税務署目線からの税務調査の流れとは?②

こんにちは。

税理士法人あけぼの会計東京事務所所長の中村です。

今回は税務調査の流れについてお話いたします。

税務調査は、個人事業と法人とで、調査日数が異なるケースが多いです。

個人事業の場合は、1日。法人の場合は、個人より規模が大きいため、概ね2~3日間にわたってお伺いすることが多いと思われます。

「調査実施日」

訪れる時間は、大体午前10時頃が主です。その際に必ず身分証明書の提示があります。

最初から直ぐに帳簿などを見始めることは少なく、雑談を交えながら、概況の聴き取りを行います。雑談は、仕事以外の家族構成や直近の新聞ネタ・スポーツネタ・趣味ネタなど、気さくな話題も多いのですが、それを端緒に仕事への結びつきなどを考えている場合も多くあります。この雑談等について、うまく会話できるのもベテランになるほどうまくやります。

具体的な聴き取り事項は以下になります。

① 開業から現在までの業態の推移

② 業務内容 併せて経営理念やビジョン

③ 取引先の範囲(売上先・仕入先とも)

④ 取引している金融機関

⑤ 従事員の氏名や従事内容・役職

基本は、売上金額の記帳について、何をもとに記載されているか 売上請求書(控)・納品書・領収書(控)預金通帳等から、的確に行われているかを検討されます。 進行期の売上と前期期末の売掛とを精査し、計上すべき時期はどうか、正しいかなどの検討やレジを使っていれば、レジペーパーの切れ端(翌日とのつながり)や内容の検討、請求書や領収書の控えの枚数が合っているかなど確認作業を行います。

次に、仕入れについては、架空仕入れの計上や在庫の計上漏れがないかなど確認します。

例えば、仕入れたものをそのまま販売する場合、細かなものについては、売買の数量確認が無理であるが、大きな品物については、仕入れ・売上・在庫の流れを追えば、正しく記帳されているかどうかが判断できます。 必要経費(一般管理費)についても、金額の多寡や費目の中で注目するものを準備調査の段階で絞って考えているので、その領収書のチェックが行われる場合も多いと思います。外注費等については、架空外注費の検討もありますが、売上と外注費との関連性などもチェックの対象です。

貸借対照表が添付されている場合、売掛金勘定や資産取得資金状況・借入金勘定などに注目していますが、個人事業の場合、事業主借(店主借)勘定の資金源等は注目されやすい項目であろうかと思います。

調査において、個人の場合は、所得税のほかに、消費税・源泉所得税・印紙税の同時調査が行われ、法人の場合も同様に他税目の調査が同時に行われることは、頭に入れておくべきです。

調査期間は、1か月程度を考えているようですが、内容によっては、2~3か月程度の場合もあります。 指導事項について税務署の考え方をまとめ関与税理士がいる場合には、関与税理士経由で連絡されます。

連絡の内容は、修正申告を求めるケースと修正は求めず指導にとどめるとか申告是認とするケースです。 修正申告を提出するとなると、国税の本税・加算税・延滞税の納付となりますが、その上に、市県民税・事業税などの地方税や健康保険税等への影響も出てきます。

長くなってしまいましたので、今回はここまでといたします。次回は、税務調査対策について考えていきたいと思います。 最後まで読んでいただきありがとうございました。

税務署目線からの税務調査の流れとは?①

こんにちわ。

つくば・秋葉原に事務所を構える税理士法人あけぼの会計東京事務所の中村です。

税務調査は、【①事前調査(準備調査)→②事前連絡→③調査】の流れで実施されます。

今回は、調査の流れのうち、①と②についてお話しさせていただきます。

①事前調査(準備調査) まず、税務署では税務調査の前段階で「事前調査(準備調査)」を行います。 「事前調査(準備調査)」とは、過去の申告(3~5年間分)の内容を見直し、損益計算書・貸借対照表の検討表を作成します。推移や科目ごとの数値を比較し、突出した数値の有無を確認し、資産の増加があれば、資金源たるものの有無の検討、商品等の回転率や客数の回転率・従事員一人当たりの売上など様々な数値を算出し、同業種の申告内容との比較なども行います。業種・業態に応じて、外観調査や内観調査を行い、調査に値するものかどうかの検討をすることが「事前調査(準備調査)」です。

②事前連絡 調査選定され、①による準備調査が終了した場合、実地調査予定日より10日程度前に、調査対象者(会社)に電話で連絡を行います。関与税理士がいる場合には、調査対象者ではなく、関与税理士に連絡があります。そして、その電話にて調査日程を決定します。その際、税務署からは「調査開始日」「調査の場所」「調査の目的」「調査対象税目」「調査対象期間」「調査担当者名」「人数」などが知らされます。

