【相続で後悔しないために!名義預金・生命保険・現金の重要論点】

こんにちは、税理士法人FLOW会計事務所の野澤です。

相続は、残されたご家族の生活に直結する重要な問題です。単なる節税ではなく「スムーズな納税」と「平穏な生活の継続」を最優先に考えた対策が求められます。今回は、皆様が後悔しないために特に重要な論点である「名義預金」と「生命保険」、そして最も大切な「現金」の役割について解説いたします。

1. 「名義預金」

相続が発生し、後に税務調査が入った際に必ずと言っていいほど確認されるのが「名義預金」の存在です。

名義預金とは、口座名義人(子など)と、実際に資金を拠出し管理していた人(親など)が異なる預金のことです。親が子名義で口座を開設し資金を管理していた場合、子は「もらった」つもりでも、親の相続財産とみなされる可能性があります。

名義預金とされるリスクとその背景
なぜ税務署は相続税の税務調査で、名義預金を確認するのでしょうか。贈与税には原則6年(悪質な場合は7年)の時効があります。しかし、名義預金となれば親の相続財産となり、何十年前に遡っても相続財産として相続税が課税されます。故人だけでなく、家族の過去10年程度の預金移動も調査し、贈与の事実を証明できない場合には、親の相続財産とみなされ名義預金として指摘をうける可能性があります。

贈与の立証責任
正式な贈与(あげる側ともらう側の合意があった)場合でも、口頭の合意だけでは税務調査で認めてもらうのは非常に困難です。

名義預金と指摘されないための重要な対策
贈与の都度、贈与契約書を作成し、贈与者と受贈者が署名・押印し、保管しておくことが重要な証拠になります。
現金手渡しではなく銀行振込を利用することで、いつ、誰から誰へ、いくら資金が移動したか、客観的な記録も残しましょう。
また、通帳、印鑑、キャッシュカードを名義人(子など)自身が管理し、実際に預金を引き出したり、クレジットカードの引き落としに使うなど、名義人が口座を自由に利用している形跡を残すことも重要です。

2. 「生命保険金

生命保険金には、(500万円 ×法定相続人の数)という非課税枠が設けられており、相続税対策としても非常に有効です。受取人を決める際には、「税務上の理屈」と「現実的な生活」のバランスが重要です。

税務上の理屈・配偶者の税額軽減との関係
配偶者には「配偶者の税額軽減」という大きな特例があり、1億6000万円まで、または法定相続分のいずれか多い金額までは相続税はかかりません。相続が発生しても配偶者が安心して生活ができるよう定められているからです。
※但し、この特例は、法律上の配偶者であること、相続税の申告期限までに遺産分割されていること、相続税の申告を行うこと、が要件となります。
この特例を考慮すると、貴重な生命保険の非課税枠を、相続税がかかりにくい配偶者に使うのは「税務上はもったいない」という理屈が成り立ちます。

現実的な生活・納税資金・生活資金の確保
しかし、生命保険の最大の目的、メリットは、亡くなった後の配偶者の生活資金をすぐに確保できることです。
生命保険金は、原則として受取人の固有財産であり、遺産分割協議を待たずに、比較的迅速に現金として受け取ることができます。

結論として、多少税金が高くなっても、配偶者が安心して生活を立て直せるよう、必要な生活資金・納税資金として確保するという選択が、ご家族の安心につながる最良の対策です。

3. 「現金」の確保

相続税の滞納が増加する最大の原因は、相続財産の約4割以上を占める不動産といわれています。不動産は評価額を下げることができ、節税対策としても有効な面がある一方で、相続税の納税は原則、現金一括納付が求められます。

現金不足が招く深刻な事態
・納税資金の不足
財産をすべて不動産に変えてしまうと、納税資金を捻出できないことで申告期限(10ヶ月以内)までに不動産を売却する必要に迫られます。

