正額については、赤の他人が全く同じ仕事をしたときにいくら払うのか?という相場ベースになります。

また、配偶者が青色事業専従者給与を受けた場合には、配偶者控除や配偶者特別控除は使えなくなってしまうのでご注意を。


◇白色申告の場合

以下の要件を全て満たせば「専従者給与」としてその給与額を経費で落とすことができます。

①事業主(ご自身)と生計を一つにしていて、その年の12月31日時点で年齢が15歳以上であること

②その給与の額が業務の対価として適正であること

③配偶者は年間86万円、他の親族は年間50万円が限定(*)

(*)ただし、事業所得を専従者の数に1を足した数で割った金額までを限度とする。

④1年間のうち、6か月以上その事業に従事していること

青色申告と同じように、配偶者が専従者給与を受けた場合には、配偶者控除や配偶者特別控除は使えなくなってしまうのでご注意を。


以上、簡単ではございますが、個人事業主としてご家族に給与を支払うときの注意点です!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

会社から家族に給料を払っても大丈夫?

税理士法人FLOW会計事務所です。

今回は、家族への給料についてシンプルに短くお伝えします。


◇会社が家族へ支払う給料について

「家族を従業員にして給料は払っても大丈夫ですか?」

会社を設立すると、よくいただくのがこの質問。

結論「ちゃんと働いていればOK」です!

ただし、相場からかけ離れた給料は税務署から否認される可能性もあります。

例えば、「一般的な事務仕事のみ」で月給100万円。コレはさすがに高すぎますね笑

近隣相場から著しくかけ離れた金額設定は注意です。


◇みなし役員に該当することも?

家族経営の場合、従業員であっても「役員」とみなされる可能性があります。

「役員」は役員報酬を原則として1年に1回しか変更することができません。

何回でも変更出来てしまうと、決算直前に役員報酬を増やして利益調整ができてしまうからです。

代表者と従業員家族のお金がつながっていることもよくあるでしょう。

「オレ(代表者)の役員報酬は変更できないから、嫁の給料上げて調整するかー」

コレ、NGです。

コレができてしまうと、役員報酬の利益調整を防ぐ主旨が完全に無視できてしまいますからね…

従業員家族が「みなし役員」に該当する場合には、上記のようなケースにハマらないよう注意が必要です。


◇みなし役員とは

みなし役員とは「役員と同じくらい経営に携わっている人」のことを指します。

具体的な基準はありません。

国税庁としては、会社経理に携わっている家族は「みなし役員」とするケースが多いです。


◇賞与にも注意

原則として役員賞与は経費にできないため、みなし役員の賞与にも制限がかかります。


◇結論

ちゃんと働いている家族で、一般的な額であれば支給はOK!

でも、経営に携わっている場合には、役員と同様に取り扱った方が間違いない。

という結論になります!

家族に給料を払う際の少しでも参考になれば幸いです!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

役員賞与って経費にならないの?

税理士法人FLOW会計事務所です。

今回は役員賞与についてシンプルに手短に解説いたします!


役員賞与とは

◇役員賞与

会社が役員に対して支払う賞与のことをいいます。

◇税務上の取り扱い(原則)

原則として法人税法上、役員賞与は損金に算入できません。

ちなみに「損金に算入できない」とは、ザックリいうと経費で落とせないという意味です。

会社からお金は出ていくけど経費にはできない、つまり役員賞与は払ってもその分、税金が安くならないことを意味します。

一方、従業員へ支払う賞与は経費で落とすことができます。そのため、従業員への賞与は払った分、税金が安くなります。

この違いは、役員賞与を利益調整に利用させないためです。

社長「あ、このままだと利益けっこーいっちゃうなー、税金払いたくないから自分にたくさん賞与出しとこー」

コレができたらいくらでも税金をコントロールできてしまいますからね…

ただし、事前に税務署へ届出(事前確定届出給与)さえすれば、役員賞与も経費で落とすことができます。


【事前確定届出給与とは】

◇事前確定届出給与とは

役員に対して支払う賞与を経費として認めてもらうための届出になります。

◇金額

賞与の額は事前に決める必要があります。例えば、100万円の金額で届出をした場合には、必ず100万円の賞与を払わなければなりません。

「ちょっと資金繰りキツイから役員賞与は60万円にしとくかー」

これはダメです。

じゃあ、逆に

「コロナの影響で賞与どころじゃない。1円も出せないヨ…」

これはOKです。

つまり、「0円」or「満額」かのどちらかの選択になります。

◇届出期限

「株主総会などの決議の日から1か月内」か「事業年度開始の日から4か月内」のどちらか早いが届出期限となります。

1日でも遅れたらアウトです。

*新設法人は設立から2か月以内


以上、簡単ではありますが役員賞与の経費化についてのハナシでした。

「経費で落とせる金額は事前届出の金額の満額or0円」と「届出期限」がポイントですね。

少しでも参考になれば幸いです!

起業したら、税務上、提出すべき書類とは?

