【税務調査に当たっての金融機関への照会が変わる】
税務署OBの税理士中村でございます。
税務調査に際しての金融機関への照会方法が変わります。
私が現役の頃は、税務調査や資産調査等で不正につながる預金関係への入金資料が把握された場合、その口座資料等を含め、調査対象者の取引先の金融機関やそれ以外の金融機関に対して、預貯金等の照会を行ってきましたが、金融機関へ照会をしても、1ヶ月以上回答待ちになることが往々にしてあった記憶があります。
【現行の照会方法】
◇照会までの流れ
上司への報告→照会文書の作成→決裁→押印→封書詰め→郵送→回答文書の開封→回答文書のチェック・保存等
上記の通り、これまでは人手を多く要するアナログな手法でした。
各国税局・税務署から金融機関への照会は年間で約6000万件ともいわれております。
これでは当然、税務調査自体も長期化することになってしまいますね。
そんな現行体制を改善するべく、照会方法が変更されることになります。
【新たな照会方法】
まずは、NTTデータの預貯金照会業務ソフトを使用し、一部の国税局・税務署が一部の金融機関とネットワーク連携することを実験的に実施することになっております。
預貯金の照会・回答業務をデジタル化することで照会までの時間を大幅にカットすることが期待されています。
税務調査においてこの仕組みが普及すると、調査対象者の各金融機関の預貯金データが調査前でも確認することが可能になります。マイナンバーと紐づけしていけば、特に納税者の非事業用貯金を含めた全預金の把握や全国に散らばった預貯金の把握に容易に可能になると想像されます。
デジタルシフトによって、税務調査の大幅な効率化が図られる一方で、国民は国に隠し事はできなくなってしまいますね。
国民の金融資産の全貌が国に握られることも時間の問題なのかもしれません。