・ペナルティの発生
期限までに売却できなければ納税も遅れるため、延滞税などのペナルティが発生します。最悪の場合、自己破産に至るケースもあります。

・遺産分割のトラブル
不動産は分割が難しく、公平な遺産分割ができないため、相続人同士の争いにもつながりやすいです。

現金こそがご家族を守る「一番の相続対策」です。 不動産を所有する場合でも、配偶者の生活資金や納税資金をまかなえるだけの流動性の高い現金や預貯金を必ず残しておくことが、最も確実かつ平和的な相続対策となります。

◆専門家へのご相談を

「相続」は、おそらく一生に一度の経験であり、知識がないために後で大きなトラブルに見舞われる方が少なくありません。特に不動産の評価(固定資産税評価額とは異なる)や、相続人の間の分割協議がまとまらない場合の納税(連帯納付義務)など、専門的な対応が必要になる場面が多いです。
事前に専門家にご相談いただくことで、ご家族にとって最善かつ平和な選択を導き出すことができます。
相続にご不安がある方は一度FLOWにご相談ください!

令和7年(2025年)年末調整の大きな変更点:基礎控除・給与所得控除、そして「160万円の壁」の件

こんにちは! FLOW会計事務所のIWASEです!!

例年ご苦労されているであろう年末調整ですが、令和7年(2025年)末に実施される年末調整は、近年稀に見る大規模な税制改正が適用されます。

この改正は、主に物価高騰への対応と、配偶者や学生などの「年収の壁」による働き控えを解消するための緊急的な対策として行われるものです。特に、所得税が非課税となるラインの引き上げ、特定親族特別控除の新設は大学生年代に影響しますので、手取り額に直結する重要なポイントです。

今回は、皆様の生活に直結する「基礎控除」「給与所得控除」「特定親族特別控除」の3つの大きな変更点について、注意点も交えながら解説します。

1. 所得控除の引き上げ:基礎控除と給与所得控除の改正

税負担を左右する所得控除のうち、基本的な控除額が以下の通り引き上げられます。

(1)基礎控除の変更:所得に応じて最大95万円に

納税者なら誰でも適用される基礎控除が大きく変わります。改正前(令和6年分まで)は合計所得金額に関わらず原則48万円でしたが、令和7年分からは所得に応じて控除額が変動します。

特に、合計所得金額が132万円以下の方(給与収入で200万円)の基礎控除額は、48万円から95万円に大幅に引き上げられます(47万円増)。また、合計所得金額が132万円超655万円以下の方も、所得に応じて段階的に88万円から63万円の控除が適用されます。なおこの所得層の基礎控除は、令和7年・令和8年だけの期間限定特例基礎控除となっており、令和9年からは58万円に下がってしまいます。

(2)給与所得控除の変更:最低額が65万円に

会社員やパート・アルバイトの方に適用される給与所得控除(概算経費の役割)の最低額が引き上げられます。従来の55万円から65万円へと10万円引き上げられます。これにより、給与収入190万円以下の方の給与所得が圧縮され、税負担の軽減につながります。

2. 所得税の「年収の壁」:103万円から160万円へ

上記の基礎控除と給与所得控除の引き上げにより、所得税が課税されない上限額(年収の壁)が大幅に変わります。

(1)所得税の「103万円の壁」は「160万円の壁」に

これまで「103万円の壁」の根拠となっていたのは、基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)の合計額でした。

令和7年分以降は、引き上げられた基礎控除の最大額95万円と給与所得控除の最低額65万円を合計した160万円が、所得税が非課税となる新たなラインとなります。

これにより、主にパート・アルバイトの方が、税負担を気にせずこれまで以上に働くことが可能になり、働き控えの解消が期待されています。

(2)他の「壁」との違いにご注意ください

所得税の非課税ラインが160万円に引き上げられても、以下の「壁」は基本的に変更されていません。世帯全体の手取り額に大きな影響を与える可能性があるため、注意が必要です。