税理士法人FLOW会計事務所です。

今回は、起業した後に税務上、提出が必要な書類についてシンプルにお伝えします。


個人事業主として起業した場合

①個人事業の開業・廃業等届出書

提出期限:開業の日から1か月以内

②所得税の青色申告承認申請書

提出期限:開業の日が1月1日から1月15日までの場合には3月15日まで、開業の日が1月16日以降の場合には、開業の日から2か月以内

③青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書(提出できるのは②を提出している場合のみ)

提出期限:②と同じ

④給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

提出期限:給与支払事務所等を設けてから1か月以内

⑤源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(給与の支給人員が常時10人未満の場合にのみ提出可能)

提出期限:随時


【法人を設立した場合】

①法人設立届出書

提出期限:法人設立後2か月以内

*個人と異なり、法人の場合には各都道府県税事務所、各市町村にも設立届の提出が必要なので注意

②青色申告の承認申請書

提出期限:法人設立の日以後3か月を経過した日又は最初の事業年度の終了日のいずれか早い日の前日まで

③給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

提出期限:給与支払事務所等を設けてから1か月以内

④源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(給与の支給人員が常時10人未満の場合にのみ提出可能)

提出期限:随時

(出典:国税庁ホームぺージ「個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき」)


【個人と法人の違い】

個人事業主と法人では取り扱いが異なる書類があります。

1つ目は青色申告承認申請書です。

個人は「開業の日が1月1日から1月15日までの場合には3月15日まで、開業の日が1月16日以降の場合には、開業の日から2か月以内」です。

一方、法人は「法人設立の日以後3か月を経過した日又は最初の事業年度の終了日のいずれか早い日の前日まで」になります。

注意すべき点は個人は「2か月」であるのに対し、法人は「3か月」という点です。

過去に法人設立したお客さまで「設立してから2か月経過してしまって、うっかり青色申告承認申請書を提出し忘れてしまった」というご相談をいただいたこともありましたので、ご注意を。

2つ目は個人事業主のみに提出が認められる「青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書」です。

通常、個人事業主では親族に払う給与の経費化は認められていません。ただし、

下記の要件を全て満たすものに給与を支払いをする場合において、本届出書を提出する場合には給与の経費化が認められます。

・青色申告者と生計を一にする配偶者その他親族であること

・当該年度の12月31日において15歳以上であること

・給与の支払いを受ける者が、6か月を超える期間(または機関の2分の1を超える期間)、青色申告者の事業に従事していること

「青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書」該当する場合には必ず提出することをおススメします。

以上、起業した後に税務上提出すべき書類について解説させていただきました。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

少しでも参考になれば幸いです。

 

役員報酬は高すぎるとアウト?

税理士法人FLOW会計事務所です。

今回は役員報酬についてシンプルにお伝えします。

「役員報酬があまりにも高すぎると税務署から否認されるのか?」

よくいただく質問です。

税務署は役員報酬を2つの基準で判断します。


◇形式基準と実質基準

①形式基準

役員報酬を決める際は、定款の定めに応じ、株主総会や取締役会で決定し議事録を作成する必要があります。この議事録がない場合には形式を満たさないものとして役員報酬を否認される可能性があります。

②実質基準

①の形式基準を満たしていても、実質基準を満たしていない場合には役員報酬を否認される可能性があります。実質基準は以下になります。

・法人の収益状況

・役員の職務内容

・使用人給与の支給状況

・類似法人の役員報酬の支給状況

中小企業では、家族経営をしている会社も多くあります。本当は働いていないんだけど、役員として役員報酬を支給している場合、この場合には否認される可能性があります。「働いてない」=「役員の職務内容の基準を満たしていない」と認定されるためです。

「類似法人の役員報酬の支給状況」については神経質になる必要はありません。同業者でもうまくいっている会社の役員報酬とうまくいっていない会社の役員報酬が同額であるはずがありませんからね。

あくまで目安としてご承知おきください。


◇赤字企業の役員報酬について

役員報酬が多すぎて会社が赤字になるケースもよくあります。この場合は否認されるのか?

この話もそこまで神経質になる必要はありません。法人として支払うだけのキャッシュがあり、役員としてしっかり働いているのであれば問題になることは基本的にはありません。


◇事業年度の途中で役員報酬を下げる場合

原則として事業年度の途中で役員報酬を改訂することはできません。

ただし、下記に該当する場合には減額することは可能です。

(1)株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から役員給与の額を減額せざるを得ない場合

(2)取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、役員給与の額を減額せざるを得ない場合

(3)業績や財務状況又はが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給与の額の減額が盛り込まれた場合

(引用:役員給与に関するQ&A

役員報酬は原則として事業年度開始の日から3か月以内に決定する必要があります。

そのため、一旦は高めに設定し、キャッシュが足りなくなった場合に上記要件と照らして役員報酬減額の検討をしていただく方法もございます。


以上、簡単ですが「役員報酬は高すぎるとアウト?」について解説させていただきました。

少しでも参考になれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

必要なのはレシート?領収書?どっちなの?!