ただし、飲食業や小売業など不特定多数の者と現金決済を行っている業種などは、事前連絡(通知)が行われず、無予告で税務調査が行われる場合がございます。その場合には、調査官に「何故、事前連絡(通知)なしで税務調査を行うのですか?」等を聞くようにしてください。関与税理士がいれば、調査官には、「税理士に連絡をとるので、待ってください。」と話したうえで、税理士に連絡を行って、どのように税務調査を受けるかを相談するべきでしょう。

関与税理士がいない場合は、仕事等の都合で日程調整の変更を理由に、日程延期を依頼するなど考えるか、そのまま、調査を受け、具体的な調査内容について調査官から確認しておくべきです。焦らず落ち着いて対応しましょう。

上記の通り、税務調査では、関与税理士の有無でその流れや結果が左右されるケースが多くございます。 税務調査についてご不安な方や、税務調査を控えている方がいらっしゃれば、あけぼの会計にご相談いただけたら幸いです。 次回は、調査当日の流れについてお話しします。 今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

どんな会社が税務調査の対象になるの?

こんにちわ。

つくば・秋葉原に事務所を構える税理士法人あけぼの会計東京事務所所長の中村です。

どんな場合に、調査が入るのか?

おそらく、事業主様が一番気になるポイントかと思います。

実際、来客されたお客様からもたびたびご質問をお受けします。

調査対象になりうるか否かは、各税務署によっても見解がわかれるかとは思いますが、以下の基準で選定されることが多いです。

➀前回調査時又は開業時から3年(期)以上経過している。

②申告内容においての異常計数が目立つ(売上増にもかかわらず、所得が低調の場合など)。

➂資料情報のある者(例えば無申告が5年以上続いているのにも関わらず事業を継続していることが判明した場合。消費税課税対象者であれば即調査選定されます)。

④前回調査で不正摘発があった場合や、長期的に調査未抵触の場合。

正しく申告されている方について、気になるのは➂かと思います。

売上が急に上がると、調査対象に選定されることも多いのは事実です。 事業主様にとって決してハッピーなイベントではないことは私も承知しておりますが、正しく申告をしていれば何も恐れる必要はございません。 税務調査のことで、ご相談がございましたら、いつでもご連絡ください。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

税務調査の対応とそのポイントとは?

こんにちは。税理士法人あけぼの会計東京事務所所長の中村です。 今回は、気分を変えて税務調査についてお話したいと思います。 私自身、税務署に47年勤務し、税務調査を行うこと40年余り(統括国税調査官時代を含め)、多くの経験をしてきました。 そんな私から、税務調査の基礎知識や調査への対応の仕方等を解説いたします。 税務署等では、毎年5月の連休明けぐらいから、税務調査が開始されると思われます。5月から6月末までは、事務年度として終了に向かう時期なので、そんなに大げさには行われませんが数字(特に調査件数)合わせのために行われることも、昔はよくありました。7月の10日が異動日なので、それから、暮れまでが本格的な税務調査の繁忙期に向かっていきます。7月の異動期直後は、体制が整わないこともあり、また、8月のお盆の時期も近いので、血眼になってやるかどうかはわかりませんが、繁忙期に向けての準備を着々と進める時期でもあります。 また、昔より、納税者数も増加し、事業の形態も変化し、新しいタイプの業種に立ち向かっていくには、相当の調査技量の習得が必要であり、それなりの研修なども行われています。 税法の改正は毎年のことであり、その知識の習得もしなければならないので、大変な中での調査事務を行っているわけです。 納税者の皆さんも、そのような職員が目の前に来て、調査を行うことになった時に、どうやって対応していくかは、日頃から心がけるなりの努力が必要であると思います。 そこで、十分な対応をするためには、「資料の保存」と「問われたことに対する説明」が基本です。 当たり前のことですが、事業において記載されるいろいろな資料をしっかりと保存しておくこと。そして、何かを尋ねられたとしても、素早く答え(申告内容との整合性にかなうものである。)られることです。 しかし、質問に対して、澱みなくではなく、戸惑ったりしていれば、「何かあるな」と思われる可能性が生じてしまいます。あくまでも、申告されている「内容の確認」について説明を受けるのだから、まずは、そのことに対しての説明が出来なければなりません。 もちろん、問われたことに対して故意に不正な行為があれば、重い加算税(本税の35%や40%の加算税等)や延滞税の免除期間の制限などが課せられます。 税務調査を受けたい人などなかなかいらっしゃらないでしょう。そして、必要以上の税金を払いたいと思っている人などもなかなかいないかと思います。 せっかく前年より売上が伸びたのに、納税額も増えるなんて、、売上に小細工をしてしまおうかな、、、なんて悪魔の声が囁くこともあるでしょう。しかし、税務署はそれをなかなか見逃してくれません。 合法的に節税をしていれば、そんなズルをする必要もなかったかもしれません。 そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひ、あけぼの会計までご相談いただければと思います。 次回は、エピソードを交えて続きのお話をしたいと思います。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。