住民税の壁(約100万円〜110万円):住民税の非課税ラインは所得税とは別で、自治体によって異なります。

社会保険の壁(106万円または130万円):勤務先の規模や労働時間によって、健康保険・厚生年金への加入が必要になるラインは、今回の所得税改正では変わりません。

3. 大学生等を持つ世帯への支援:特定親族特別控除の新設

今回、大学生世代のお子さん(19歳以上23歳未満)がいるご家庭を対象とした、「特定親族特別控除」が新設されます。※それに伴い19歳以上23歳未満の年代に限り、社会保険の壁も現行の「年間収入130万円未満」が「年間収入150万円未満」に変わりました。

この新控除の目的は、アルバイトなどで収入が増えた学生が、従来の扶養の枠を超えても、親側の税負担が急激に増えないようサポートすることです。

対象者は、12月31日時点で19歳以上23歳未満の親族です。控除の仕組みとして、親族の給与収入が123万円を超えても、例えば150万円以下であれば、親は最大63万円の控除を受けられます(親族の所得が増加すると控除額は段階的に減少)。

また、この改正に伴い、扶養控除・配偶者控除などの適用を受けるための親族の合計所得金額要件が、従来の48万円以下(給与収入で103万円以下)から58万円以下(給与収入で123万円以下)に緩和されます。

4. 年末調整に向けた実務上の注意点

今回の改正が適用されるのは、令和7年分(2025年)の年末調整からです。以下の点に注意が必要です。

(1)申告書の様式変更と複雑化

年末調整で使用する申告書が大きく変わります。従来の「給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」(いわゆる「基・配・所」)に、「特定親族特別控除申告書」が統合され、1枚で4つの申告ができる様式に変更されます。

また、「扶養控除等(異動)申告書」(マル扶)も、扶養親族の所得要件緩和に伴い、「源泉控除対象親族」の欄が追加されるなど、様式が変更されます。特に「特定親族特別控除」は所得金額に応じて控除額が段階的に変動するため、計算や記入のミスが例年以上に起きやすいことが予想されます。

(2)従業員さんへの周知と教育

従業員さんに対して、「160万円の壁(所得税)」と「130万円の壁(社会保険)」が異なること、そして各種申告書の記入方法が変わることを、図解などを用いて早めに、かつ明確に周知する必要があります。控除対象となるご家族の所得見込み額を正確に把握し、申告書に記入漏れがないよう、早めの準備を呼びかけましょう。

この改正は、税負担の軽減と働き方の自由度を高める重要な一歩です。正確な知識をもって、令和7年の年末調整に備えましょう。

参考【国税庁:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について

個人の方への税務調査が増えています!

【個人の方への税務調査が増えています!】

税理士法人FLOW会計事務所です。

近年、国税庁は個人の方への税務調査を強化しています…

国税庁から令和3事務年度の調査状況が開示されています。

令和3事業年度 所得税及び消費税調査等の状況

令和3年事務年度の税務調査は前年比でも131.9%に上昇しているため、これだけでも個人向けの調査が増えていることがわかりますね。

特に無申告の方への調査が強化されています。

○無申告者への税務調査件数(所得税)

令和3年事務年度 3828件

令和2年事務年度 2993件

○無申告者の申告漏れ総所得金額総額(所得税)

令和3年事務年度 1119億円

令和2年事務年度  768億円

○無申告者への税務調査件数(消費税)

令和3年事務年度 5257件

令和2年事務年度 3294件

○無申告者の追徴課税総額(消費税)

令和3年事務年度 129億円

令和2年事務年度  75億円

めちゃ増えてますね苦笑

過去、申告しなくてもバレなかった方もいたかもしれませんが、単純に見過ごされていただけかもしれませんし、AIの発展によって調査対象を拾う技術が向上している可能性も大いにあります。

「申告してないけど税務署から何も言われないから大丈夫なんだよね?」

と誤認している方も案外多くて、税務署から何も言われないからOKというわけではありません。

それは単純に調査対象にならなかっただけで、調査対象になっていたら指摘されていたでしょう。

指摘された後に追加でペナルティを取られてしまうのももったいないので、適切な申告をするように努めていきましょう!