税理士法人FLOW会計事務所です。

今回は領収書のハナシ。

スタートアップのお客様から必ずいただく質問の1つです。

まず、「経費で落とすためには領収書は絶対に必要なのか?」

コレ、ケースバイケースです。


◇自販機で買ったものやご祝儀、香典など

基本的に領収書がありません。

葬儀場で

「領収書ください」

無礼にもほどがあります。

こういった場合は、「どこで」「だれに」「なにに」「いくら」払ったのかを必ずメモしておきましょう。

冠婚葬祭であれば、いただいた招待状や逝去の通知に「いくら」払ったのかメモしておけばパーフェクトです!


◇レシートがあるけど、領収書も必要?

買い物や飲食店のお会計の際に、よくあるシーンです。

「領収書は必要ですか?」

コレ、レシートがあれば不要です。

理由は、レシートには明細が載っているけど、領収書には明細が載っていないから。

領収書には明細が書いていないってことは、税務署目線からすると「内容を隠そうとしているのかな?」と怪しまれることもあります。

領収書しかない場合には領収書で結構です。

でも、レシートがある場合には領収書は不要です。


万が一、レシートや領収書を無くしてしまった場合には、その旨も必ずメモに記録として残しておきましょう。

以上、経費化に必要な領収書・レシートのハナシでした。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

インボイス発行登録、間違いやすいポイント

税理士法人FLOW会計事務所です。

2021年10月1日からインボイス発行事業者の登録申請がスタートしました!

インボイス発行事業者になるためには2023年3月31日までに登録申請が必要になるため、皆さん「まだまだ時間あるぜ~」と余裕をかましているのかと思いきや、10月だけでも申請数が10万3千件もあったようです。

また、10万3千件のうち、4万6496件はインボイス発行事業者として登録されたとのこと。

申請方法は「郵送」と「e-Tax」の2パターンありますが、8~9割程度は「e-Tax」を利用しているそう。

会計事務所としても、初めての登録申請のため、手探り状態で四苦八苦しているところも多いと思います。

申請にあたっては下記のような間違いも多いため、ご参考までにご注意ください。


登録申請書の郵送先のミス

郵送先はお近くの所轄税務署ではなく、各国税局のインボイス登録センターになります。

◇登録申請書にて「本店又は主たる事務所の所在地」の記入誤り

→事実上の本店ではなく、登記簿上の本店所在地を記入する必要があります。

個人事業主の屋号を登録申請書の「氏名又は住所」に記載していた

→個人事業主の場合、屋号を登録する場合には、「適格請求書発行事業者の公表時効(変更)申出書」に屋号を記載し、登録申請書と一緒に提出する必要があります。このパターンのミスはけっこう多いのではないでしょうか…

登録申請書の事業者区分を課税事業者にチェックしてしまった

→現在、免税事業者であるが、2023年には課税事業者になるため、課税事業者にチェックを入れて申請した場合も誤りです。申請時点で免税事業者であれば免税事業者にチェックを入れましょう。

登録申請書(次葉)で登録要件の確認が未記入だった

免税事業者以外の者も含めて確認チェックは必要です。


以上、簡単ですが、現時点であがってきている誤りやすいポイントです。

ご自身で申請する際にはご注意ください!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

月末に事業供用した減価償却資産の注意点

【月末に事業供用した減価償却資産の注意点】

おはようございます。

税理士法人FLOW会計事務所の会田です。

今回は、減価償却費の月割計算について、償却費が1ヶ月分少なくなる場合のご紹介です。

例と同様の決算月の会社は注意が必要です。

◆償却費が1ヶ月分少なくなる!?

さて、どのような場合に少なくなるのでしょうか。

それは「事業年度が10/1~9/30」で、「減価償却資産が5/31に納品されて事業供用をした」、といった場合です。

5/31に事業共用していますので、減価償却費は「5・6・7・8・9」と5ヶ月計上できるように思えます。

しかし、今回の場合は4ヶ月分しか計上できません。

◆なぜ1ヶ月少なくなるのか?

理由は、月数の数え方に誤りがあるためです。

国税通則法10条に「期間の計算及び期限の特例」というものがあります。

この条文内で月数の数え方について、下記のように定められています。

(民法にも同様の条文がありますが、今回は割愛いたします。)


二 期間を定めるのに月又は年をもつてしたときは、暦に従う。

三 前号の場合において、月又は年の始めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。

ただし、最後の月にその応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

「国税通則法10条」引用


これを上記の例に当てはめてみます。

月初からの起算ではない場合、「起算日に応当する日の前日に満了する」とありますので、事業供用した5/31の前日の「30日」となります。

ここから1ヶ月ずつ数えていくと「6/30・7/30・8/30・9/30」となり、計上できる月数は4ヶ月だけになるのです。

そのため、冒頭のように月数で数えていた場合は1ヶ月多く経費計上していたことになり、税務調査で指摘されることが考えられます。

仮に10/31の場合は、「6/30・7/30・8/30・9/30・10/30・10/31」と6ヶ月分計上することができますので、会社ごとに確認が必要かどうかが違います。

過去にはこの計算に対応していない減価償却ソフトもありましたので、ご利用のシステムを確認してみると良いでしょう。

以上となります。

今回は、意外な盲点になる内容についての紹介でした。

ご参考になれば幸いです。

では、また。