電子帳簿保存法で最低限やらなきゃいけないコト

【電子帳簿保存法で最低限やらなきゃいけないコト】

税理士法人FLOW会計事務所です。

最近はインボイスの陰に隠れてしまっていますが、2024年1月から電子帳簿保存法もスタートするのはご存知でしょうか?!

電子帳簿保存法は任意ではなく、すべての事業者が対応しなければならないルールになっています。

でも、大丈夫です。「最低限コレだけやっておけばOK」

という内容を今回はシンプルにお伝えできればと思います。

◇ざっくり結論

紙でもらったものは紙で保存。データでもらったものはデータで保存しておけばOKです。

今まではデータでもらった領収書や請求書は、紙でプリントアウトして保存する必要がありましたが、電子帳簿保存法によって「データでもらったものはデータで保存しよう」というルールに変わります。

データの保存方法については細かな決まりがあったりしますが、大枠はこれだけです。

決算書や総勘定元帳などの帳簿書類、紙で受け取った領収書や請求書もデータ化して保存することも電子帳簿保存法のルールに含まれていますが、これらはあくまで任意です。

必ずやらなければならないのは、繰り返しますが「データでもらったものはデータで保存しよう」それだけです。

◇データでもらうものにはどんな内容があるか?

①電子メール

メール本文に記載された領収書や請求書のデータ

②添付ファイル

メールに添付された領収書や請求書のデータ

③インターネット

ネットのダウンロードサイトからダウンロードする領収書や請求書のデータ

④クラウドサービス

クラウドサービスを利用して受け取る領収書や請求書のデータ

⑤カードやスマホアプリ

クレカやICカード、アプリの利用によって受け取る領収書や請求書のデータ

⑥EDIシステム

EDIシステムを使ってやりとりするデータ

などなど紙で受け取らない領収書や請求書の全てが該当することになります。

◇データのファイル形式について

特に決まっていないので、スマホのスクショ画面でもOKです!

◇保存要件

上記のデータを保存する場合には、以下2つの対応が必要になります。

[1つ目]

下記のいずれかの対応が必要です。

①タイムズスタンプが押されたデータを受け取ること

②受け取ったデータにタイムスタンプを押すこと

③データの訂正・削除ができないシステムで保存すること

④訂正・削除に関する事務処理規定を定めて規定通りに保存をすること

この中でどれか対応をしないといけません。

おすすめは④です。①~③については新たなシステムやサービスを利用しなければならないのでコストがかかる可能性がありますが、④はその心配がないからです。

事務処理規定についてはサンプルがあります。

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm

上記、リンク内の「電子取引に関するもの」を参考にしてみてください。

[2つ目]

下記を全て満たす必要があります。

①PCやディスプレイ、プリンタなどの出力機器や操作マニュアルを備え付けること

②システム概要書を備え付けること

③下記の検索要件を確保すること

a.取引年月日、金額、取引先

b.日付、金額で検索できること

c.2以上の任意の項目を組み合わせて検索できること

なお、bとcについては、税務調査の際に調査官のダウンロードの求めに応じることができているようであれば不要になります。

そのため、データのタイトルに取引年月日、金額、取引先を記載してデータファイルに保存しておけば特に問題はないです。

以上が、電子帳簿保存法で最低限押さえておかないといけないポイントになります。

2024年1月から「データでもらったものはデータで保存」が義務化されますので、少しずつ準備を始めてみてください!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

「相続税についてのお知らせ・御案内」とは?

「相続税についてのお知らせ・御案内」とは?

【「相続税についてのお知らせ・御案内」とは?】

こんにちは。FLOW会計、野澤です。

今回は、相続税に関する税務署からの通知についてのお話しです。

家族が亡くなると、税務署から「相続税についてのお知らせ」が届くことがあります。

どんな人が対象になっているのでしょうか。

市町村へ提出された死亡届のデータは自動的に税務署へ送られます。

その中から相続税申告の可能性がある人を対象に税務署は通知を送付しています。

その通知には2種類あります。

①「相続税についてのお知らせ」

②「相続税の申告等についての御案内」 

①は、相続税がかかる可能性のある人へ

②は、確実に相続税がかかると思われる人、相続税の課税が見込まれる人へ

①は広範囲の方に対し確認を促す内容になっており、②は相続税がかかるかどうかを確認して回答を税務署へ提出するよう求める内容となっています。  

②の通知が届いた方は、緊迫度が高いです。

ですがこの通知は、相続税の申告期限10か月が近くなってから届く事も少なくありません。

そして、本来なら申告が必要な方でも通知が届かない場合もあるので注意しましょう。

平成27年の法改正で相続税の基礎控除が大幅に引き下げられたことにより、納税義務者が増加しました。そのため、以前は「相続税のお尋ね」といった通知が2種類に分けられ送付されているようです。

通知が届いたら放置せずに、きちんと確認する、回答することをお勧めいたします。

今さら聞けないインボイス⑤免税事業者が令和5年10月1日からインボイス事業者になる場合

【今さら聞けないインボイス⑤免税事業者が令和5年10月1日からインボイス事業者になる場合】

税理士法人FLOW会計事務所です。

ここまでインボイスについて4回投稿させていただきました。

今さら聞けないインボイス①

今さら聞けないインボイス②導入時期など

今さら聞けないインボイス③申請期限

今さら聞けないインボイス④新設法人の申請期限

今回は、免税事業者が令和5年10月1日から適格請求書発行事業者(インボイス事業者)になる場合のお手続きについてシンプルに解説させていただきます。

法人を設立したばかりor課税売上高が1000万円未満の事業者さんであっても「BtoB事業をされている方」に関しては、インボイス事業者の登録申請をされる方が多いかと思います。

インボイス事業者は課税事業者でなければなりません。

そのため、最初の疑問として事前に「課税事業者選択届出書」を提出する必要があるのでは?といった疑問が生じるかと思います。

コレについてですが、令和5年10月1日の属する課税期間中にインボイス事業者の登録を受ける場合には「課税事業者選択届出書の提出は不要」になります。

例えば、免税事業者である個人事業者が、令和5年10月1日よりインボイスを発行する場合、令和5年3月31日までにインボイス事業者のみ登録申請のみをしておけば、令和5年10月1日以後の期間は課税事業者としてインボイスを発行することが可能になります。

もちろん、消費税の課税事業者になるため、令和5年10月1日~12月末までの消費税については令和6年3月31日までに消費税の申告義務が生じることはお忘れなく。

インボイス事業者になる場合に課税事業者選択届出書が必要になる場合は以下のケースが想定されます。

◇個人事業主

・令和6年1月1日以後インボイスを発行する場合

◇法人

・令和5年10月2日以後に新たに設立した法人でインボイスを発行する場合

・令和5年10月2日以後の事業年度でインボイスを発行する場合

以上、ご参考までに。

今回は、免税事業者がインボイスを発行する場合に「課税事業者選択届出書」を提出する必要があるのか?について簡単に解説させていただきました。

少しでも参考になれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

これから半年の税務調査に対応していくには!

【これから半年の税務調査に対応していくには!】

税理士法人FLOW会計事務所の中村です。

税務調査(実地調査)とは、所得税や法人税、相続税など毎年提出される申告書について、その内容が適正な申告となっているか確認をするための調査です。

この税務調査(実地調査)の繁忙期がおとずれるのが、7月の人事異動(例年7月10日が異動発令日)明けから、年末までの半年間です。

これから数か月の間に税務調査(実地調査)の対象となった人や法人は、それなりの覚悟をした方が良いのかもしれません。

所得税の調査には、昔は、「特別調査事案」「一般調査事案」「短期実額調査(要点調査)」などの呼び方の調査があり、それは、「特調事案 10日以上の調査日数」「一般事案 4~5日程度の調査日数」「短実(要点)調査 2日程度」の調査日数を付与されて申告内容の確認を行うものです。この調査の種類に応じての調査官の対応も違うはずです。

税務署で実施される調査は、あくまでも「任意調査」ではありますが、正当な理由なく拒絶することは、法律で罰則の対象となり得るものかもしれません。そのため、職員に対しては、真摯な態度で臨み、聞かれた質問に対しては、簡潔かつ的確に答えられた方が、結局は自分の立場を守ることになるのではないかと思われます。

「任意調査」に対して、もう一つが「強制調査」ですが、これは、国税局査察部いわゆる「マルサ」です。様々な手段で脱税を行っている会社があれば、気を付けなければ、「マルサ」が臨場することもあります。

いろいろな情報を集約する部門と査察に臨場する部門とに分かれているため、税務署でも不明ですが、税務署の「任意調査」からマルサの「強制調査」に移行する場合もあります。私も、経験上、1件だけマルサに引き継いだ事案がありました。

適切な節税、正しい会計を行い、領収書や契約書・請求書といった会計の証明になるような資料を保存し、調査が来たとしても、しっかりした受け答えができるよう帳簿を整理し、適正な申告を行うことが必要であると思います。

実地調査にむけての準備段階が始まっています‼

【実地調査にむけての準備段階が始まっています‼】

税理士法人FLOW会計事務所の中村です。

確定申告の時期が終わり、ゴールデンウイークも終わると本格的な税務署の調査事案に係る選定作業が行われる時期となっていると思われます。

税務署は、7月10日が異動発令日となりますので、本来の調査は、その後年末にかけての時期に行われる調査がじっくりと念を入れて行われるものになると思います。

5月・6月も調査は実施されますが、7月以降の本格的な調査に対しての事案選定等を重点的に行っているのもこの時期だと思われます。

選定するのは、昔は、職人肌の上司が自分の経験則等からの判断で、「この事案はおかしい」などで選定等を行っていた部分もありましたが、現在は、申告件数も多くその中から事案を選定する作業の時間が掛かり過ぎるので、申告情報をコンピューターに入力し、その入力された決算内容の数値(割合等)から第一段階が抽出されることが多いと思われます。

その決算内容の数値でよく見られるのが、「差益率(*)」「特前所得率(*)」等です。この数値が、同業者の平均数値と比較して「以上に高い」とか「以上に低い」ということであれば、そこで抽出されることとなります。

同業者の平均数値というものは、過去の調査に基づくデータがありますので、それとの比較となっていきます。

その第一段階で抽出されたものに、膨大な資料(どれだけの資料が蓄積されているか税務署の職員もわからない数量だと思います。)と照合されて調査事案として選定されていくこともあります。

そのように選定されていく調査事案に「あなたの申告された内容」が引っ掛からないように祈ることを願ってやみません。少なくとも3~5年単位で内容の検討がされていますので油断召されるな。


(*)差益率とは

「売上△仕入(売上原価)=利益(粗利益)/売上」のこと。

粗利益が同業他社の平均値と大きく乖離している場合や前年値より大きく乖離している場合には要注意です。

(*)特前所得率とは

「売上△仕入(売上原価)△経費=特前所得/売上」のこと。

個人事業主に場合には確定申告の際に提出する青色申告決算書の㉝差し引き金額を指します。

Episode①ある日急に「税務調査」が入るという連絡が有った時あなたは?

【Episode①ある日急に「税務調査」が入るという連絡が有った時あなたは?】

税理士法人FLOW会計事務所の中村です。

税務調査は決して他人事ではありません。自分は大丈夫と思っていても、ある日突然、税務署から電話が掛かってきて、「調査に赴きたいので日程調整をお願いしたい」と言われた時、あなたはどうしますか?

真面目に、全ての取引(売上にしろ、必要経費にしろ)を記帳し、記録の保存も確実に行っていれば、「どうぞ、どうぞ見に来てください」と胸を張ってお迎えすることが出来ると思います。しかし、コロナ禍の時代で、思うように実績が伸びず四苦八苦している中、過去の申告(景気の良い時代のこと)を遡って見られ、思っていなかった税金を支払うことになれば、憂鬱そのものとなるかとも思われます。

実際の税務調査に赴いて判ったケースの一つでこんなことがありました。


ある建築関係の仕事をしている個人事業主のAさんは、ある年の売上を980万円として必要経費を差引所得を算出し、所得税の確定申告をしたそうです。

Aさんは「売上が1000万円を超えると消費税がかかる」ということを知っており、かつ「経費は大体こんなものだろう」と今までの経験則で計上して、税金がかからない形で確定申告書を作成しました。

税務署の窓口に提出したところ、窓口の人は内容には突っ込まず受理しました。Aさんは同様に、次の年も次の年も同じような感覚で確定申告をしていました。

そんなことが続いて、油断していたAさんでしたが、その翌年、税務調査が入りました。保存されていた売上の請求書・領収書、経費の領収書等、また、預金関係の内容の確認を行われ、売上が1000万円以上あることが判明し、消費税を逃れるために、売上を恣意にごまかしていたと見られ、7年間遡っての調査になり、所得税と消費税の追徴課税と重加算税等の附帯税を払わなければならいという結果になりました…


税務調査では、過去のごまかしも見逃してはくれません。

税務調査の対象者を選定する際、売上金額を、毎年、1000万円以下にて繰り返していると、情報があがってくる状況になっています。今は、電子の時代です。申告された内容が入力されて、数々の資料が出る仕組みが構築されているのです。

[相続税]どのくらいの確率で税務調査は入る?

税理士法人FLOW会計事務所です。

今回は相続税に関する税務調査のハナシ。

相続税申告をした方、する予定がある方は気になるトピックじゃないでしょうか。


◇年間の税務調査件数

相続税の税務調査は簡易なものも含めると年間で約2万4000件ほど実施されています。

年間の相続税の申告件数はおよそ10万件程度ですので、確率的には4~5件に1件の割合で行われていることになります。

4~5件と聞いてどのように感じますか?

これ、実はかなり高い割合なんです。というのも、所得税や法人税等の他の税目に関する税務調査の確率はせいぜい1~2%です。相続税はこの20倍以上ですからね。


◇ペナルティ

税務調査が入り、間違いを指摘された場合には、ペナルティとして追加で税金を課されることになります(追徴課税)。

納めた税金が少なかった場合・・・過少申告加算税(本来納めるべき税額の5~15%)

申告すらしていない場合・・・無申告加算税(本来納めるべき税額の10~20%)

仮想隠蔽、故意による税金逃れの場合・・・重加算税(本来納めるべき税額の35~40%)

それぞれには延滞税も発生します。

一番ペナルティが重いのは重加算税ですが、2018年の税務調査統計によるとペナルティを受けた方の16.5%がこの重加算税を課されています。仮想隠蔽を図った結果、4割近い追徴税額を取られてしまうのももったいないですよね。。。


◇自分はバレない?

皆さん、国税管理システム(KSK)はご存知でしょうか?

全国民の確定申告や給与の源泉徴収、過去に受けた相続の情報が集約されたシステムです。恐ろしいですよね、国はあなたがどれくらいの財産を有しているか把握しているのです。

この情報を参考に「この人はこれくらい財産を持っているはずだけど、相続税の申告がされていないな?」というアタリをつけて調査対象の選定の実施しています。

これだけでもバレない可能性が極めて低いことをおわかりいただけたのではないでしょうか。

先述した「調査に選定される割合が4~5件に1件であり、かつ、そのうちの16.5%が重加算税を課されている。」この事実だけでも、税務署の仮想隠蔽案件の抽出力の高さをうかがい知れますね。


今回は相続税に関する税務調査についてオハナシさせていただきました。

相続税は特に調査になりやすい税目です。

そして、あなたの世代で犯したズルは、あなたの子供、孫へと次世代へしわ寄せされることになります。

調査に入られて重加算税を払わなければいけないのに、納税するだけの財産はもう残っていない…なんて最悪のシナリオにならないよう、正しい申告と納税をしていきましょう!

最後まで読んでいただきありがとうございました。